はじめに

当社では、リファラル採用に関するフレームワークを作成しています。
このフレームワークは、ノウハウが出回ることの少ないリファラル採用を成功させるための要因を、どのように揃えていくかを定めたものです。

この記事では、その序章として、「リファラル採用のそもそもの成功要因とは何なのか」について、大枠をお話しします。

リファラル採用開始までの、3つの成功要因

リファラル採用を全社に案内する前に、3つの成功要因について理解しましょう。
この成功要因が抜け落ちると、運用を開始した後にプロジェクトが空中分解したり、強い反対を受ける可能性があります。

1.チームは作れていますか?

当社のサービスであるRefcomeはとても便利なのですが、魔法の杖ではありません。人が意図を持って使うからこそ、意味のあるものです。
まずは、Refcomeを使う人達、つまりリファラル採用のプロジェクトチームがどのようなチームになるかが非常に重要です。
このチームには、「責任者」「運用者」「現場メンバー」の3者が含まれると成功率が上がると考えています。

成功を握るのは責任者の関与

責任者は、リファラル採用の意思決定を行う立場の方です。人事部長などがこの役割に当たります。
責任者は実質的な作業を行う必要はありませんが、物事を意思決定したり、プロジェクトの代表として社内で発言してもらう役割になります。

よくある失敗事例は、責任者の関与がなく、運用者が社内で孤立する場合です。

リファラル採用は、これまで人事部門だけで利用していた採用媒体運用などとは違い、全社の協力が必要になります。そこでは、社員の思わぬ反対や抵抗に遭遇する場合もあります。この戦いを運用者が1人で背負いこむと、多くの場合は萎縮してしまい、何も動けなくなります。

責任者は作業を行う必要はありませんが、プロジェクトの代表として、このプロジェクトを推進していく必要はあります。
「意思決定する」と「会社を巻き込んでいく」事を強く推進していける責任者が求められます。

運用者は作業時間を持てていますか?

運用者は、Refcome上の作業を行ったり、細かい社内調整やマニュアルを作る人です。
Refcome導入後の1ヶ月間は、週に2時間から3時間程度の作業時間が必要になります。

当社では、社員の方々がRefcomeを触れるようになるまでの期間を「初期設定フェーズ」と呼んでいます。
このフェーズでは、求人原稿の作成やRefcomeの設定を行います。一般的には、当社が支援をしつつ1〜2週間(4時間程度)で完了します。

しかし、残念ながら初期設定に2ヶ月かかる場合があります。運用者となった方が忙しすぎてRefcomeを触れない場合です。新しいWebサービスの操作をすることに対して気が重い、という状況も考えられます。

こちらは責任者の方が適切に時間を割り当てて、しっかり作業をさせてあげる事が大事です。

会社の地力が問われる現場社員のアサイン

リファラル採用は、全社での活動です。現場の温度感とは違うトーンで周知をして白けさせてしまったり、逆に現場に萎縮してしまって動き出せないという事は良くあります(非常に良くあるのは実は後者です)。

そうした事態を避けるために、導入期から現場社員を1〜2名程度入れて、一緒にプロジェクトをスタートできれば、成功確率は大幅に上がります。
部長職の方はもちろん、ルーキーの方でも構いません。優秀で、会社について熱い思いを持っている方がオススメです。

この社員は”お客様”ではなく、味方となる人になります。物事を一緒に決めていく同志となり、一緒に喧々諤々な議論ができる人が良いでしょう。

工数としては、週に1時間程度のミーティング時間が確保できれば十分です。

ただ、残念ながら、優秀な現場社員をアサインできている会社は非常に少ないのが現実です。
人事から見て、同志となりうる優秀な方をアサインできるか。ここに、会社が採用をどう考えているか、会社の地力が見えてくると当社は考えています。

2.”キレイゴト”はありますか?

本音と建て前という言葉があります。
人事部にとってのリファラル採用の本音は、「採用決定数を伸ばしたい」かもしれません。ただ、本音には全社を動かすパワーはありません。

全社を動かすための建前、圧倒的な”キレイゴト”を入手しましょう。

圧倒的に綺麗な目的と勝算を入手する

あなたが現場社員だったとして、「今年は採用決定が少なくて人事部の評価がヤバイから、誰か紹介してくれない?」と言われたら、どうでしょうか。「こっちは必死に仕事してるんだから、お前だけズルするなよ」と返したくなりませんか。
このようなコミュニケーションでは当然人事部としては引き下がらざるをえませんので、リファラル採用を活性化させるのは困難です。

リファラル採用を行うチームには、「当社の経営戦略や経営課題から考えて、この活動が必要である」というトップダウンなキレイゴトが必要です。そして、そのキレイゴトを現実に昇華させて現場社員に還元する、ということが求められます。

当社はこのキレイゴトを「目的」「勝算」と呼んでいます。

例えば、急拡大している会社が、「ビジョン・ミッションが薄れている」という課題を持っているとします。
これに対応する目的を決めるとすると、「ビジョンに共感する人で構成された最高の会社を、社員全員で作る」などが目的にあたります。

「この活動を通して何を得るのか?」「それはどんな経営戦略との繋がりがあるのか?」について、よく考えてみてください。

“勝算”なき施策に力を貸す者はいない

先ほど、「ビジョン・ミッションが薄れている」という課題を持っている会社の例で、「ビジョンに共感する人で構成された最高の会社を、社員全員で作る」という目的を掲げました。

この目的に面と向かって反対する人は少ないでしょうが、これが絵に描いた餅だと思われるのであれば、協力者はずいぶん少なくなります。

「反対しない」は「協力する」とイコールではありません。誰しも、勝算(どのように)のない失敗プロジェクトには無関心になるものです。

目的を達成するための勝算を明確にする

例として、勝算を言語化してみましょう。先程の目的は次のように分解できます。

ビジョンに共感する人で構成された最高の会社を、社員全員で作る
= ビジョン共感が強い人を集める
+ 現在いる人のビジョン共感を強める
+ 社員全員が活動に参加する

目的の子要素に対して、勝算(どのように)をつけると、下記のようになります。

ビジョン共感が強い人を集める → リファラル採用でビジョン共感度の高い人を集める
現在いる人のビジョン共感を強める → エンゲージメント(*)で可視化、PDCAを回す
社員全員が活動に参加する → リファラル採用活動状況を可視化してPDCAを回す

(*)エンゲージメントとは、社員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」を表すものと解釈されますが、より踏み込んだ考え方としては、「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」のことをいいます。(出典:日本の人事部)
 Refcomeには社員のエンゲージメントを計測する機能があります。

これらをまとめて表現すると「リファラル採用とエンゲージメントを軸にしたPDCAサイクル」となりますが、これが勝算になります。

「これなら目的が達成できそうだ」と社内に思ってもらえるような勝算作りが肝になります。

3.経営者の後ろ盾は得られていますか?

全社で物事を動かすには、どうしても役員や社長など、経営層の賛同が必要な場面があります。

経営層が賛同しているという状態は、社員に対して強いメッセージになります。プロジェクトチームにとって、トップダウンで物事を動かしたい時もありますし、反対意見が出て責任者レベルでは解決できなくなった場合に場を収めてもらうためにも必要です。

全社会議などの場で、経営層が賛同意見を述べることで、責任者や担当者は、プロジェクトを安定して進められるようになります。

実は、前述した目的・勝算は、経営層の賛同を得るために、経営戦略・課題から目的を決めている側面があります。よって、プロジェクトチームの経営戦略・課題の解釈が間違っていると、そもそも賛同を得られません。

当社のオススメは、経営層から経営戦略や課題を直接語ってもらい、一緒に目的・勝算を作るというやり方です。

目的・勝算を一緒に作り上げることで、目的・勝算も良くなりますし、経営層も所有感を持てるので後ろ盾になってもらいやすくなります。

最初から経営層と目的・勝算を一緒に決めるのが難しい場合は、まず大枠の目的・勝算を決めた後にプロジェクトチームで見せに行き、意見をすり合わせると良いでしょう。

最終的に、経営層から「これでいこう。応援するよ」と後押ししてもらえるか。これが重要な鍵です。

リファラル採用開始後の、2つの成功要因

さて、準備はできました。リファラル採用を開始しましょう。

ここでは、開始するにあたって必要な成功要因を2つ用意しました。この2つを満たせないプロジェクトは、残念なことにことごとく失敗します。

1.全員が同じように実行できていますか?

あなたが営業部長だったとして、営業メンバーの自社商品の売り文句が全く違ったらどう思いますか。または、売り文句を知らない人がいたらどうでしょう。とんでもないことです。

しかし、リファラル採用ではこれが日常です。

全員に同じ内容を伝える

まず意識したいのは、「同じ内容を全員に伝える」ということです。「一部の社員だけが知っている」や「情報が古くなって知っている情報がバラバラ」という状況は、容易にリファラル採用の失敗を生み出します。

制度の存在、制度の使い方、職種の情報や、誘い方、様々な要素を、適切なタイミングで社員の方にアップデートしていく事は基本中の基本です。

社員からすれば、知らない事は実行しようがないのですから。

案内を行う範囲は全員を対象とし、全員に同じ案内をする。必ず守ってほしいです。

全員が同じように行動する

前述したように、営業トークで商品を買う理由(売り文句)が営業メンバーで全く異なっていたら、どうでしょうか。リファラル採用でも、自社に来るべき理由を社員に適切に伝え、同じような誘い文句で誘ってもらうべきです。

また、行動がバラバラだと、改善が困難になります。PDCAを回そうにも、全員が違うやり方をしていたら何を改善すれば分かりません。行動の内容や結果も集めるのは困難でしょう。

次の項目で述べますが、振り返りをするためには課題と原因の把握が必要です。そのためには、ベースとなる行動を統一すること、その結果を収集できるようにすることが大切です。

2.振り返って改善できていますか?

一発でリファラルを確実に成功させることは、非常に難しいことです。会社によって成果が出る施策は違いますし、一見上手くいったように見えても、後で失速する事もあります。

必要なのは、改善していく中で、その会社にベストなやり方を見つけていくことです。正しい施策よりも、正しい改善プロセスが必要なのです。

課題だと認識しなければ何も改善できない

物事を良くするためには、何が課題なのかを知る必要があります。

まず、目標を引いて、どの程度社員が協力してくれる目標なのか、どの程度内定が出る目標なのか。目標と現状の乖離を知らなければ、そもそも現状が良いのか悪いのか分かりません。

そして次に考えるのは、その目標に対する結果(実績)です。

ここで結果が分からないのであれば、目標との乖離があるかどうか分かりません。ですので、結果となる事実データを入手するのは当然必要になってきます。

目標は一度決めれば、いつでも知ることができます。一方、結果は都度生まれ、集計していないと分かりません。

正確にリアルタイムに集計できることが、課題の認識能力に直結します。

事実から原因を知らなければ打ち手は見つからない

目標と結果があり、協力者が少ない、という課題が分かったとしましょう。しかし、協力者が少ない原因が分からなければ手の打ちようがありません。

原因は、可能な限り事実データを揃えた上で検討すべきです。原因を推測することは誰にでもできますが、事実データの裏付けがなければ精度の高い改善活動はできません。

例えば、協力者が少ない理由は、当社では「認知がない」「関心がない」「人脈がない」と分類しますが、このうち「人脈がない」に問題がある事例は、実際にはほとんどありません。メモリーパレス(*)をするとほぼ間違いなく出てきます。

一方で、人事が社員に声をかけた時に、社員が自分の人脈にあまり思いを巡らせずに「思い当たる人はいないなぁ」と言って話題を切り上げる事が多いため、人事から見ると「うちの社員は人脈がないんだな…」と解釈してしまいます。

(*)メモリーパレスとは、自分の知人ネットワークを様々な観点から洗い出すフレームワークのこと。

また、メールでしかリファラル採用の募集について案内しておらず、そのメールの開封率が50%以下である場合、当社では「リファラル採用の制度は認知されていないだろう」と解釈しています。しかし、そうした開封率のデータを見ていない場合、「一度メールを送ったので、制度はみんな知ってはいると思います」と答える人事の方が非常に多いのです。

知人に声かけしている”はず”、ポスターは見られている”はず”、カードは配られている”はず”、など、仮説が多くなればなるほど原因の特定は困難になります。

このような状況で、例えば「社員の人脈が少ないようだから、人脈が増えるように、外部で行われる有料勉強会の補助手当を出そう」といった施策が効果を発揮するでしょうか。ありえません。

まずは事実データを集め、原因を炙り出し、その原因に効果のある処方箋を出す。このプロセスが必要です。

振り返りとネクストアクション

ここまで、目標と結果の乖離、その乖離が発生する原因について正しく知るべき、という話をしました。

ただ、そうしたデータを活かした振り返りができなければ、データには何の意味もありません。

プロジェクトチームでこれまでやってきた施策を振り返り、その結果がどうなったのか、次はどのようにすれば良いのか、定期的な振り返り会議を持ちましょう。

そして、必ず次のアクションを期日を決めて実施してください。何もアクションしなければ、今より良くなることは絶対にありません。

目安として、3ヶ月のPDCAサイクルを回すことができれば(かつ当社からの適切なサポートがあれば)、十分に成果は手に入る状態にできます。

1ヶ月目は半分以上が準備期間になります。2ヶ月目にどんどんPDCAサイクルを回し、3ヶ月で修正しつつ結果を得るイメージです。

毎週プロジェクトチームでの振り返りを行いつつ、当社と1ヶ月に1度振り返りができれば、まず問題なく立ち上げることが可能になります。

おわりに

この記事では、リファラル採用開始前と開始後の5つの成功要因についてお話しました。どのように成功要因を作っていけば良いかについては、別の記事でご紹介する予定です。

中森 恭平
株式会社リフカム 取締役CTO/カスタマーサクセス部 部長
2011年にSansan株式会社に新卒で入社し、名刺管理サービスEightの立ち上げから参加。
Eightでは、サーバ側のリードプログラマ、アーキテクトとしてサービスの拡大に貢献。
フリーランスを経て2016年からリフカムに取締役として参画。
2017年よりカスタマーサクセス部を率い、多数企業の支援実績をもとに、リファラル採用の型化や成功指標について日々研究を重ねている。

記事についてもっと詳しく知りたい、自社の課題にあった事例を知りたい、コンサルタントに具体的な採用のお悩み相談をしたい方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。

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