はじめに

リファラル採用といえば報酬(インセンティブ)、というくらい連想する人は多いと思います。

一方で、インセンティブをどのように決めれば良いかを明確にイメージできている人は少ないのではないでしょうか。

この記事ではリファラル採用のインセンティブの決め方について解説をします。

「とりあえず●万円くらいじゃない?」

とイメージで決めてしまうケースもよく聞きます。

厳密な正解はないので上記のようにまずは決めて動いてみる、というのも間違いではありませんが、せっかくなら納得感のある制度にしませんか?

どのように決めていくのが良いか、基本的な考え方のプロセスをお伝えしたいと思います。

そもそも、インセンティブって違法? 合法?

職業安定法の第四〇条には、下記の通りの記載があります。

(報酬の供与の禁止)

第四〇条 労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第三十六条第二項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。

詳しく見たい方はさらに調べてみると面白いかもしれませんが、結論としては、

『労働者の募集にあたり報酬を与えることは原則禁止ですが、賃金・給与として支払う場合は例外として認められている』ということです。

本来、人材紹介を行うためには資格が必要なので、それを有していない方が紹介をして報酬を受け取ってしまうと違法となってしまいます。

「紹介そのものに対する報酬」ではいけませんが、「業務の中の一要素に対する評価」として賃金・給与を支払うのであれば合法という判断になるんですね。

細かい違いになりますが、基本的にはインセンティブが違法と判断されるケースにはなりにくいでしょう。

ただ、給与明細への記載をどうするのか等は自社法務でのチェックを一度通すべき事項と言えます。

インセンティブってどう決めたらいいの?

インセンティブが問題なさそうだということはわかりましたが、では実際にはどうやってインセンティブの制度を決めたら良いのでしょうか?

ここでは4つのステップに分けて、決め方を解説します。

1.どこの数値を伸ばしたいか?

まず最初に、そもそもどこの数値を伸ばしたいかを考える必要があります。

「採用数に決まってるでしょ」という声が聞こえて来そうですが、果たして本当にそうでしょうか?

実際に採用まわりのプロセスを考えた時、簡単に考えただけでも「社員が友人に声をかける数」「イベント等に参加する数」「応募数」「内定数」「採用数」「定着した数」などの数値が出て来ます。

「人はとれるけど離職率を改善したい」となれば、「入社後●ヵ月経過したらインセンティブを出す」という設計も考えられますし、「そもそも応募が全く来ていない」となれば、「1応募に対して●円のインセンティブ」とすることも考えられます。

ここは、リファラル採用をするにあたってどこがボトルネックになっているかを確認し、うまくいっていない要素があればピンポイントで改善をする、ということも想定して考えるのが良いでしょう。

2.評価単位をどうするか?

インセンティブというと個人に与えるイメージが強いかもしれませんが、そうすると個々人によりやる気がバラバラになりがちです。

一部の人が頑張ってくれても、全社としてはなかなかリファラルが増えなかったり、その人の人脈が尽きてしまったらその後に続かなかったり、というリスクもあります。

オススメは、チーム単位で目標を作るということです。

横でのコミュニケーションが活発になり、協力してくれる人が増えたり、活発に動いている人のノウハウが共有されるケースもあります。

「紹介したいとは思ってるけどどうしたらいいか分からない」という人はとても多いので、そこに対するフォローがされると全社的に数字が上向いてきます。

非常に効果的な手段なのでチーム単位でできると良いですが、社風によっては難しいということもあると思います。実情と照らし合わせて可否をご検討いただくと良いでしょう。

3.インセンティブを与える対象をどうするか?

インセンティブは紹介をしてくれた人に与えるのが普通ですが、紹介された人に対しても与えることが効果的です。

これは紹介された人のメリットがどうこうというよりも、紹介する人の心理的なハードルを下げることが目的で作られることが多くなっています。

ちょうど転職を考えている友人がいれば「うちの会社に興味ない?」と簡単に聞けますが、そういったわかりやすい転職顕在層だけを対象とすると、なかなか母集団形成もできません。

「必ず転職したいと思ってるわけではないけど…」という準転職顕在層にもアプローチができると、候補になる人がぐっと増えます。

(リファラル採用の母集団形成/タレントプールについてはこちらの記事をご覧ください)

ただ、自分から仕事探しをしていない人に声をかけるのはハードルが高くなりがちです。

会社や紹介者にとってはメリットのあるリファラル制度も、被紹介者に対してのメリットは目に見えにくく言語化しにくいので、「いきなり誘っても迷惑だよな…」となってしまいます。

そこで、被紹介者にもメリットがある制度を作ることができれば、「うちって●●っていう制度があってさ」と、制度そのものをフックに紹介する話題をふりやすくなります。

例えばですが、飲食店の会社がリファラル採用を行う際に「説明会に来てくれたら●●の無料券がプレゼントされるらしいよ」のようなものがあれば、かなり声がけしやすくなると思いませんか?

その一環として、被紹介者へのインセンティブも一考の余地があります。

4.報酬をどうするか?

さて、ようやくインセンティブの額にまつわるお話です。

前提としてですが、インセンティブは高ければ高いほど良い、というわけではありません。

上記、3でも少し触れましたが、リファラルは友人・知人への声のかけやすさが大事になります。

そこで大きな報酬を用意してしまうと、逆に「お金がほしくて声をかけたとは思われたくないな…」となってしまうこともあります。

また、実際にお金を目的に人集めをされても、入社してから活躍・定着しない等の問題に悩まされる可能性もあります。

報酬の額は会社の雰囲気や社員の期待次第ですが、当社のお客様の場合、3万円〜10万円が多く、一般的なようです。ただこれも、「スキルのある人のキャリア採用」「新卒・第二新卒の採用」「非正規の採用」などで考え方が変わります。

個人的な感覚としては、「非正規の採用」の場合だと数千円〜数万円程度のことも多いと思います。

当社が取得したインセンティブに関するアンケート結果によりますと、33%の企業ではインセンティブ設計がない、あるいは0円の設定をしており、逆に10万円以上の設定を行なっている企業も26%あります。

出典:株式会社リフカム調べ「リファラル採用に関するアンケート」(2018年3月)より。n=121

報酬ではないインセンティブの例

他にも、現金ではなく休暇を与えたり、評価そのものに組み込んでいたり、というケースも存在します。評価に組み込めている場合は、リファラル採用が活性化して成功しやすいです。

別軸の話になりますが、紹介者本人だけでなく、所属するチームにインセンティブを与え、「一人●円までの食事代を支給します」として、達成チームみんなで美味しいご飯を食べるという体験を提供する、ということも考えられます。

またここまで語っておいてですが、そもそもインセンティブを支給するべきか否か、という議論もあります。

こちらも社内事情によりますので明確な答えはありませんが、個人的には支給をした方が喜んで紹介をしてくれる人は増えやすいのかな、という印象を持っています。

とはいえ、ただばらまけば良いというものではありませんので、上記「1.どの数値を伸ばしたいか?」をよく考えた上で、そのためにインセンティブが必要かどうかをご判断いただくのが良いでしょう。

終わりに

ここまで、インセンティブに関する基本的な考え方をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

この内容に沿って考えていただければあまりズレた進み方にはならないとは思いますが、個々の状況や目的によっては解決できない悩みもあるかもしれないので、その場合はぜひお気軽にご相談ください。

上野 賢司
株式会社リフカム カスタマーサクセス部 コンサルタント
HRTechの会社でのコンサルタントを経て、株式会社リフカムに入社。前職では運用サポートの立ち上げを行い、100社以上でのコンサルティングを実施。ダイレクトリクルーティングの普及に務めた。
リフカム入社後はコンサルティングの経験を活かし、リファラル採用を成功する企業が増えることによって「採用とは仲間集め」と実感できる社会の実現を目指している。

記事についてもっと詳しく知りたい、自社の課題にあった事例を知りたい、コンサルタントに具体的な採用のお悩み相談をしたい方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。

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