当インタビューでは、「社員にとって紹介したい会社作り」「本質的な採用における取り組み」を積極的に行う企業様を表彰対象とした「Referral Recruiting AWARD 2017」の受賞企業様への取り組みをお聞きするシリーズです。

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2016年2月1日に株式会社スマイルズより分社した、食べるスープをコンセプトにしたスープ専門店の株式会社スープストックトーキョー。
“人がブランドを作る”という考えと、「世の中の体温をあげる」というミッションのもと、全店舗の中からビジョンを体現したプロジェクトを選ぶ発表会“グランプリ”の場を設け、経営陣から現場までがミッションを共有する組織作りを実現しています。
今回は、スープストックトーキョーの“人づくり”の部分について詳しくお話を伺ってきました。

左から、株式会社リフカム 代表取締役 清水巧、株式会社スープストックトーキョー 取締役ブランディング本部 本部長 江澤 身和氏、株式会社スープストックトーキョー ブランディング本部/人材開発部 吉本 百江 氏

「人がブランドを作る」の考えのもと分社化を実施


—御社は “ブランドは人が作っていく”という部分に力を入れているということですが、何かきっかけはあったのでしょうか?

江澤:分社化の目的が、スープストックトーキョーをブランドとしてより磨いていくためでした。分社化前も様々な事業をやっていて、もともと創業者の遠山はどの事業でも“人を大事にする”ということを考えていました。また、現社長の松尾も、人の部分を磨いていくことが必要だという課題感を持っていました。

自社のメンバーは良くも悪くも、すごく「いい子」が多いんです。社員もパートナー(アルバイトスタッフ)も、なんとなく働いているという感じではなく、この仕事がやりたくて働いている。なのに、なかなかその良さがでていなくて…。

—それは分社化以前から感じていたのですか?

江澤:そうですね。私は、もともとパートナー(アルバイトスタッフ)出身で、その後店長をやっていた経験があるのですが、その時感じていたのは、接客が少し受け身姿勢だな、いうことでした。一歩踏み出して、もう少しお客様との距離を近づけられると、もっと魅力を伝えられるのに…と。
スタッフになぜここで働いているのかを聞くと、「働いている”人”がいいから」と答えるのですが、お客様から「”人”がいい」という言葉をいただくことは当時はあまり多くなかったんです。商品がおいしい、空間が居心地いい、一人でも食べやすいという意見の方が多かったんです。そうしたなかで、”人”の部分をもっと磨きたいということを感じていました。

—商品だけでなく、そこで働く“人”もブランドの魅力と感じてほしいということだったのですね。




理念からブレイクダウンして施策を考える

—今、様々な施策をしていらっしゃると思うのですが、最初はどのように考えを組み立てるのですか?

江澤:そうですね、お客様にとって、そして働くメンバーにとって、スープストックトーキョーがどういうブランドで、どういう存在になりたいのか。それを考えるところから始めて、“そのシーンを描くためには何が必要だろう”と逆算して考えてからスタートしています。

—おもしろいですね。数字目標とは違って、シーン・状態・雰囲気を描いてからスタートされるのですね。

江澤:数字の部分でいえば、結果としてついてくる数字は何か、というのは常に考えています。社員に関しては、働きがい・やりがいをどれだけ感じられているか。
パートナー(アルバイト)に関しては、人に紹介したいと感じることが満足度の究極のところだと思うので、“紹介”をどれだけ進められるか。また、もう一軸、パートナーの中から社員になってくれる人数も見ています。
最後にお客様に関しては、売上ではなく、客数が増えることも満足度の表れだと思っているので、徹底的に客数を見ようと伝えています。

—シーンを描く時は、やはり御社の理念からブレイクダウンしていくイメージですか?

江澤:そうですね。理念の「世の中の体温をあげる」というと、抽象的な言葉なので、それぞれの捉え方で受け取れるし、表現できてしまう。そこで私たちは、まずは「働くメンバーの体温をあげる」ことを大事にしています。
自分の体温があがっていない人は、人の体温もあげられない。結果的にお客様にも自分たちの熱量が伝わっていく。
なので、まずは仲間の体温をあげて、お客様の体温もあげる。それが連鎖することで、自分たちが目指す「世の中の体温をあげる」に繋がるのだと思っています。

—中で働く方自身が、いい方が多くて体温が高かったとしても、意識しないと連鎖していくことはできないですよね。ちなみに、アルバイトの方をパートナーと呼んでいらっしゃるのですね!

江澤:はい。創業以来ずっとパートナーと呼んでいます。
ただ言葉だけが先走るのではなく、本当の意味でのパートナーになってほしい。みんながパートナーになるように何ができるかを考えています。



パートナーを巻きこむことが理念を達成する近道

江澤:私は店長だった時から、パートナーを巻き込む、パートナーの体温をあげるということをずっと考えていました。これを叶えられることは、店にとっても影響度が大きいと思うんです。店長一人の体温が高くても、最終的にはお客様の体温をあげたいので、そのためには1500人ものパートナーを一気に巻き込むことが、お客様にも熱を伝える一番近道だと感じています。
なので、理念を体現するパートナーを表彰するグランプリや、Smashという全従業員が利用する社内SNS、パートナーのグレード制度、バーチャル社員証など、パートナーを巻き込む土台作りにかなり注力しました。

—他の会社さんでも人事制度や施策をやるけれど、全員に浸透しないことがよくあるなと思うのですが、御社の場合、それができているのはすごいですよね!

江澤:自分が店長だった時に、自分のお店をよくしたいとか、ここで働いている一人一人が楽しく働き、それがお客様に伝わって、というスパイラルにやりがいを感じていました。でも、会社という視点で考えると、規模が大きくてよくわからなくなったこともあったんですよね。でも、”会社が一つの店だったら”と思うようにしたら、考えがすごくシンプルになりました。



現場の経験から相手を思いやるアイデアが生まれる

吉本:江澤は、取締役であり、人材開発部長でありながら、店長目線の意見も出していることが多々あります。
例えば、クリスマス期間中にも働いてくれたパートナーにスープのギフトチケットがついたクリスマスカードを作ってみよう!などです。そのチケットで友達と一緒にスープを楽しんでもらおう、カードのレイアウトは全店長がその方にお礼のメッセージを書くためのスペースを作ってほしい、あと、そのカード自体をすごく可愛くしたい、というオーダーの仕方をしてくれる。
それを各店長に伝えると、皆テンションがあがって、「私たちもやりたいです!」となるんですね。もちろん新しいことをすると、店長は仕事が増えることになりますが、パートナーが喜んでくれるのが目に見えるので喜んで参加してくれます。そういうささやかだけど大事にしたい想いを1つ1つの施策に込めているからこそ”人”を巻き込めたのかなと考えています。

—相手の気持ちになって制度を作っていくということですね。

吉本:はい。パートナー、店長、人材開発部長と、さまざまな立場を経験した江澤からの意見の他にも、人材開発部には現場出身のメンバーや店舗営業部の兼任をしているメンバーがいるので、より現実感があるものが出来上がるというのが、この部署のいいところですね。
グランプリ一つを実施するにも、”オーディエンスとして観覧する”というよりは、“参加して楽しい”と思ってもらえるところまでやりきりたいなと考えています。


会社の理念が「自分ごと」になるグランプリ

—色々な施策をやる中で、この施策がよかったなと思うものがあれば聞かせていただけますか。

江澤:1番は、先ほどからお伝えしているスープストックトーキョーグランプリですね。グランプリは、こちらをきっかけに社員になりたいと思った方や、この機会を通じて友達を紹介したいと思ったという意見があるくらいです。会社の理念が自分の中で繋がったというか、自分ごとにするというか…。

—グランプリのどのような部分が特によかったのでしょうか?

江澤:パートナーという立場の子が前に出て、“お客様にこういうアクションをしてみました。”“こんな反応・感想をいただけて嬉しかったです。”と各店の取り組みを発表するんですが、そうすることでパートナーに「同じ立場で、そんな風に取り組んでいるんだ!」という気付きがあるんです。
以前からパートナーに何か共有したいときは、社員よりも同じ立場のパートナーがスピーカーになった方が響くと思っていました。

そういう意味でもグランプリは本当に実施してよかったです。また、それと合わせ技になっているのが社内SNSの「Smash(スマッシュ)」かと思います。グランプリという場があり、スマッシュという日々の情報を発信している場があり、私たちもパートナーの日々の活動に感動します。なかでも社長の松尾が一番反応が早い時もあるんです。

吉本:スマッシュで、パートナーが投稿したコメントに、パートナーだけでなく、社長も経営メンバーも立場を越えてリアクションをする。
普通、アルバイトをやっていて、社長が直接、しかも誰よりも早くコメントをくれるということはないですよね(笑)でも、それぐらい一体感を持ってブランドが創られています。

—なかなか斬新ですね。

吉本:そうですね(笑)。アルバイトが初めての子は、社長との距離感はこういうものだと思ってしまうかもしれないです。でも、そこがスープストックトーキョーで働く面白味かもしれません。

また、松尾と江澤のすごいところは、地方のパートナーの懇親会などにも積極的に出席して、顔と名前が一致するようにしているんですよ。そういうフラットさが、様々な施策を通じて“スープストックのブランドを作っている人たちはこういう人なんだ”と、共感も生むポイントかもしれませんね。

施策の効果が数字にも表れ始めている

江澤:パートナーが誰か紹介したくなる施策と並行して、実際に友人を紹介するとインセンティブが貰えるという制度も作りました。それによる採用も活性化していて、毎月人数も少しずつ伸びていています。
最近はパートナーの離職率も下がってきて、いきいきと働くメンバーがさらにさらに見えてきました。まだまだ本当にやり始めたばかりなのですが、結果も見えてきたので、ますます”人”を大切に展開していけたらと思います。。

—理念から落としこんだシーンが、実際にグランプリでみんなの笑顔や感動から見えてきて、数字にも表れてきているのですね!本日は非常に参考になるお話をありがとうございました!


 

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