株式会社i-plug 代表取締役社長 中野 智哉 様

株式会社i-plugは、企業から学生に直接オファーを送ることができる、新卒に特化したダイレクト・リクルーティングサービス“OfferBox(オファーボックス)”を提供しています。
その目的は、採用のミスマッチによって、最初の就職に失敗する若者が多いという社会的問題を解決することです。
そこで、同社代表の中野智哉様に、ミスマッチが起こる要因やその改善策、これからの採用・人事担当者に求められることなどについてお話をうかがいました。

株式会社i-plugについて
2012年4月設立。新卒に特化したダイレクト・リクルーティング“OfferBox(オファーボックス)”シリーズを運営。大阪に本社を置き、東京と名古屋にもオフィスを構える。ミッションとして「将来を担う若い人財の可能性を広げる“つながり”を提供し、個人の成長と企業の発展を実現する」という言葉を掲げる。大学生・大学・社会の三つのつながりを再確認して、双方のコミュニケーションの質を高め、就活生の可能性を広げることに貢献している。
参照URL:http://i-plug.co.jp/

「会いたい学生」に効率的にアプローチできる“OfferBox”

新卒として入社した社会人の3割が、3年以内に離職する状況がしばらく続いています。その原因は、採用のミスマッチにあります。

ミスマッチが起こる大きな要因は、二つ考えられます。一つは「ポテンシャルの不一致」です。その人が持っている能力と、企業側がその人に求める能力や期待することにズレが生じているからです。もう一つは「コミットメントの問題」です。新卒採用の場合、学生は働いた経験がないため、経験がスキルや能力として身につくまでに時間がかかります。そのため、実はその企業は合っているのに、能力を発揮する前に自分に合っていないと判断して辞めてしまうケースがあるのです。

当社では、こうしたミスマッチを解消するために、新卒に特化したダイレクト・リクルーティングサービス“OfferBox(オファーボックス)”を提供しています。このサービスによって、企業は「会いたい学生」をデータベースで検索して選出し、直接オファーを送ることができます。

なぜ企業から学生にオファーする形式にしたかというと、まったく働いた経験のない学生が企業を選ぶよりも、知識や情報が蓄積されている企業側が学生を選ぶほうが、マッチングの精度が高いと考えるからです。

OfferBoxの特徴は大きく二つあります。一つは、学生の情報が圧倒的に豊富なことです。学校名や専攻はもちろん、資質や特性、部活動やサークル活動などの写真や動画も多数掲載されており、履歴書やエントリーシートからは見えてこない、学生の「素の人となり」をうかがい知ることができます。

もう一つは、企業が学生に送るオファーの数を制限し、学生側にも、やりとりできる企業を最大15社までに制限していることです。

現在の就職活動では、企業は必要以上に多くの学生と会い過ぎて、一人当たりのコミュニケーションが希薄化し、求めている人材を見極めることが難しくなっています。ミスマッチを解消するためには、会う学生を厳選し、一人当たりのコミュニケーションの時間を長くする必要があるのです。

ミスマッチ解消のカギは「未来予測」にある

雇用のミスマッチは、採用した時点ではなくその後に分かることですよね。ですから、「ミスマッチがない」ということと「未来予測ができる」ということは、同じ意味だと考えています。そこで当社では、未来予測を可能にするために、データベースの概念を変えようとしています。

未来予測に必要なのは、テクノロジーの力です。では、使用するデータは何かというと、学生の適性検査の結果やパーソナリティデータと、その人に「会いたい」という動機など、感情が入っているデータです。

感情の部分については解明されていないので、現段階では行動履歴からそれを再現しています。具体的には、「企業が閲覧した学生にオファーを送った・送らなかった」という行動履歴と、「学生が企業からのオファーを承認した・承認しなかった」という行動履歴を取得し、それらのデータをAIに学習させて、「企業が会いたい学生」順に検索画面に表示させています。

未来予測についてはまだまだ課題がありますが、テクノロジーの力を駆使して、より精度の高いマッチングを実現させたいと考えています。とはいえ、テクノロジーを使うことが目的ではないので、過剰にハイテクにしないように、コストとのバランスを見ながらサービスを提供しています。

採用の裏で起こっているミスジャッジ

採用のマッチングにおいては、学生が持っているスキルの情報だけでなく、性格や相性などの情報も必要で、カルチャーマッチも大きく関係してきます。

ただ、一部の職種については、スキルがマッチングすれば成果を出せることが分かっています。例えば、ITエンジニアのような論理的思考の要素が多い職種は、SPIの非言語の偏差値が、将来の活躍と相関します。

その反対に、営業職のように感情のコントロールの要素が多い職種は、SPIの非言語の偏差値との相関がありません。ですから、営業職に適した人材を選考する際にSPIの偏差値によって足切りするというのは、ミスジャッジです。実は、選考の枠から外れたところにいる人たちの中に、ハイパフォーマーが存在しているかもしれません。

こうして見ていくと、採用の世界、特に新卒採用の世界には、改善すべき様々な課題が隠れています。

これからの採用・人事に求められる三要素とは?

今後、採用のプラットフォームはどんどん発展していくと考えています。共通のデータベースが構築された瞬間に、採用・人事の世界は劇的に変わると思います。

それに伴い、担当者の役割や業務も大きく変わるはずです。応募者からのメールに返信したり、説明会をセッティングしたりする業務はなくなるか、もしくはアウトソースされているでしょう。

そんな時代に採用・人事に求められるのは、「戦略」「データ分析」「人間的要素」です。戦略的にターゲットを見つけることができる戦略的思考の人、マーケッターのようにテクノロジーを使いこなしてデータを解析するのが得意な人、そして、人と人とをつなぐことが得意な人間味あふれる人です。これら三者のチームビルディングが、とても重要になってくると考えます。

日本では、このまま労働人口が減少することは決定的なので、人材獲得競争はずっと続いていきます。ですから、先を見越して、今のうちに手を打つ必要があると思います。特に、新卒採用については1年1サイクルなので、着手する時期によって2、3年も乗り遅れてしまいます。

最も懸念されるのは、データ分析の部分です。これについては、データの蓄積量が多いほうが有利なので、早く取り掛かったほうがいいと思います。

人を惹きつける“重力”がある企業は採用に成功する

この先、雇用に基づいて組織にいるという概念は、消えていくと思っています。そうなったとき、人を惹きつける“重力”がある企業は、採用に苦労しないのではないでしょうか。そうした力をもとに、企業の分身である社員が人を惹きつけるのが、「リファラル採用」の根本的な考え方ですよね。

“重力”がない企業は人を雇用できなくなって淘汰され、リファラル採用ができる企業が生き残っていくのではないでしょうか。

また、企業文化と提供するサービスのよしあしはリンクしていて、企業文化がよくないとサービスが売れないという構図になっています。そういった観点から考えると、業績のよい企業ほどリファラル採用によって、必要としている人材を効率的に獲得していけると思います。

リファラル採用が当たり前になったら、とてもおもしろい時代になりそうですね。

—本日は大変貴重なお話を、ありがとうございました。