なぜリファラル採用は「気まずい」と言われるのか?

リファラル採用の支援をしていると、「応募してくれた候補者を不合格にせざるを得ないが、どう断ればいいか?」「不合格によって、社員と友人の関係が悪化しないか心配」というご相談をよく受けます。

一般的な採用手法と異なり、私的な人間関係が絡むため、紹介する側・される側の双方に特有の心理的ハードルが存在します。

紹介する側の不安とプレッシャー

社員は大切な友人を紹介するにあたり、以下のような不安を抱えています。

「もし不採用になったら、これまでの友人関係がぎくしゃくしてしまうのでは」
「入社後にすぐ辞められたら、自分の社内での評価や立場に影響するのでは」

結果として、「気まずい思いをするくらいなら、最初から紹介しないほうがマシ」と考えてしまい、リファラル活動への参加をためらう原因になります。

紹介される側(候補者)の迷いと断りづらさ

一方で、紹介された友人側にもプレッシャーがあります。

「落ちてしまったら、紹介してくれた友人の顔に泥を塗ることになり申し訳ない」
「話を聞いてみて合わないと思っても、友人の手前、選考を辞退しづらい」

お互いが気を遣いすぎることで、本来のマッチングの良さが発揮されず、トラブルの火種になってしまうのです。

▼ 社員が紹介をためらう理由は他にも!
気まずさ以外にも、社員が友人に声をかけられない原因はいくつか存在します。自社の社員がどの壁にぶつかっているのかを知り、対策を打ちたい方は以下の記事も参考にしてください。
関連記事:社員が友人を誘えない原因とは?具体的な解決策と導入フロー

気まずさを防ぐ!紹介前に企業がやるべきこと

このような気まずさを防ぐためには、制度の設計段階や、社員が友人に声をかける前の段階で、企業側がしっかりと準備をしておくことが重要です。

求める人物像を“社内向け”に翻訳して明示する

これからリファラル採用を始める、あるいは活性化させたい企業様にまず注力していただきたいのが求める人物像の解像度を上げることです。

求人媒体に記載している募集要項をそのまま社員に共有していませんか?リファラル採用では、社員が具体的に友人の顔を思い浮かべられるような、わかりやすい表現に変換することがポイントです。

社内向け共有の良い例

  • 「◯◯という業界で3年以上働いている方」
  • 「今後は、◯◯の領域にチャレンジしたいと考えている方」
  • 「社内の◯◯さんのように、チームを明るく盛り上げてくれる方」

このように、社内基準でイメージしやすい情報をシェアすることで、「この条件ならあの人がぴったりだ」と考えやすくなります。

結果として、的外れな紹介が減り、選考通過率が圧倒的に高まるため、不採用時の気まずさを心配する機会そのものを減らすことができます。

“あくまで選考である”ことを明確にする

紹介する社員に対して、「声をかけたからといって必ず採用できるわけではない」「お互いにとって良いマッチングになるかをフラットに見極める場である」 という前提をしっかり共有しておきましょう。これにより、社員も過度な責任を感じることなく、気軽に声をかけやすくなります。

選考の前に“見極め”の場をつくる

気まずさを回避する最もシンプルな方法は、本格的な選考に入る前に、お互いを見極めることです。選考(面接)をしていなければ、「不合格です」と伝える必要もありません。

当社のお客様でも効果が出ている2つのアプローチを紹介します。

1. カジュアル面談の実施

最も効果的で実施しやすいのが、合否を伴わないカジュアル面談です。特に複数のポジションがある企業様で有効に機能します。

人事担当者は、社内のエージェントのような立ち位置で、候補者の興味関心やキャリアの志向性をヒアリングします。その際、自社とのマッチングが難しいと感じた場合は、無理に選考へ進めることはしません。

「あなたのやりたいことは、現状の弊社ではご用意が難しそうです。ですが、◯◯業界のこういった企業であれば実現できるかもしれません」と、他社の選択肢も含めて誠実にアドバイスします。

これにより、候補者は「自分のキャリアに真剣に向き合ってくれた」と高い満足度を得られます。また、紹介した社員も友人から感謝されるため、「こんなに喜ばれるなら、また他の人を紹介しよう」という好循環が生まれます。

2. イベント・懇親会の開催

リソースに余裕がある企業様には、社内イベントや懇親会の実施を推奨しています。

「今度ウチの会社でカジュアルなイベントがあるから、遊びに来ない?」という形であれば、社員もSNSなどで気軽に発信でき、心理的ハードルが大きく下がります。

ただし、やりっぱなしは厳禁です。イベントを次につなげるためのルールを事前に決めておきましょう。

イベント後のアプローチ例

  • マッチ度が高い方 ―― 本選考やリファラル会食へご案内
  • 判断に迷う方 ―― 後日、1on1のカジュアル面談へご案内
  • マッチ度が低い方 ―― 企業側からの無理なアプローチ(PUSH)は控える

事前に「見極め役」の社員を決めておき、懇親会でのコミュニケーションを通じて判断するのがスムーズです。イベント開催は、リファラル文化を醸成する強力な基盤となります。

▼ 採用ミスマッチの根本原因を知る
事前の見極めが不十分だと、入社後に「紹介された手前、辞めづらい」という最悪のミスマッチを引き起こします。ミスマッチが起きる構造と防ぐ戦略についてはこちらをご覧ください。
関連記事:採用ミスマッチとは?原因特定から損失を防ぐ具体的戦略まで解説

トラブル回避のポイント!不採用時のNG対応とフォローアップ

事前の対策を徹底しても、不採用になるケースをゼロにすることはできません。その際、企業として絶対にやってはいけないことがあります。

不採用の理由を説明せず「放置」するのはNG

一番の悪手は、紹介してくれた社員に対して、不採用の理由を説明せずにうやむやにすることです。

社員は、自社のために大切な友人を紹介してくれています。その友人が不採用になれば、少なからずショックを受けたり、気まずさを感じたりするのは当然です。

だからこそ、不採用の理由は誠実に社員へフィードバックすることがマストです。同時に、「良い方をご紹介いただき、ありがとうございました」という感謝の気持ちも必ず伝えましょう。適切なフィードバックを行うことで、社員は会社が本当に求めている人物像をより深く理解でき、次回の精度の高い紹介につながります。

アフターフォローの制度化(会食費用の会社負担など)

リファラル採用がうまくいっている企業様の中には、**不採用になった友人と、紹介した社員で会食に行ってきてもらう(費用は会社負担)**という制度を設けているケースがあります。

「不採用になった人にお金をかけるなんて」と思われるかもしれませんが、この数千円の投資が、「気まずい思いをしたから、二度とリファラルには協力しない」と離反してしまう社員を引き留めるのです。制度としての会社からの配慮が、社員の心理的安全性を担保します。

▼ フォロー体制を含めたルールの作り方
ここまで解説した「不採用時の連絡フロー」や「会食費用の負担」などを、属人的にならずしっかり制度として落とし込むための具体的な手順を解説しています。
関連記事:リファラル採用制度の作り方|失敗しない設計手順と運用ルールを徹底解説

まとめ:紹介者の気持ちに寄り添った制度設計を

リファラル採用を推進するうえで最も重要なのは、紹介してくれる社員の気持ちになって制度を設計することです。

採用担当者側の都合や、インセンティブの有無だけで動かそうとすると、長続きしません。社員が安心して友人に声をかけられ、たとえ縁がなかったとしても関係性が壊れないような配慮と仕組みづくりが、継続的な成果を生み出します。

当社では、一過性の採用ではなく、リファラルが御社の確固たる「文化」として根付くための企画・運営サポートを行っております。イベントの企画からフォローアップの仕組みづくりまで、お困りのことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

また、記事でお伝えしたような「気まずさ」を含め、実際に現場の社員はリファラル採用についてどう感じているのでしょうか?最新の実態調査レポートをまとめました。自社の制度設計のヒントとしてぜひご活用ください。

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監修者

清水 巧株式会社ウィルオブ・パートナー代表取締役社長

SansanでのCS組織立ち上げを経て、2014年に株式会社リフカム(現:株式会社ウィルオブ・パートナー)を設立。リファラル採用支援サービス「Refcome」を通じて数多くの企業の制度設計・風土改革を支援。現場を巻き込むノウハウに精通する。2018年Forbes「アジアを代表する30歳未満の30人」選出。2024年よりウィルオブグループにて企業の採用力強化をリードする。

SansanでのCS組織立ち上げを経て、2014年に株式会社リフカム(現:株式会社ウィルオブ・パートナー)を設立。リファラル採用支援サービス「Refcome」を通じて数多くの企業の制度設計・風土改革を支援。現場を巻き込むノウハウに精通する。2018年Forbes「アジアを代表する30歳未満の30人」選出。2024年よりウィルオブグループにて企業の採用力強化をリードする。