自社採用力を高めるために最も必要なのは、全社員での採用活動〜エンジニアを年間50人以上採用するfreee様の採用力〜
2018年12月7日に開催した、リファラル採用事例セミナーのレポートをお送りします。
今回は、会計ソフトを開発するfreee株式会社の栗林様にご登壇いただき、freee様がどのような採用手法を取っているのか、またエンジニアの採用に関する具体的な取り組みをご紹介いただきました。
採用の7割を占めるダイレクトリクルーティング
当社は現在、会計プロダクトと人事労働プロダクトの分野でシェアナンバーワンとなっていて、従業員数および導入事業所数ともに右肩上がりの状況。従業員採用数は年間100名を超えている。プロダクト開発に力を入れているため、エンジニアが非常に重要。
当社の採用手法としては、ダイレクトリクルーティングが強いのが特徴で、7割強を占めている。残りはリファラル採用が2割、エージェントを使った採用は1割以下にとどまっている。
自社採用力をつけることの3つのメリット
自社の採用力をつけると非常に多くのメリットが感じられる。その中でも3つを簡単に紹介する。
まず、誰かの手を借りずに面接に来る母集団を作ることができ、母集団をよりターゲットに近づけることができることが1つめのメリット。
2つめのメリットは、自社採用は他社と競う可能性が非常に低いこと。大手エージェントを使っていたときにはすでに多くの内定を持っている方が多く、受諾に苦戦したことから、自社採用をするしかない状態だったのも事実である。
また、3つめとして、自社採用は費用対効果が良い。現在、エージェントを使ってエンジニアの採用をすると35~40%の報酬が当たり前の世界だが、それと比べると採用コストは格段の差がある。そこで削減できたコストはブランディングや自社カンファレンスに回すなど、そういった活動にお金を使っている。
自社採用力を高めるための必要なポイント
自社採用力を高めるために最も必要なのは、全社員での採用活動である。
さらに個人的に、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用をするにあたって基盤づくりはしっかり行うよう意識している。
ヒアリングは四半期に一度各部署を周り、どのような人材が欲しいのかを聞き、情報を刷新している。
また、採用基準のアップデートも必ず行う。
会社が成長し変化していく上で、欲しい人材や求める人材も変わってくるが、いつまでも同じ基準で採用していると、会社の成長に求める人材に追いつかなくなってくる。そして、これらの情報は常に言語化して全社員に共有する。
ダイレクトリクルーティングは、部署ごとに戦略を立てている。
さまざまな媒体の特徴を把握して、採用に必要なスカウト数を数字化して現場のメンバーにも共有し、ときには採用活動を一緒行うこともある。
また新しい媒体の利用を積極的に取り入れて、特に初期導入費用のかからないものはまずは使っているようにしている。多くの企業が入ってくると採用が難しくなってくるので、新しい媒体が一番採用しやすい。
リファラル採用の場合、リファラルの必要性を理解してもらうことと友人を連れてくることへのハードルを下げることの2点が基盤となる。そのためには、入社時から社員紹介文化について話し、友人を呼ぶということへの抵抗を徹底的になくしていくことが重要。
社内Facebookを活用し定期的に友人紹介について発信したり、1on1や立ち話などで個別にもアナウンスを行い、いつでもリファラルの情報を知れる機会を作れるように意識している。全社向けと個人向けの発信を並行して行い、採用基準の刷新や採用が決まった際には社員に共有することでより採用への理解と興味を持っていもらうようにしている。
つい先日、これまで一度も友人を紹介したことがなかったエンジニアと立ち話で採用についての相談をしたのだが、「ならばちょっと聞いてみようかな」ということでその場で友人を紹介してもらうことができた。
やりたくないというよりも、最初の一歩を踏み出せない社員が多いのだと思う。一人紹介すると人を紹介することのハードルも下がり、採用紹介に対する社員の意識も変わってくるので、紹介のハードルをどこまで下げられるかが非常に重要である。
社内におけるブランディングの工夫
さまざまなイベントも採用施策のひとつ。自社イベントを活発に開催して社内外ともにブランディング活動を行うよう意識している。
また当社では夜、社員に無料でお弁当が出るが、そこに友達を呼んで来てもらえる「お弁当制度」を設けて、金融業界にありがちな堅い会社のイメージを崩すことに成功している。
さらにRefcomeのツールも積極的に活用している。アナログな施策としては、Refcomeの紹介カードを挟んだポスターを掲示したり、オフィスの壁にリファラル特集のポスターを貼ったりして、いつでも気軽に社員紹介をしやすい仕組みを作っている。
紹介カードにはQRがついていて、カードを貰った人はQRを読み込むことで簡単に応募ができる仕様だ。
採用にかかるすべての人への感謝を忘れずに
最後に、日頃から、採用にかかるすべての人への感謝を意識している。
いろいろな企業の中からfreeeを選んでオフィスに遊びに来てくれるということは非常に嬉しいこと、ありがたいことだと思っている。
たとえ来ていただいた方が現在のfreeeの採用のターゲットにならなかったとしても、なにかひとつ持って帰ってもらえるように、面接の一つ一つを大切にしている。
また、リファラル採用の場合は、紹介者には必ず被紹介者の選考情報を共有。採用過程の状況や採用の可否を必ず伝えることで信頼関係を築き、紹介者へ感謝の意を示している。
ポジティブな話もネガティブな話も隠し事はせずになるべく正直に話すことでより信頼関係を増すことができると考えている。
採用の数字が下がっているときに「どんなことをしたら友達を呼べますか?」のような相談をダイレクトにしたことで、みんな自分視点で考えてくれるようになったし、私達も新しい気付きがあった。
そして年に1度、リクルーティングアワードを開催している。全社員の中で採用活動に貢献してくれたメンバーを表彰し、全社員の前で感謝の気持ちを伝えている。さらにリファラル採用時にはfreeeオリジナルのスペシャルTシャツを渡すなど遊び心で感謝を伝えることもしている。
昨年は100名以上を採用し、そのうちの半数はエンジニアだった。
働いて楽しいと思ってもらえるように、全社員一丸となってより良い組織を作っている。多くの人にfreeeを知ってもらいたいと思って採用活動を進めているので、これからも様々な取り組みで新しいメンバーを見つけていきたい。
すでにリファラル採用の実績が多く出ていながらも、採用基準のアップデートやイベントの開催など、新しい取り組みを忘れない栗林様の姿勢が印象的でした。「採用にかかるすべての人への感謝の気持ちを忘れない」という前向きなお言葉もためになりました。
栗林様、どうもありがとうございました!
登壇者
情報通信関連の商社で営業としてキャリアをスタートし、2014年2月にfreeeに入社。社員数20名強の時代からリクルーターとしてfreeeの魅力について情報発信を行う。現在はリクルーティングのマネージャーとしてfreeeの採用戦略、運用、チームづくりに関わる。freeeテニス部部長も兼務。
情報通信関連の商社で営業としてキャリアをスタートし、2014年2月にfreeeに入社。社員数20名強の時代からリクルーターとしてfreeeの魅力について情報発信を行う。現在はリクルーティングのマネージャーとしてfreeeの採用戦略、運用、チームづくりに関わる。freeeテニス部部長も兼務。