今、なぜリファラル採用なのか?リファラル採用の活用方法と成功事例を紹介
2019年5月22日に開催した、リファラル採用セミナーの開催レポートをお送りします。
ここ数年、毎月300件ほどの引き合いがあるリファラル採用。多くの企業がリファラル採用に注目し、活用しようと考えています。今、なぜリファラル採用なのでしょうか。
今回は、弊社カスタマーサクセス部責任者の小山と、カスタマーリレーションチーム統括責任者の深谷より、リファラル採用の活用方法と成功事例を説明しました。
リファラル採用の活用方法
採用マーケットは領域では考えない
採用マーケットは、大きく新卒・中途・パート、アルバイトの3つの領域があるが、もはや領域を分ける必要はない。
なぜなら新卒採用は通年採用に変わって中途採用と垣根がなくなり始めている。
また、「働き方改革関連法」の成立により2020年4月から「同一賃金同一労働」が導入されるので、パート・アルバイトと社員との垣根がなくなると予想される。
転職潜在層を狙うのがリファラル採用
よくある友人紹介制度で、人事が社員に紹介を依頼しても「転職活動をしている友人はいない」と断られることがほとんど。しかし友人が転職活動中かを把握している社員はいない。
採用活動は、どの層をターゲットにするかが重要。しかし、転職顕在層はレッドオーシャンで競争も激しい。
そこで、媒体などがリーチできない転職潜在層をターゲットにすることができると大きく裾野が広がる。リファラル採用は、転職活動をしていない“転職潜在層”を狙える採用方法である。
またインセンティブを高くしても、社員は紹介してもらえない。よくインセンティブの金額設定の相談を受けるが、インセンティブで人は動かない。
また、インセンティブ額は採用予算にも関わり、一度金額を設定したら下げることは難しいので、安易に高い設定はしない方がよい。
何よりも重要なのは、インセンティブ主体で考えるのではなく、社員のモチベーションに起因するリファラル採用を活性化することに着目すべきである。
なぜやるのか、どうやるのか、何をするのか
サイモン・シネックのゴールデンサークル理論を紹介し、「なぜリファラル採用をするのか」を伝える重要性を説明した。
人は、「なぜ」の腹落ちがあれば、「どうやって」「どのように」の情報を受け止めることができる。
「なぜやるのか」は、できるだけトップが説明した方が社員に届くので、リファラル採用の推進には、経営層を巻き込んで伝えるのが良い。
取り組み事例の紹介
課題は原因を深掘りすることで見えてくる
リファラル採用が活用できないという企業の担当者からは、「原因はよくわからない」という声も多い。しかし原因がわからなければ課題は見つからない。
弊社で捉えているリファラル採用が活用されない原因は主に4つ。この原因を各会社で深掘りしなければ施策は打つことはできない。
1.制度が認知されていない → どうして制度が認知されていないのか?
2.紹介数が伸びない → どうして紹介数が伸びないのか?
3.応募が伸びない → どうして応募が伸びないのか?
4.内定の承諾率が上がらない → どうして内定の承諾率が上がらないのか?
可視化することが大切
コンサルティングで重要視しているのは「可視化」。
リファラル採用の状況だけでなく、現場の人がどういう想いを持っているのかを可視化した上で、会社にマッチした施策を提案している。
実行のサポートまでするのが、弊社のコンサルティングサービスの特徴。
可視化→分析→課題想定→施策→実行のプロセスを繰り返す
可視化が必要なのは以下の2つ。
・リファラル採用の状況把握(定量情報)
・現場の声を収集(定性情報)
これを基に分析し、課題想定とそれに対する解決策を提案する。
また、「友人に紹介した社員数」を把握すべきである。しかしこの数は、応募というレスポンスがない限りわからず、ツールを使わなければ可視化が難しい領域とも言える。
リファラルアンケートの活用
リファラル採用の活用には、現場の人の意見聞き、施策を打つことが重要になる。弊社の「リファラルアンケート」では、制度の認知度、紹介への障壁、制度改善のアイデア、エンゲージメントの4項目を可視化できるようになっている。
リファラルアンケートを実施すると、3つのセグメントに分類される。
A群 友人紹介ができる社員
B群 友人に紹介したいが障壁がある社員
C群 この会社は紹介したくない社員
それぞれのセグメントによって、アプローチ方法が代わる。短期的に人材が欲しければA群・B群に手を打てばいいが、長期的にリファラル採用をしたいならC群に対策を打たなければならない。
リファラルアンケートの調査、分析、レポートは頑張れば自社でもできるかもしれないが、弊社にはこれまで多くの企業の支援実績から培ってきたノウハウがある。ここにコンサルティングを受けるメリットがある。
B群「人に紹介したいが障壁がある社員」へのアプローチ
【事例1】友人を誘いやすい受け皿を作る
それまでのリファラル採用は、紹介したらすぐに選考する「選考直結」の方法だった。この方法では紹介者側が責任を感じやすく障壁となっていたので、誘いやすい、応募しやすい受け皿を作った。
(施策)
リフカム社でも運営をサポートしてイベントやキャリア相談会を実施。応募する前に会社のことを知る機会を作り、紹介数を伸ばした。
【事例2】紹介ツールの変更
リファラル採用の応募にはPCやスマホを使用するので、サーバーを使わないと紹介できなかった。社員の意見として、食事中に友人の前でスマホを使いたくないという声もあった。
(施策)
紙のリファラルカードを作成し、友人に渡してもらうだけで紹介が完了するようにした。裏にQRコードがあり、会社についての情報が閲覧できるようになっている。たとえリファラルカードを使わなかったとしても、社員への制度認知が進む有効策。
【事例3】ノウハウを蓄積する
知人・友人を誘うときに困ることとして、「どう紹介したらいいかわからない」、「誰に紹介したらいいかわからない」、「自部署以外の採用ニーズや人材条件がわからない」という声があった。
(施策)
リファラル採用で入社した人と誘った人の両方へインタビューして記事化・公開することで、どのように友人を誘うのかを実例として知ることができる。
【事例4】紹介者を賞賛する
積極的に友人を紹介してくれた社員に、「なぜ積極的に動いてくれたのか?」とアンケートをとったところ、3人に1人が「褒められたから」と答えた。賞賛される体験が、リファラル採用の活性化につながっていた。
(施策)
・リファラル表彰式を実施
個人・チームなどでリファラル活動をしている人を表彰し、活動者がたくさんいることを知らせた。
【事例5】制度告知のチラシを作成
制度については、「制度内容まで熟知している」、「何となく知っている」、「知らない」の3つに分類できる。制度の認知度を上げることが必要だった。
(施策)
制度告知のチラシを作成し、コピー機の近くや休憩室に貼ることはもちろん、社員2,000人規模の企業では、人事が社員の座席を回って全員にチラシを手渡しした。手渡しをするとそれを見た社員から、直接意見が返ってくる。その意見を基に制度をブラッシュアップしていき、紹介者数、応募数が増えた。
C群「この会社は紹介したくない社員」へのアプローチ
【事例6】紹介したくなる会社作り
(施策)
まずリファラルアンケートでは測れない「エンゲージメント」で組織状態を可視化。11項目で計測した後、各部署から数名ずつピックアップしてヒアリングし、弊社で分析・レポートを作成。
注意すべきはヒアリングしたにも関わらず、対応策を示さなければ、さらに会社への不信感が募ってしまう。社員の意見には、小さなことでも対応していることを示すべきである。この積み重ねが、会社への信頼につながる。
リファラル採用には、誰もが紹介したくなる会社づくりも必要となり、定着率にも影響する。
今回は既にリファラル採用を導入され、もっと活用したいと考えられている方々にご参加いただきました。分析方法や他社の成功事例を真剣に聞く皆さまの姿勢に、リファラルのさらなる可能性を感じました。
ご参加ありがとうございました。