リファラル採用とは。縁故採用との違いは?

あなたの尊敬する先輩や上司から、「私と一緒に仕事しない?」と言われた経験はありますか。

こういった声がけをしてもらえることは、とても価値があることです。あなたのキャリアや成績だけでなく、内面や人間性までもを高評価して、誘ってくれているのですから。

これが、リファラル採用です。

リファラル採用は、従業員の人脈を使った採用手法です。

いまは情報過多の時代で、人々は日々入ってくる情報の取捨選択を余儀なくされています。しかし、信頼のおける人からの情報発信や紹介、いわゆる「口コミ」は、何よりも重要視される情報ソースとなり、行動や判断の基準となっています。

「リファラル採用と言うのかはわかりませんが、紹介経由の採用なら実績がありますよ」

日頃、多数の人事担当者の方からご相談を受ける際、当社から必ず聞く質問があります。「御社では、リファラル採用は行なっていますか?」

その回答でよくあるのが、「紹介ならぼちぼちあるよ」というお返事。

特に制度がなかったり告知などを行なっていなくても、社員の紹介で採用に至った経験のある会社はかなりの割合があるように感じます。一方では、まだ「リファラル採用」という言葉は一般的ではないことが伺えます。

縁故(コネ)採用との違い

リファラル採用って、結局コネ採用と何が違うの?と言うのもよく聞かれる質問です。

当社の場合は、採用前提での紹介をコネ採用、そうでないものをリファラル採用と区別しています。

どの程度実在するかはわかりませんが、社長の”ドラ息子”がなぜか入社試験を受けずに入社してきたりする世界もあるようで、コネ入社に良いイメージは持たれていません。

リファラル採用の場合は、どんな立場の社員の(たとえ社長でも、新卒社員でも)紹介だとしても、他の採用手法、ダイレクト採用や人材紹介など、と同様に、選考基準を満たすかどうかを判断するための、通常の採用試験を受けてもらうことを薦めています。

10名の応募があって、10名が採用できる手法

人事の方からすれば、採用枠10名に対し、10名の応募があり、10名が採用できることが最高の採用でしょう。リファラル採用は、他の採用手法と比較し、これが実現する可能性が一番高いと考えられます。

もとから採用基準が厳しく、100名の応募から1名程度しか採用基準に満たない某IT企業の事例では、リファラル採用経由で、100名の応募から4〜5人が採用できるようになったそうです。社内のノウハウや活用が進めば、採用基準を緩めることなく、50名の応募から10名を採用すること、いずれは10名の応募から10名を採用することも不可能ではないと考えられます。

リファラル採用を活発に行なっている企業

特に成長著しいIT系ベンチャー企業では、優秀な人材を確保するために、リファラル採用を積極的に取り入れているケースが多くあります。

まずは冒頭で挙げたメルカリ。ビジョン、ミッションを重視した企業ブランディングを発信していくことからはじめ、経営陣から積極的にリファラル採用を行なっていき、社員全体へ展開していったことは有名な話です。

エイチームは名古屋が本拠地のITベンチャーですが、本気度の高い事業部横断型のリファラルリクルーティングプロジェクトが数十人規模で構成されています。Sansanは「マイミャク」、カヤックは「ぜんいん人事部」などユニークなリファラル採用の制度名で運営されています。

当社のお客様でもあるfreeeでは、リファラル採用以外での採用を行わないこともあるとか。Salesforceではリファラル採用経由での採用率が50%を超えているそうです。

ところで、御社の採用の課題って何ですか?

ウチはそんな著名な企業でもないし、ITベンチャーでもないし、ミッションやビジョンが浸透しているとも思えないんだよな…と思いましたか?

著名な企業が優秀な一部の人材をどんどんリファラル採用で集めてしまっているのを、「ウチには関係ないや」と指をくわえて見ていられるほど、人材に余裕があればいいのですが、そうではない場合は、下のような採用課題を解決できるリファラル採用に関心を寄せられるのではと思います。

採用したいと思える人材に会えない

今まで多数の人事担当者の声を伺う中で意外だったのは、「自社が採用したい人材ではない人からの応募が多く、選別に工数がかかっていて大変」という声が多いことです。履歴書や職務経歴書からでは判断がつかず、ちょっとでも気になれば会うものの、思っていたのと違っていたというケースは、人事の方では「あるある」のようです。

採用コストが高騰している

採用媒体の掲載費用が高騰しているのみならず、媒体への掲載社数が純増しています。簡単に言えば同じ掲載費用を維持していたのでは、前年と同じような求人閲覧数やエントリー数が確保できなくなっているのは実感されていることかと思います。

当社でお話を聞く際には、必ず、「現在の1人あたりの採用単価」をお伺いしています。なぜなら一般的なITツールの導入の際には、費用対効果を求められるからです。しかし採用は見えないコストも多く、前述した「一次選考不通過」のような「採用業務コスト」も増加していることが考えられます。

内定辞退に苦戦している

せっかく良い人に出会え、内定も出したのに、「●●社の選考中なので回答を待ってもらえますか」とオファー面談で残念な返答をもらったことのある人事の方もいらっしゃるのではないでしょうか。優秀な方であればあるほど、多数の企業から内定をもらっているはずです。そこで比較検討されてしまうということは、その方にとっての1位ではなかったということ。面接で自社の魅力を伝えることは実施していても、先方にそれが魅力と映らなかったら、選んでもらえないという結果になってしまいます。

せっかく採用したのに、出社しない、すぐ離職する

先日、アルバイト採用を行なっている、ある企業の人事担当者とお話をした際に、「初出勤日に、すっぽかされていきなり来なくなる人がいるんですよ…」というお悩みを聞いた際には驚きました。いわゆる「ドタキャン」をしてしまうような人を採用してしまった、という後悔もあったそうですが、これでは採用計画もままならず、その人の採用にかかったコストが無駄になってしまうという、誰もハッピーにならない結果となってしまったそうです。さらに、精神的な徒労も大きかったのではないかと思います。

そもそも求人に応募がない

これにはいくつかの要因があります。一番顕著なのは、自社の求人が人目につきにくくなっているのではないでしょうか。

ご存知の通り、「求人情報に特化した検索エンジン」ともいえるIndeedというWebサービスが急成長していますが、会社の名前で検索されない場合の探し方としては、「渋谷 飲食 バイト」など、場所、業種、業態での組み合わせによる検索をします。その検索結果に引っかかって表示されない限り、あなたの会社の求人を求職者に見てもらえることが難しくなっています。見つけてもらえないので応募すらない、という切実な事態になっているのではないでしょうか。

リファラル採用がもたらすメリット

前述したような、企業が抱える採用の課題は複合的かつ多岐にわたります。

個社それぞれでの状況や事情、切迫度は異なると思いますが、リファラル採用はこのような課題を網羅して解決する可能性が高い採用手法です。

自社にマッチした人が取れる

リファラル採用がもっとも効果を表すのは、その人材の質的側面です。

会社の内面や事情などが紹介する社員から事前に伝わっていることにより、当人のスキルセットや経験等のバックボーンのみならず、「ウチの会社で活躍できそうか?」「ウチの経営理念に共感してくれているか?」「●●部や●●チームの雰囲気と打ち解けそうか?」などといった、入社後のオンボーディング面までもが事前に判断しやすいので、紹介された側も、受け入れる企業側も、アンマッチが非常に少ないことが挙げられます。

結果的に採用にかかる時間やコストが削減できる

リファラル採用で入社した人は、スキルやカルチャーマッチしている上、紹介してくれた社員がいるという安心感や責任感があります。相当な個別事情がない限り、早期退職という事態にはなりにくいものです。

社員が辞めにくいということは、不慮の採用コストがかかったり、採用や離職に関する余計な工数をかけずに済むということ。採用は「なまもの」なので、採用目標人数にコミットしなくてはならない人事の方の精神的な負荷も低く抑えられるのではないでしょうか。人事担当者の本来業務である、会社の事業成長計画としての人員構成や配置戦略、今後の事業展開立案などに集中できるのも、大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

リファラル採用のデメリット

社員の全てを紹介で採用できたら理想的なのですが、そのようなわけにはいきません。完璧な採用手法にもみえるリファラル採用にも、不得意な部分があります。そこを把握してリファラル採用を行なっていくのが重要です。

大量の人を今すぐ採用することはできない

特に中途採用におけるリファラル採用は、主に転職潜在層へアプローチする手法です。「偶然、友人が転職活動中で、自社を紹介できた」というケースは稀で、一般的には半年〜長い場合は数年かけて相手を口説いてくことになります。

来月の●●キャンペーンのためにアルバイトを100名採用しないといけない!といった場合、もちろん従業員に友人への声掛けを依頼することはすべきですが、それよりは求人媒体にコストをかけて露出を増やすことのほうが確実ではないかと思います。

あなたの会社は、友人に紹介したい会社ですか?

もし人事であるあなたが、自社のことを知り合いに自慢したり、紹介できるような状態でなかった場合、おそらく社員の方も同じように思っているはずです。まずは自社の「いいところ探し/アピールポイント」を明らかにしていく必要があります。

当社のRefcomeには、社員のエンゲージメント(従業員推奨度)を計測する機能があり、それを使うと、会社のことを社員がどのように評価しているかがわかるのですが、そこで自社のストロングポイントを洗い出すことで、紹介時のアピールポイントがわかります。

自社の紹介を友人にするということは、かなり高いハードルであることが一般的です。そのハードルを超えるための情報は、まず人事側で揃えておくといいでしょう。

似たようなトーンの人材が集まる

「類は友を呼ぶ」のがリファラル採用なので、やはり社員のタイプに近い人の紹介が増える傾向にあります。ロジカルな人の友人はロジカルな人が多いでしょうし、40代の人の友人は40代前後の人が多いでしょう。それで問題がない場合も多いのですが、意図的に「新しい風」を取り入れるには、別の採用手法を行うのも良いと思います。20代の社員に、50代の部長候補となるベテランを紹介して!とお願いをしても、なかなか難しいはずです。

リファラル採用と従来の採用手法の違い、使い分け

リファラル採用は「ダイレクト採用、採用媒体、人材紹介」の次の第4の手法と言えます。その割合は会社ごとで様々ですが、多くの会社ではリファラル採用以外での手法がゼロになることは考えにくいのではないでしょうか。手法ごとに違いを整理してみます。 image (140) この表を見ても、リファラル採用による採用の一本化は難しいことがわかります。リファラル採用では、「いい人」は採用できますが、やはり人数やタイミングの制御は困難です。定期的な欠員補充の採用は従来の採用手法を行いつつ、リファラル採用は長く地道にやっていくことで、質と人数のバランスを保持することができるのではないでしょうか。

リファラル採用を実施する上での注意点

リファラル採用は、きちんと手順を整理しておかないと、人事の(そして社員の)手間が増える採用手法となりがちです。社員の紹介がメールだったら、社内SNSだったら、チャットだったら、口頭だったらどうでしょう。相手からもらうべき情報はどうしますか?紹介相手をどのように人事に繋いでくれるのがいいでしょうか?直接連絡しても問題ないのでしょうか?

例えば以下のような点を整理しておく必要があります。

複雑な紹介プロセスの設計とコントロール

リファラル採用も選考の1つなので、選考プロセスを配慮したフローを作成しましょう。例えばどのような形で紹介してもらうか?その紹介に対して紹介者にはどのようなお礼とメッセージを伝えておきますか?紹介してもらった相手には、どのようなアプローチで、どのような最初の接点を持ちますか?先方が転職顕在層だった場合は?潜在層の場合は?

これには正解はないのですが、当社の場合はフレームワークを用いて整理しています。

人事の業務整理

採用に関わる情報の整理は、人事業務の中でも重要なタスクとなっているはずです。誰に、いつ、何を、どのように提供し、現在のステータスはどのようになっていて、次のアクションはこのようになっている。これをきちんと可視化しておく必要があります。

紹介してくれる社員のフォロー

友人を自社に紹介する、ということは高いハードルがあるという話をしましたが、これを乗り越えて、紹介してくれたことに対して、会社として、そして人事担当個人として、承認と賞賛のメッセージを伝えることは、非常に重要なことです。

採用プロセスの途中結果を紹介した社員に共有すべきかは議論の余地がありますが、結果、紹介された友人の採用、不採用に関わらず、きちんと結果は伝えること。またその判断ポイントを共有しておくことで、次回以降の紹介基準を整理してもらえます。

リファラル採用経由での採用人数や紹介人数を、社員側にコミットさせる指標にしない

リファラル採用は「頭数を揃えるための採用手法」ではないので、人事の思うような計画通りに採用人数が揃わないこともあります。それを「みんなが紹介してくれないからだ」というような社員側の責任のように押し付けてはいけません。

それよりは、社員全員が採用に携わっている意識、会社の重要な資産である人的資源への意識を高め、日頃からの社内外の取り組みや人脈作りのアンテナを高めてもらうことに注力すべきです。

リファラル採用を社内に浸透させるには

リファラル採用の主役は社員です。

彼らをいかに巻き込んで、採用に関心を持ってもらい、自社で自分と一緒に働いて欲しいと思える人材を会社に紹介し、会社の成長への貢献を意識してもらえるか。

人事は会社の成長に必要な人材を社員から紹介してもらえるような会社づくりに注力できるか。これに尽きます。

人事の負荷を極力軽減する仕組み

上述したように、リファラル採用というものは、ちゃんとやればやろうとすると非常に複雑なプロセスとなります。重要な採用チャネルではありますが、整理すれば効率化できる箇所に工数をかけるのはもったいないので、最初からある決まったプロセスに則って始めるのが効果的な始め方です。

社員にとって様々なシーンで使いやすい

社員は多様な手法で他者との接点を持っています。対面で会う人もいれば、メールだけの人、SNSだけの人もいるでしょう。またどんな場で紹介行為が発生するか事前に読むことは困難です。土日の同窓会や誰かの結婚式かもしれませんし、平日の気兼ねない飲み会かもしれません。ママ友とのランチかもしれません。

なので、「スマホがあれば簡単に紹介ができる」状態を作っておくことは非常に重要です。
スマホの保有率は、全年代で見ても5割を超え(*)、10代〜40代では約8割以上が保持しています。

*出典:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc111110.html

紹介された側の人材に特別感をもたらす

採用媒体や人材紹介サイトに登録すると、企業側やエージェントが登録ユーザに「スカウト」を送る機能がありますが、あれを受け取ることで自分の市場価値のバロメータとしている人がいますが、自分の友人から「自分と一緒に働かないか」と声をかけられることは、それの何倍も喜びがあるのではないでしょうか。

「私が、あなたと働きたい」「会社の人事/先輩/役員と一度会わないか」と言われて、嫌な気持ちになる人は少ないと思います。そのメッセージをストレートに伝えることで、アドバンテージや選択肢が紹介された側の自分にあることがわかり、好感度を持って最初のタッチポイントに向かえるのではないでしょうか。

リファラル採用で重視すべきKPIとは

紹介を社員に強要するものではないのは事実です。とはいえ新しい採用手法だからといって「とりあえず始める」ことはお勧めできません。なぜなら場当たりな施策しかできず、評価も改善もできないからです。きちんと現状把握と目標を持って取り組んでいくべきです。

リファラルファンネルとは

当社の場合、まずは事実データを確認することから始めます。

当社が作成した「リファラルファンネル」(ファンネルとは漏斗のことです)を活用して、今まで発生したリファラル採用経由での採用数や応募数を把握することから始めます。 image (141)

協力者数とスカウト数

この数値を把握すると、コントロールできるところと、できないところがわかるようになります。例えば従業員数は簡単にコントロールできませんが、リファラル採用への協力者数は、施策によっては増やしていくことが可能です。同様に、スカウト数も増やしていくことができます。

これの具体的な施策に関しては、メモリーパレスという記事に詳しいので、そちらをご参照ください。

リファラル採用を成功に導く制度と体制の構築

KPIを達成するための具体的なアクションについては別の機会に譲るとして、リファラル採用を推進していくには、人事の頑張りももちろんですが、社内のキーマンを押さえて協力をあおいで巻き込みながら推進していくことが必要不可欠です。

リファラルキャンバス(関係者の立ち位置と役割の整理)

当社が支援させていただく場合、まず整理するのが関係者の役割分担です。

大きく分けると、「人事担当の中でもリファラル採用にフォーカスしていく運用者」「役員クラスの責任者」「現場の推進者」の3つを、バイネームで設定していきます。

リファラル採用の成功には、人事だけで完結する仕組みではなく、全社、特に経営陣のコミットが非常に重要になってきます。

インセンティブ設計

紹介を行うことに何らかの動機付けは必要になりますが、それの1つの手段としてインセンティブ(報酬)制度があります。

これは会社の文化や方針によって様々ですが、大枠では「何も報酬はない」「数千円〜数万円(多い場合で数十万円)を紹介者に支払う」「紹介を行なったチームや部署(あるいは会社全体)で特典が発生する」となります。

正社員のリファラル採用か、アルバイトなのかによってもパターンは異なります。アルバイトの場合ですと、紹介のお礼として数千円のインセンティブや金券があることで、紹介数が増えるケースがあります。一方で中途採用の場合は、紹介時のインセンティブを10万円から50万円に増やした場合、一切紹介が発生しなくなったケースもあります。これは、紹介する側のインサイトを考えるに、ごく自然な結果でしょう。

これがベスト、な金額や報酬内容があるわけではないので、自社の雰囲気によって様々なやり方を試してほしいのですが、ユニークな事例としては、「紹介による採用が●名を超えたら、賞与を1回増やす!」というインセンティブを設定した例があります。これは組織の規模にもよりますし、その目標が達成可能な状況かにもよりますが、程よいゲーミフィケーション要素が入っており、面白い取り組みだと思います。

インセンティブの設計に関してはこの記事に詳しく書かれています。

リファラル採用を攻めの採用にするために

社員に「いい人がいたら紹介してね!」と言うこと自体は今日からでもできることですが、言った後に紹介を待つということは、ダイレクト採用と同様、応募が来るまで待つ、という守りの採用手法となってしまいます。そうするとコントロールできるものが減り、成り行きまかせとなってしまうので、それは勿体ないことです。攻めの採用ということは、人事や会社側からプッシュすることで数値のコントロールに少しでも関与していく、可能な限り計画的な採用に昇華させていくということに他なりません。

事実を集めて可視化する

まずは前述したようなリファラル・ファンネルに基づく事実データを集めましょう。意図していない紹介経由での採用の場合、人事が正確に把握しているとは限りません。わかる範囲でいいので、まずは実績を揃えましょう。半年〜1年程度のデータがあるとなお良いのですが、まずは直近3ヶ月でどのような状況なのかを把握します。

改善するポイントを把握する

数値を眺めると、気になることが出てきたのではないでしょうか。主に関与できる指標としては、協力人数と紹介数であるという話をしましたが、各指標からの「歩留まり」、つまりファンネルの次の項目への遷移率を見ると、ここはもう少し伸ばせそうでは?という気づきが得られると思います。

例えば従業員数が200名で、協力社員数が10名で、紹介数が20名の場合、協力社員率は5%、紹介率は200%です。この場合は、協力社員数を増やせると、紹介数が自然に増えていくことがわかります。

PDCAを回せる状態にする

上記の例の場合、協力社員数を増やす必要があるとわかりました。

今までもし紹介に関する何らかの施策を行なっていた場合、その内容や頻度をピックアップします。その施策の回数や内容の見直しを行うのか、または新たな別の施策を立てて期間を決めて実行するかを判断し、実施します。

その期間が終わったあと、協力社員数の増減について判断します。効果が出てきたら継続する、強化するなどの判断を行いますが、変化がなかった場合、別の施策を検討して、また期間を決めて実施します。

その改善サイクルを、数週間〜数ヶ月かけて回していきます。施策の内容と数値さえわかっていれば評価ができるので、絶えず計測可能な状態で施策を行なっていることが重要です。

リファラル採用が成功している企業が行なっている施策例

リファラル採用を活性化するための施策はいくつかあるのですが、ここでは施策のスタンスと具体的な施策例をいくつか紹介します。

これは、この施策を行えば必ずリファラル採用が活性化するというものではなく、上記のPDCAの一例として例えばこんな施策をやるのはどうだろうか?という観点で参考にしてください。

社員を巻き込み、採用を自分ごと化してもらうメッセージ

リファラル採用の初期段階で、人事が取るべき大事なスタンスがあります。採用は各社員にとって本来業務ではないのを理解した上で、全社施策として、役員または社長自ら、このプロジェクトを主体的に実行していく宣言をすることです。

通常、社員にとって採用業務は人事の仕事で、自分の仕事ではないと思っていますが、このメッセージを発信することで、自分も自社の採用に携わるべきなのだという意識を持ってもらうことを目的にします。

社員に行なってほしいことを明確化した上で、誘う際に必要なツール(例えば会社紹介や採用ポリシー、募集要項)は人事側から提供するので、活用してほしい旨を伝えます。

もしこの段階で、すでに紹介からの採用がある場合、自社の事例としてエピソードを紹介するのもよいでしょう。紹介した人、された人を賞賛する文化があるとなお良いでしょう。

このメッセージは、会社として社員に向けたオフィシャルな場で宣言するのをお勧めします。例えばクオーターごとに行われる全社集会などです。

明確な言語化を募集要項にして、バイネームで情報を発信

マネジメント層からの宣言が行われたら、次は人事担当者の出番です。実際に紹介するにはどのようなフローで、どのような選考が行われ、どのような採用プロセスを経て採用に至るのかを説明した上で、社員に担ってほしいタスクを明確化して、人事担当者個人のメッセージとして発信します。

「私が、あなたに協力してほしい」というスタンスは、あなた(社員)への自分ごと化としてメッセージを受け取るように促せます。

ここで重要なのは、「コネ採用」とは異なり、必ず採用されるわけではないことを明らかにしておくことです。いくら優秀でも、タイミングなどによって採用に至らないことがあること、それを事前に紹介される友人に説明しておくことなど、紹介時の注意点なども添えることが重要です。誘い方のサンプルメッセージなどがあれば資料を用意しておくのがよいでしょう。

自社の紹介や魅力がまとまった資料、冊子の配布

紹介をすること自体にハードルがあるというのは何回かご説明した通りです。紹介時には、社員の口から直接自社の魅力を語ってもらったり、働きやすさや周囲の環境、福利厚生や評価制度などを伝えてもらうわけですが、これを見ればわかるよ!という資料があれば、それを見せて、それに沿った説明をすることができます。

紹介に必要な情報は極力人事側で準備し、紹介する社員はそれを使えば様々な点を紹介することができるわけです。

紹介する相手の興味がどこにあるかを探るだけでも、紹介に必要な情報はどれが重要なのかがわかるので、一通りの情報を揃えておくと良いでしょう。

その中には、ビジョンやミッションなど、どのような方針で企業を運営しているのか。社員に持っておいてほしいマインドはどのようなことなのか、などについて記載するのを忘れないでください。それに共感してくれるのかどうかは、重要な採用基準の指標になるでしょう。

社内に掲示するポスター、紹介したい人に渡すカード

全社集会でトップからの「お触れ」があったところで、日常業務に戻れば、社員はそういった依頼があったことは忘れてしまいます。それを防ぐために、社員が日常で目にするような休憩所や会議室、ランチルームなどに、リファラル採用を行なっている旨を告知するためのポスターを掲示している会社は多くあります。コストも少なく、まず最初に取り組めることでもあるからです。

ただし、ポスターがあるから「見ているだろう、忘れていないだろう」は大きな勘違いのポイントです。何らか継続的に、社員全体には施策について周知していかないと、社員への周知は広がっていきません。

当社がお勧めしている施策の一つに、「インビテーションカード」があります。これは、本当に紹介したい人に渡す、ちょっとしたレアリティのあるプラスチックのカードです。「当社に興味があったらここに連絡してください」と、QRコードなどに連絡先が記された特別感を演出するカードです。

紹介する人とされる人の関係性が良好ならば、このカードをもらって嬉しくない人はいないと思います。そこで紹介された側の人が興味を持って連絡をしてきてくれたならば、人事の方は誠意をもって、しかし焦らずに適切な「受け皿」へ誘導してあげてください。

企業規模別リファラル採用の実践例

リファラル採用の最初の変数は、従業員数です。

ここでは、企業規模別にどのようにリファラル採用を推進していくべきかについてお伝えします。

〜70人程度の企業の場合

人数がさほど多くない企業の場合は、創業者がCEOを担っていたり、創業メンバーがまだ残っていたりする場合が多く、それなりにビジョンやミッションに対するコミットメントが浸透しているフェーズです。特に20人くらいまでの場合は、おのずとリファラル採用で人数を増やしてきている場合もあるでしょう。

この段階では、ビジョンについて社員が自分の言葉で語れる人が多く、どのような人材がいれば会社の成長に貢献するかがわかっている場合もあるので、今採用を募集しているかだけがわかっていれば、自然と紹介が発生することもあります。

今の経営状況や採用計画をちゃんと社員に周知できている企業であれば、おそらく紹介には困らない段階ですが、もっと「コア人材」を増やしていく場合は、意図的にリファラル採用をドライブしていくのがよいでしょう。

〜200人程度の企業の場合

この規模で、創業メンバーが残っていないケースの場合、ビジョン経営が薄れたり、企業の成長や売り上げを優先すべく大量採用を行なっていたり、新卒採用からのプロパー社員のモチベーションが下がるなど、社員の立場や会社に対する思いが不揃いになっているフェーズであることが多くみられます。

その際には、各部署からビジョンに対する思いが強いメンバーを立候補制などで「リファラル採用プロジェクト」に巻き込み、推進を図っていくことが良いでしょう。部署横断になるため、ベテランクラスのメンバーだけでなく、例えば新卒3年目、などの若手メンバーも巻き込んで、メンバーの年次や年齢バランスを加味しながら進めていくのがポイントです。

それ以上の企業の場合

新卒採用を積極的に数十人〜数百人の規模で行なうフェーズに移行しており、創業者はすでに不在の場合があります。ビジョンなどのメッセージは薄れていて、採用が現場の部署レベルで行われていることもあります。

おそらく知名度があるため、求人への応募は多いものの、求めている人材のレベルがまばらで、ほしい人材がなかなか採用できないといった課題を抱えている場合が多くあります。

この段階では、もしかすると「全社一丸になって」リファラルを推奨するには規模が大きすぎることがあるので、特に採用に困っている部署でリーンに開始し、徐々に広げていくといいでしょう。

リファラル採用プロジェクトは上記の〜200人規模の場合と同様に、現場のやる気のある人と役員クラスを巻き込んで進めていくと成果につながりやすいはずです。

店舗でアルバイト社員がたくさんいる場合は、本部の人事担当者主導でやるとうまくいかない場合があるので、店長さんやバイトリーダーの方の巻き込みは必須です。店長さんのやる気がある店舗からスタートして、ノウハウを貯めてから店長会議などでシェアし、広げていくのがよいでしょう。

中途社員のリファラル採用事例

量よりも質、相性が重要な会社では、中途採用のリファラル採用は非常にフィットします。

中途採用担当者の方からは、特にダイレクト採用の場合、ターゲットではない応募が非常に多く、選考にかかる稼働が非常に大変だという声をよく伺います。

それに対し、リファラル採用ですと、「会社が(特に現場が)本当に必要としている人材」のイメージが伝わりやすく、スキルやマインドセットのすり合わせも比較的容易なため、「書類選考率が高い」「内定率が全く異なる」「内定辞退がない」など、人事の方の稼働が徒労に終わることなく、非常に良い採用ができています。

エンジニアの採用事例

現在は全ての職種で採用難と言われていますが、有能なエンジニアはリファラル採用以外では採用が不可能、とまで言われているほどの難易度となっています。

そもそも引く手数多の人気職種ですから、彼らの方から評判もわからず既存接点のない会社を選ぶことはありません。転職活動をせずとも自分のやりたいことをやらせてくれる人に声をかけてもらって新しい会社へ移っていきます。彼らは転職サイトに登録することは少ないのではないかと思います。

看護師、介護士の採用事例

いわゆる士業の場合、資格がないとそもそもその職業につけず、働く場所に対して常に慢性的に人が足りていない状況です。彼らは仕事をする環境を選ぶことができるので、その魅力が伝わる接点として重要なのが口コミといえるでしょう。環境や待遇をまとめた冊子を配布し、社員の口から魅力を解説することで、そこで働くイメージを持ってもらえます。

パート、アルバイト社員のリファラル採用事例

リファラル採用で紹介する既存スタッフの友人は、もし不義理をして知人の顔を潰すことに抵抗感があるため、アルバイト採用にありがちな「面接にこない」「内定をしても出社日に来ない」「すぐ辞める」ということがなく、安定的に仕事をしてもらえる大事なメンバーになります。このケースの場合、正社員のリファラル採用よりは誘う方も気軽に誘うことができ、紹介された友人も、顔見知りが働いていることで、実際の業務内容や人間関係、給与や休暇など、面接時に直接聞きにくいことも事前に把握して応募してもらえます。

飲食店舗のアルバイトスタッフ

アルバイトをする上で、業務内容は接客なのか、キッチンなのかなどの予想ができても、人間関係や繁忙期の対応についてなど、アルバイト面談でそこまで聞きにくいなということがありますが、「中の人」が事実を教えてくれれば、働く前からギャップを感じずに面談に向かうことができるでしょう。仲のいい友達が働いていれば、気軽に応募もしてもらえ、店長さんやリーダーなどからも喜んでもらえる人を仲間に迎えることができるのは、そこで働く人たち全員がハッピーになれるのではないでしょうか。

ここで重要なのは、アルバイト採用を現場に任せることの業務負荷を極力排除してあげることです。例えば紹介しやすい仕組みや告知方法、ちょっとしたインセンティブを作ったりすることが重要となってきます。

その他シーンでのリファラル採用事例

その他の採用シーンにおいても、リファラル採用がうまくいく活用事例があります。

新入社員による後輩のリクルーティング

会社に入社したばかりの新入社員というのは、期待に溢れモチベーションが高い状態にあることが多いです。その状態を生かして、例えばゼミの同級生や後輩など、自分が一緒に働いてみたい、優秀だなと思う人に、自分の会社の紹介をしてあげることで、紹介された側は、無数にある会社の中からその会社を選ぶきっかけの1つになるでしょう。

就職時に、どの会社を選んだらいいかわからない、どの会社が自分に合っているか悩んでいる、わからないといった人も多いため、信頼の置ける先輩が就職した先は、その後輩にとっては大きな選定ポイントとなります。

ジョブローテーション(社内異動)

特殊な例ですが、特に大手企業の場合、本人のキャリアアップや志向に沿ったキャリアチェンジの為に、社内で別の部署に異動させるケースがあります。これは本人の立候補によるものが多いのですが、上司から配下の部下に「この人をこの部署に異動させてほしい」というような推薦を行うケースがあります。

アルバイトから正社員へのポジションチェンジ

長くアルバイトとして業務をこなし、正社員登用を検討する場合にも、担当社員や店長等の「お墨付き」があるとスムーズに事が運びます。もちろん本人の意志があって初めてポジションチェンジをしたいかどうかが決まるでしょうが、そこにも紹介という作用はいい方向に働くことが多いのではないでしょうか。

リファラル採用ツールは何ができるのか

ところで、最近増えてきているリファラル採用を行うツールですが、実際には何ができるものなのでしょうか。当社のRefcomeや、他社ツールが機能として備えているものはこのようなものです。

募集や周知、応募の簡素化

いわゆるクローズドな採用募集要項(オープンな場合ももちろんありますが)をツール内で作成し、自社の社員に向かって「こういうポジションを●●部で募集しているので、知り合いでいい人がいたら紹介をしてください」というメッセージを、メールやその他社内ツールで告知します。

もちろん、既存のイントラサイトや社内のメーリングリストでも告知自体は可能ですが、紹介をする相手に内容を共有することと、その紹介された相手が応募するという機能を持っていることが多いです。

状況の把握

どの募集要項に対し、誰が何人の友人に紹介してくれて、実際に応募は何件あって、という情報が蓄積され、このデータはあとで「この募集の何がよかったのか、悪かったのか」に振り返ることができます。

これもこの内容自体はツールがなくても行えることですが、数が増えれば集計すること自体が煩雑になることは想像に難くないと思います。

ツールの比較ポイント

そのツールを使うのに条件があるのかを把握しておく必要があります。例えば集計はできるが分析はできない、LINEのアカウントがないと使えない、会員登録をしないと使えない、などです。管理画面は人事の方しか利用しませんが、紹介自体は社員の方に使ってもらうことになるので、紹介行為を阻害しないことと、どういうデータがどのように溜まっていくのかをきちんと把握することが重要です。

リファラル採用にツールが必要な理由

リファラル採用はもちろん「いい人がいたら紹介してね!」の声がけから始まるアナログな施策ではありますが、それだとこの施策の費用対効果は測ることができません。

一般的な求人媒体でも、その記事を出稿するのにいくら、その記事はどのくらい見られて、何応募くらいあって、そこから書類選考通過率、面接通過率、内定率、内定承諾率などを算出して、1人あたりの採用コストを算出すると思いますが、リファラル採用にも同様な考え方を適用すれば、費用対効果を測ることが可能になります。

問題が発見できない

アナログで場当たり的に施策を実施するということは、PDCAのPがないということ。Pがないことは、仮説も検証もなく、ただ「無計画にやっただけ」です。意図した計画ではないものに、よかった、悪かったという評価はつけることができません。

なぜツールを使う必要があるかというと、「同時期にさまざまなテストをしながら施策ができる」「この施策の●●という点はどのような効果をもたらしたのか」というデータから、問題を発見できるからです。これは人間が頑張ってなんとかできること、と思われるかもしれませんが、それは人事の本来業務ではないと考えられます。データを集約して分析に資する状態にすることはツールに任せて、その分析結果から新たな施策を考えて実行する方にリソースを割くべきではないでしょうか。

改善が測れない

一般的に、比較分析を行う場合は「同一の条件で」「コントロールできる変数を用いて」実施していきます。その比較した結果から、「どちらがどのようによかった」かを把握し、そのよかった方を残して新たな比較テストと分析を行います。

ツールを使うと、この「どちらがどのようによかった」を定量的に証明することができます。そうすると、「よりよくするためには、この変数ををこのように変えてみる」「目標の数値は●●である」といったような、誰が見ても結果が判断できる施策を行うことができることは、施策評価と成果の把握の面で非常に重要なことです。

「多分、社員のほとんどがリファラル採用の制度認知をしてくれているはずです」といった施策の考察は、何もやっていないのと同等でしょう。

潜在協力者がわからない

これは特にリファラル採用の施策を行なっていく上で、「ツールがなくてもできそうだ」と思われる方が見落とす指標です。

リファラル採用は「社員の方が友人を紹介する」というアクションがあって初めて成り立つ施策なのですが、実際に人事の方が把握されているのは「●●さんは社員のAさんが紹介してくれた」という事実だけなのではないでしょうか。

Aさんは紹介した友人が結果として応募を行ったことでその事実がわかるわけですが、もし他の社員Bさんが実は(応募にはいたらなかったものの)友人10人に声をかけてくれていることがわかったとしたらどうでしょうか。これは、ツールがなければ取得できない指標ではないでしょうか。

応募に至らなかったが紹介を積極的に行なってくれた社員が特定できたら、なぜ応募に至らないのかの原因を把握でき、そこに対して個別の施策やアドバイスができるようになります。

これをエクセルで管理しようとしたら気が遠くなりそうです。毎日、「紹介したら誰に何人声をかけたのか教えてね」と周知するのでしょうか。面倒になって誰も紹介に協力してくれなくなり、施策は頓挫するはずです。

リファラル採用にコンサルティングが必要な理由

多くの会社で、「声がけなら既にやっているよ」「ポスターで周知している」というお話をよく伺います。これだけで社員の方が途切れなく紹介をしてくれ、その紹介ルートで安定的に採用ができているならば、そのまま続ければいいのですが、残念ながら、どんなに士気が高い組織でも、普通はそれだけでリファラル採用が継続して活性化し続けるすることはないような状況です。

これを知らない人事の方が多いので、「ポスターを貼ったけど紹介をしてくれないから、ウチにはリファラル採用はきっと合わないんだな」と思考停止をしてしまいます。前述したような計測も効果測定もしていない施策に、思い込みや主観で結論づけてしまうのは、非常に勿体無いことではないでしょうか。

これをやれば必ず成功するという王道の施策はない

まずお伝えしたいのは、リファラル採用でこれをやっておけば必ず成功するという施策はない、ということです。社員そのものもそうですが、社員の人脈や採用そのものは「なまもの」であり、「他社と・過去と同じ状況」で「再現可能なこと」はあり得ないからです。

その中で行う施策にはいくつかの組み合わせや、期間的、組織的な構成要素があります。その中には、ポスターや定期的な声がけだけでなく、リファラル採用を推進していくためのプロジェクトチームの構築、その中での役割分担やフォロー、そして根本にあるのは「社員が自信をもって紹介してくれる会社づくり」への取り組みなどです。

1社1社の社風や文化、現在在籍している人材によって向いている施策が異なる

もし今の段階で、リファラル採用で入社された方が多い場合と、1名もリファラル採用による入社経験がない場合では、全社的なリファラル採用の推進度合いに違いがありそうだというのは感覚的にもお分かりかと思います。また企業規模や推進単位(全社なのか、特定部署なのか)によっても、どのように広げていけばいいのかが異なります。

社員の方はエンゲージメントは高いのでしょうか?低そうですか?社長や役員の方の協力は得られそうですか?そこからアセスメントを取得して、どのように推進していくかを検討する必要があります。

当社のコンサルティングサービスの特徴

当社ではRefcomeというリファラル採用を活性化するためのツールを提供していますが、ツールはただの道具でしかなく、それに「魂を込めた施策を実施する」ためのコンサルティングサービスを提供しています。

これはただの作業代行ではなく、1社1社の採用への取り組み方、置かれている状況や、ありたい姿などをファシリテーションし、部署や役割を横断した企画立案から支援しています。

リファラル採用は普通にやると人事の方への負荷が重い採用手法なので、そこをどのように整理して、必要なタスクをプロジェクトチームに割り振って、スキルトランスファを行なっていきます。そして組織が一丸となって自走できるような体制に仕立て上げていきます。

リファラル採用をやらない理由はない

ここまでお読みになって、大変そうだなぁと思われたでしょうか。最後に、全ての会社がリファラル採用を行うべき理由を述べていきます。

リファラル採用は、中長期施策である

リファラル採用は「すぐに10人を採用できる手法ではない」ことをお伝えしましたが、もし採用媒体で今月採用した10名が3ヶ月後に5名退職してしまった場合、また「すぐに5人採用しなくては」となり、採用業務が自転車操業化します。これは会社側、応募者側のアンマッチが引き起こす、誰も幸せになれない施策です。

社員の紹介というフィルタは、アンマッチを未然に防止します。ただし「今すぐ紹介して」は社員からの抵抗感も強く、もし紹介が発生したとしても、すぐ人材が枯渇してしまいます。

いま転職を考えている人は、採用媒体を見るでしょうし、エージェントにも相談しています。派遣会社に登録もしているでしょう。その人たちはあなたの会社に就職したいから転職活動を行なっているのではなく、今の会社をやめたいから転職活動をしているのです。

ここで働きたい、という内なる強い動機を持ってもらうには、時間がかかります。粘り強く説得していく必要もあるでしょう。お互いの理解や納得があったうえでの就職が実現するリファラル採用は、採用側だけでなく、人材側にもメリットの大きい手段であるというのを、じっくり伝えていく必要があります。

バロメータは企業の魅力と人材力

あなたは他の会社に勤める仲の良い友人を、自社に誘いたいと思いますか?

会社の人材採用を司っている人事を担当している方が、もし、自社に友人を紹介できないとするならば、その会社の魅力を社員の方はどうやって伝えればよいのでしょうか。

今いる人材がいつ離職するかはわかりません。ご存知の通り、労働人口は減っていく一方です。星の数ほどある会社から、あなたの会社を探しあてて、選んでもらうことが、どのように難しくなっているか。想像することは難くないでしょう。

仕事は「何をするか」より「誰とするか」

その会社でしかやることができない内容の仕事は少ないでしょうが、あなたの尊敬する●●さんがいる会社はあの会社しかないのです。退職理由でもっとも多い「人間関係」が軽減されるだけでも、その会社が選ばれる理由となっていくのではないでしょうか。

*出典:https://corp.en-japan.com/newsrelease/2016/3191.html

ウチの会社には合ってないかも、と思われた場合

リファラル採用に取り組むということは、自社を「より良い会社にする」動きと同質のものです。それに既に取り組んでいる会社も多く、転職市場に出ないターゲットから優秀な人材をいち早く確保しようとしています。

あなたがもし次に転職するとしたら、採用媒体に登録しますか?エージェントに依頼しますか?それとも、仲の良い人が勤める会社に誘ってもらいたいですか?

当社の思い

当社は「採用は仲間集めである」というビジョンを掲げ、会社に勤める全社員が、共に働く仲間を自分たち自らが探すのが普通である、という世界を目指しています。

リファラル採用は、より素晴らしい会社であることを測る手段の1つでしかありません。ですが、素晴らしい会社こそ、リファラル採用によって有能な仲間が自然に集まり、さらに大きく成長していくのではないかと考えています。