100年企業、荏原製作所が実践する新卒リファラル採用とは
グループ経営戦略・人事統括部 人材開発部 採用課 青木 竜司さん
1988年生まれ。同志社大学法学部卒。日立製作所にて鉄道事業者向け営業に携わったのち、パソナキャリアで化学業界における大手企業から創業間もないベンチャー企業向けのリクルーティングアドバイザーと、転職希望者へのキャリアアドバイザーに従事。2019年1月、荏原製作所に入社。現在は新卒採用、中途採用、リファラル採用を担当。趣味はフットサル。
株式会社荏原製作所は、東証一部上場の産業機械メーカです。社会インフラを支え、産業発展の力となり、安心で安全な暮らしや豊かな社会の実現に貢献している企業で、風水力事業、環境事業、精密・電子事業を主要な事業としています。
今回お話を伺った採用課の青木さんは、前職で人材紹介エージェントとして働いた際、第三者として企業の採用を支援するだけでなく、自ら当事者となり採用を通じて組織に貢献したい想いから人事にキャリアチェンジしたそうです。毎年100名ほどの新卒社員を採用している同社が行っている、新卒のリファラル採用について伺いました。
業種 | メーカー |
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所在地 | 東京都大田区 |
従業員数 | 17,080名(2019年12月末現在)※連結 |
採用職種 | 新卒入社社員 |
- 専門性の高い若手人材の採用競争が激化しており、採用が難しくなっている
- 学生への知名度があまり高くない
- 事前のリファラルに関するアンケート実施により、効率的に社内への制度周知ができた
- アンケートを通じて、社員から会社に対するリアルな声を聞くことができた
- 新卒採用だけでなく、難しいと考えていた専門性の高い若手中途人材の採用もできた
新卒リファラル採用への期待は、激化する採用競争からの脱却と社員満足度の可視化
ーーリファラル採用をはじめた背景を教えてください
新卒や第二新卒といった若手世代の働き手が減っていくなかで、エージェントやナビサイトだけでは採用が厳しくなってきています。特に私たちのような技術系の専門人材を多く必要とする企業においては採用競争が激化していて、採用に社員の協力が不可欠でした。
また、リファラル採用に取り組むことで、会社の”今の状態”を知りたかったんです。リファラル採用を始めてみて、会社への満足度が高い社員が多ければ紹介が発生する、逆に紹介がないのであれば会社に何らかの課題があるはず。リファラルを通じてそれが見えてくると思いました。
ーー新卒採用に導入したのはなぜですか?
以前から新卒採用での紹介応募はありました。主に理系学生が対象ですが、若手の新卒社員が母校の研究室を訪ねて、実際に取組んでいる仕事内容について後輩に話してもらうことで、応募に繋がることがあります。これを研究室だけでなく部活やサークルといった繋がり、さらに第二新卒にまで広げられたら、と思いました。
手前味噌ですが、荏原って本当にいい会社なんです。学生への知名度があまり高くないのですが、人づてに会社のことを聞いたり、実際に働いている社員に会うと、いい会社だと思ってもらえて応募に繋がるケースが多かったので、リファラルがマッチするなと思いました。
僕自身も中途で入社してみて、荏原の人の良さを感じているので、自信を持って友人知人にお勧めできます。採用だけでなく荏原の良さがリファラルを通じて伝わっていくんじゃないかという期待も込めています。
導入の決め手は、ツールだけでは実現できないリファラルの難しさに寄り添ってくれたこと
ーーRefcomeに問い合わせをした背景を教えてください
まずはリファラルの対象を若手社員としていたので、後輩や友人に「こういうのがあるけど、どう?」と気軽に使えるツールがあるといいなと思いました。
ただ、リファラル採用のツールについては知見もなかったので、「リファラル」で検索して出てくる会社さんに片っ端から会いました(笑)。
正直な話、当初は価格面で優位だった別のベンダーさんを導入する流れで進んでいました。ただ、リファラルってツールを入れるだけではうまくいかないと分かっていたので、導入後のサポート状況が気になっていました。そんな時、商談に営業だけでなくカスタマーサクセスの方が同席してくれたのはリフカムだけだったんです。契約がゴールではなく、契約後も成功に向けてフォローしてくれるイメージがわいて、最終的にリフカムに決めました。
ーーリフカム導入後の流れを教えてください
リファラルを始める際に、最初から社員全員を巻き込むのはハードルが高いと思い、まずは普段から友人とキャリアについて話す機会が多い若手社員を対象に進めました。具体的には、リフカムが用意してくれたリファラルアンケートを内定者と入社5年目までの新卒社員400名程に実施しました。これにより、リファラルに対して協力的・中立的・非協力的な社員群がみえてきました。
その後、若手社員のなかで希望者を中心にリファラル採用の進め方や目的、ツールの利用方法の説明を行いました。同様のやり方で対象者を10年目までの社員、中途入社2年目までの社員へと広げていきました。
アンケートは推進メンバーを見つけ出すだけではなく、社員のリファラルに対する印象や、会社への改善要望などリアルな意見が聞けたのもよかったですね。
ーー逆にこうしておけば良かったという点はありますか?
多数の社員を呼んでリファラル採用の説明会を開催したのですが、人数が多いほどこちらが意図していることがきちんと伝わっていない事に気がつきました。
こちらとしては、「友人知人に気軽に声をかけてみてね」という温度感だったんですが、参加者は、「ちゃんとした人を推薦しないといけない」というニュアンスで受け取ってしまって、リファラル採用に対するズレが生じてしまいました。説明会に参加できていない方も同様な受け止め方をしているのではないか、と思ったので、個別で会う際に話題に出して相手の認識を確認するようにしています。
今後は、こういったズレを防ぐために少人数での説明会や個々人とのコミュニケーションをきちんとしていく必要があるなと思っています。
使いやすいツール設計が効率的な情報発信を実現
ーーリフカムの導入効果について教えてください
リファラルをゼロから自社でやろうと思っても、社内への情報共有や管理が難しいですし、社員側も紹介してと言われても、募集ポジションを確認して友人に説明をしたり、採用課とのやりとりを何度もしたりと非常に手間がかかります。
リフカムを導入してみて、採用課としては候補者管理がクラウド上でできるし、求人も作りやすい。社員は、募集ポジションがひと目で分かるし、募集要項を簡単に友人に送ることができるので、非常にありがたいですね。
また、事前アンケートを実施したおかげで、リファラルの周知を効果的に行うことができたので、難しいと考えていた専門性の高い若手中途人材の紹介が発生し、そこから入社に繋がる嬉しい成果も得られました。
ーー今後はリファラル採用をどう推進していきたいですか?
新卒が気軽に自分の会社を紹介できるようにしていきたいと思っています。新卒社員は「なぜ荏原に入社したのか」一番熱を持って話せると思うんですよね。その熱が伝わると受け手側も応募してみようと思ってくれるし、社員自身も、「なぜ荏原にしたのか、なぜこの仕事にしたのか」を思い出すことによって、モチベーションが上がったり、初心に立ち返れるような糸口になればと思います。数字的な目標では新卒の10%をリファラルで採用していきたいですね。
今はもちろん採用課が舵をとってリファラルを推進していますが、ゆくゆくは採用課だけでなく、荏原で働く全員が自分たちの組織のために、「こんな人が必要だから声をかけてみよう」と自発的に動いてくれるようになるといいなと思っています。
ここまで、ご一読いただきありがとうございました。
下記、参考記事ではリファラル採用に成功している企業の事例を解説しています。
是非、こちらもご一読ください。
参考記事:
リファラル採用を成功している企業10社の事例を解説