人手不足の現状と2030年問題の影響
日本の人手不足は、経済活動の根幹を揺るがす重大な課題となっています。企業の倒産や事業縮小の要因として、人手不足が挙げられるケースは年々増加しており、2025年には「人手不足倒産」が3年連続で過去最多を更新しました。
2030年には644万人の労働力が不足
2030年には、日本全体で644万人の労働力が不足すると予測されています。パーソル総合研究所の推計によると、2030年の労働需要は7,073万人です。対して、労働供給は6,429万人に留まるとされています。既に2020年時点で不足数は384万人、2025年は505万人と言われていますが、不足幅は拡大の一途を辿っています。企業は、限られた人材を奪い合う激しい競争の渦中に置かれています。
| 推計年 | 不足労働者数(万人) | 需要(万人) | 供給(万人) |
|---|---|---|---|
| 2020年 | 384 | 7,105 | 6,721 |
| 2025年 | 505 | 7,108 | 6,603 |
| 2030年 | 644 | 7,073 | 6,429 |
生産年齢人口の減少ペースが加速する2030年代の脅威
日本の生産年齢人口(15歳から64歳)は、1995年をピークに減少を続けています。生産年齢人口の減少ペースは、2030年代に入るとさらに急ピッチとなります。
パーソル総合研究所の調査結果によると、2035年には、1人あたりの年間労働時間が2023年比で約9%減少(1,850時間→1,687時間)すると予測されており、働き手の「数」だけでなく「総労働時間」が物理的に減少します1。従来の採用手法は通用しません。
人材の確保だけでなく、既存従業員の定着や生産性向上が不可欠です。
業界別の人手不足深刻度と欠員率の傾向
人手不足の深刻度は、産業や企業規模によって大きな格差が生じています。
特に労働集約的な業種において、人材の不足感は際立っています。
| 業種 | 人手不足企業の割合 | 特徴的な課題 |
|---|---|---|
| 建設 | 70.2% | 若手入職者の減少と高齢化 |
| 運輸・倉庫 | 67.1% | 2024年問題による労働規制 |
| メンテナンス・警備 | 63.6% | 低賃金・不規則な労働環境 |
| 旅館・ホテル | 59.0%(非正社員) | パート・アルバイトの欠員過多 |
帝国データバンクの調査では、企業の51.6%が人手不足を感じていると回答しています。医療・福祉業では、2040年度に約272万人の介護職員が必要になるとされています。建設業では、60歳以上の技能者が約4割を占める一方、29歳以下は約12%に留まります。特定業種において人材供給が断絶することで、社会インフラの維持も難しくなっていきます。
なぜ人手不足は深刻化するのか?4つの構造的な原因
人手不足が解消されない背景には、単一の理由ではなく複数の構造的要因が絡み合っています。
企業が対策を講じるためには、人手不足を招いている原因を見ていきましょう。
1. 少子高齢化による絶対的な労働力供給の限界
最大の要因は、少子高齢化の進行です。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、2070年には日本の総人口が現在の約7割にまで減少すると予測されています。
これまで労働供給の調整弁となってきた女性(M字カーブの解消)や高齢者の再雇用も、限界点に近づきつつあります。
2. 価値観の変化と人材のミスマッチ
求職者が重視する条件と、企業が提供できる環境の乖離が拡大しています。
若年層を中心に、賃金だけでなく「テレワークの可否」「心理的安全性」「ワークライフバランス」を重視する傾向が強まりました。
これにより、いわゆる「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージが残る現場職では、有効求人倍率が極めて高くなる一方、事務職など一部の職種では人材が過剰になるミスマッチが生じています。
3. 業務の複雑化と高度な専門スキルの要求
DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、現場に求められるスキルセットが高度化しました。
経済産業省の試算では、2030年に最大で約79万人のIT人材が不足するとされています。
「頭数は足りていても、スキルのある人が足りない」という"質的"な人手不足が、多くの中小企業を悩ませています。
4. 早期離職の常態化と労働移動の活発化
終身雇用制度の実質的な崩壊に伴い、転職は一般的なキャリアパスとなりました。
厚生労働省の雇用動向調査を見ても、若年層の離職率は高水準で推移しています。
「条件が合わなければすぐに辞める」ことが当たり前になった今、採用コストをかけて採用しても、すぐに流出してしまう「穴の空いたバケツ」状態の組織が増えています。
2026年労働法改正:人手不足を加速させる新たな規制
2026年に向けて、働き方改革は「フェーズ2」とも言える段階に入ります。
厚生労働省の「新しい時代の働き方に関する研究会」や「労働基準関係法制研究会」の報告書に基づき、労働基準法等の改正議論が進んでいます。これらは労働者の健康を守る一方で、企業にとっては人手不足感を強める要因となり得ます。
※以下は2025年時点での議論・報告書に基づく内容であり、今後の法制化の過程で変更される可能性があります。
勤務間インターバル制度と「14日以上の連続勤務禁止」
労働者の健康確保を目的に、勤務終了から翌日の勤務開始までの休息時間を設ける制度です。原則として11時間の休息時間を義務付ける方向で議論が進んでいます。
企業への具体的影響
- 23時に退勤した場合、翌朝10時まで始業不可
- シフト勤務制を採用する飲食・宿泊業で打撃
- 深夜残業が恒常化している部署の業務見直し
- 人員不足により現行のシフトが回らなくなるリスク
2025年8月時点での導入企業はわずか6%であり、多くの企業で体制の刷新が求められます。休息時間の確保により、実質的な労働時間が減少し、追加の人員確保が必要となります。
14日以上の連続勤務禁止と週休2日制度の厳格化
現行法では、4週4休の変形休日制を利用することで、理論上48日間の連続勤務が可能でした。改正案では、特例を2週2休に見直し、連続勤務を最大13日までに制限する方針です。
影響を受ける業種と対策
- 宿泊・飲食・小売業などのシフト制職場
- 変則的な勤務が発生する建設・運輸業
- 勤怠管理システムによる自動チェックの導入
- 特定の時期に業務が集中する現場の工程改善
連続勤務の制限は、繁忙期の対応を困難にし、さらなる人手不足を引き起こす懸念があります。
企業は、限られた人員で業務を完結させるためのオペレーション変更を迫られます。
「つながらない権利」と勤務時間外の連絡遮断
勤務時間外や休日の業務連絡を拒否できる「つながらない権利」のガイドライン策定が進んでいます。テレワークの普及により曖昧になった私生活と業務の境界を明確にする狙いがあります。
想定されるガイドライン内容
- 休日や深夜のメール送受信の原則自粛
- 緊急時以外の電話連絡に対する制限
- 業務時間外の連絡に対応しないことへの不利益禁止
- テレワーク中の連絡ルールの明確化
連絡の遮断により、業務の進行速度が低下する恐れがあり、余裕を持った人員配置が必要です。管理職の労働時間把握も義務化され、不適切な運用の是正が期待される一方、業務負荷の分散が課題となります。
障害者法定雇用率の引き上げとカスハラ防止の義務化
2026年以降、企業には多様な人材への対応と、職場環境の改善が法的に求められます。
| 改正時期 | 改正内容 | 企業が取るべき対応 |
|---|---|---|
| 2026年4月 | 高年齢者の労災防止措置努力義務 | エイジフレンドリーな職場環境整備 |
| 2026年7月 | 障害者法定雇用率2.7%へ引上げ | 障害者雇用の枠組み構築と定着支援 |
| 2026年中 | カスハラ防止措置の義務化 | 顧客対応マニュアル整備と相談窓口開示 |
| 2027年10月 | 社会保険適用拡大(短時間労働者) | 社会保険料負担増を見込んだ財務計画 |
障害者雇用率の向上により、これまで以上に多様な人材の採用・育成ノウハウが必要となります。カスタマーハラスメント(カスハラ)対策は、従業員のメンタルを守り、離職を防ぐために重要です。
業界別・人手不足対策の成功事例
人手不足の解消には、テクノロジーの活用と制度設計の両面からのアプローチが不可欠です。
特に深刻な状況にある4つの業界での最新事例を紹介します。
建設業界:ICT建機と自律施工による究極の省人化
2024年問題を経て、建設業界ではデジタル技術による現場の変革が加速しています。2025年以降は、ソフトウェアが建機を操縦する「自律施工」の実現が期待されています。
生産性向上の具体的取組
- ICT建機の導入により作業員を3人から1人に削減
- 自動化施工システム「A4CSEL」による複数建機の自動運転
- ウェアラブルカメラ活用によるリモート現場管理
- 施工管理アプリによる帳票作成時間の40-50%削減
鹿島建設などの大手企業では、通信技術と自動化技術を組み合わせた大規模な実験が進んでいます。中小企業においても、スマートフォンを活用して図面共有を行うことで、業務の属人化を解消しています。デジタル技術の活用は、若手人材にとって業界の魅力を高め、新規参入を促す効果もあります。
物流業界:2026年問題とサプライチェーン全体での最適化
2026年には、荷主企業に対しても物流効率化への法的責任が課されます。トラックドライバーの不足を補うため、荷待ち時間の削減や積載効率の向上が義務化されます。
2026年に向けた解決策
- 量子コンピューティングによる配送ルートの瞬時最適化
- パレット規格の統一による手積み・手降ろしの解消
- クラウド型WMS(倉庫管理システム)による在庫情報の分断解消
- 物流統括管理者(CLO)の選任による組織的な改善
2026年には、中小企業でも月額10万円以下のクラウド型WMSの普及が進むと予測されています。荷主と運送事業者がリアルタイムで情報を共有し、無駄な待ち時間をゼロにすることが求められます。
医療・介護業界:期中報酬改定とリファラル採用の定着
2026年には、介護職員の賃上げを目的とした「期中介護報酬改定」が実施されます。政府は、月額1万円以上の賃上げを目指し、人材の確保と離職防止を強力に支援します。
最新の人材戦略
- 介護情報基盤(DX)活用による記録業務の電子化
- リファラル採用導入による採用コストの8割削減
- 「全員人事」方針による現場スタッフからの紹介促進
- ICT導入とセットでの処遇改善加算の取得
リファラル採用を通じて入職したメンバーの定着率が100%になったという介護施設の例もあります。知人の紹介は、業務内容への理解が深まった状態で入職するため、ミスマッチが激減します。介護業界こそ、従来の求人媒体に頼らない「つながり」による採用が最も有効な手法となります。
IT業界:生成AI活用人材の確保とリスキリングの波
IT人材不足が続く中、2026年の採用トレンドは「生成AI」と「業界特化型DX」にシフトします。単純なコーディングスキルだけでなく、ビジネス理解を兼ね備えた人材の需要が高まります。
IT人材確保の新たな手法
- 生成AI・LLM(大規模言語モデル)活用人材の優先採用
- 既存社員へのリスキリング(学び直し)制度の充実
- SNSを活用した企業の魅力発信(採用広報)の強化
- 副業人材の受け入れによる高度な専門スキルの活用
技術の変化が速いIT業界では、外部からの採用だけでは供給が追いつきません。社内での育成体制を整えつつ、リファラル採用で自社カルチャーに合う即戦力を確保することが成長の鍵です。
リファラル採用で人手不足時代を勝ち抜く
採用市場が激化する中、最も注目されている手法の1つが「リファラル採用」です。既存の従業員が知人や友人を紹介して採用するこの仕組みは、人手不足対策として極めて高い効果を発揮します。実際に当社が行ったアンケートでも、2026年はリファラル採用への投資を「増やす」と回答した企業が6割を超えています。

さらに詳しいアンケート調査結果はこちらからダウンロードいただけます。
≫ 2026年の採用トレンド調査
なぜ従来の採用手法では人が集まらなくなったのか?
これまでの求人媒体や人材紹介エージェントは、多額の費用がかかるだけでなく、応募の質に課題がありました。
従来の採用手法の限界
- 1名あたりの採用コストが高騰
- 媒体に掲載しても、大手企業に埋もれて応募が来ない
- エージェント経由では他社との競合が激しく、決定率が低い
- 入社後のミスマッチによる早期離職が防げない
リファラル採用は、これらの課題を一掃できるポテンシャルを秘めています。信頼できる社員の紹介であれば、転職市場に出てこない優秀な「潜在層」にも接触可能です。
リファラル採用の基礎から学びたい方は、こちらをご覧ください。。
関連記事:リファラル採用とは? 基本的な仕組みからメリット・デメリット、事例までを解説
リファラル採用がもたらす3つのメリット
リファラル採用の導入は、企業の採用活動を「待ち」から「攻め」へと転換させます。
1. 採用コストの大幅な削減
ナビサイトへの掲載料やエージェントへの紹介料が不要となります。紹介者へのインセンティブを支払っても、従来のコストを80%以上カットできる事例もあります。
2. 離職率の劇的な低下
職場の雰囲気や実際の業務内容を熟知した社員が紹介するため、入社後のギャップがありません。相談できる知人が社内にいることで、入社直後の不安が解消され、定着率が向上します。
3. マッチ度の高い優秀な人材の獲得
社員は「自社に合うかどうか」を判断して声をかけるため、カルチャーフィットした人材が集まります。エージェントが持っていない独自のパイプから、高品質な母集団を形成できます。
リファラル採用を成功に導く「7つの成功ポイント」
制度を形骸化させず、成果を出し続けるためには戦略的な運用が不可欠です。
- 導入目的の全社共有(Why)
「コスト削減」だけでなく「最高の仲間を自分たちで選ぶ」という前向きな目的を伝えます。 - ターゲットの想起(Who)
社員が友人の顔を思い浮かべやすいよう、具体的なペルソナ(求める人物像)を提示します。 - プロセスの簡素化(How) LINEでURLを送るだけ、といった手軽な紹介ツールを導入し、社員の負担を最小化します。
- カジュアル面談の入り口設置
いきなり選考ではなく、まずは「お茶を飲みながら話す」場を設け、紹介の心理的ハードルを下げます。 - インセンティブの適切な設計 協力への感謝を形にする報酬制度を整えます。高額すぎると金銭目的になるため注意が必要です。
- 継続的な社内告知 ポスターや全社会議での共有を繰り返し、常に「リファラル」が意識される状態を保ちます。
- 称賛文化の醸成
採用に至らなくても、紹介してくれた社員をヒーローとして称え、ポジティブな循環を作ります。
運用ステップの詳細や、失敗を避けるためのコツは以下の記事にまとめています。
関連記事:リファラル採用の失敗事例3選!形骸化を防ぐ7つの成功ポイント
リファラル採用で人手不足を逆転させた企業事例
多くの企業がリファラル採用を導入し、採用難の時代を乗り越えています。
具体的な施策とその効果を見ていきましょう。
株式会社SmartHR:「ごめんねごはん制度」で内定率3割達成
成長著しいSmartHRでは、社員の紹介を促進するためにユニークな制度を導入しました。
- 課題:友人が不採用になった際の「気まずさ」が紹介の壁に
- 施策:不採用時に会社負担で会食ができる「ごめんねごはん制度」を創設
- 効果:社員の心理的負担が激減し、内定者の約3割がリファラル経由
株式会社セールスフォース・ドットコム:年間採用の半数を紹介で確保
世界的なソフトウェア企業でも、リファラル採用は人材戦略の中核です。
- 施策:経営層からの継続的な発信と、紹介者への旅行券プレゼントなどのキャンペーンを実施
- 効果:年間採用人数の約半数がリファラル経由となり、離職率が大幅に低下
Ubie株式会社:内定者の7割がリファラル経由の「全員人事」体制
ヘルステック企業のUbieでは、採用を人事部だけの仕事にせず、全社員がコミットしています。
- 施策:社員一人ひとりがnoteで採用広報を行い、現場の声を起点にアプローチ
- 効果:半年間で200件以上のスカウトを行い、内定者の7割以上がリファラル経由
他社の成功事例をさらに詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
関連記事:リファラル採用の成功事例15選|大手や中小企業の導入実績を紹介
未来を見据えた人手不足対策の3つの柱
2030年の労働力不足を克服し、2026年の法改正に対応するためには、経営のパラダイムシフトが必要です。
1.生産性の向上とDXの徹底的な推進
物理的な人数が減る以上、一人あたりの付加価値を高めるしか道はありません。
具体的なアクション
- 単純作業や事務業務をRPAやAIで自動化
- 現場でのデジタルツール活用により、非効率な移動や待ち時間を削減
- 生産性を最低4%向上させ、労働需要そのものを抑制する
テクノロジーへの投資は、人手不足対策であると同時に、企業の競争力を高める投資でもあります。
2.採用・育成・定着の「三位一体」での再設計
単に「採る」だけではなく、「育てる」「定着させる」ことに今まで以上にリソースを割くべきです。
具体的なアクション
- リスキリング制度を導入し、既存社員のスキルを高度化させる
- 評価制度の透明性を高め、優秀な人材の流出を防止する
- 副業の許可など、多様で柔軟な働き方を提示し、人材を惹きつける
「働きやすさ」と「働きがい」を両立させる職場環境づくりが、最強の採用ブランドになります。
3.リファラル採用を文化として根付かせる
外部の求人サービスに依存し続ける経営は、コストとリスクを増大させます。
具体的なアクション
- 「自分たちの仲間を自分たちで集める」というカルチャーを醸成する
- 紹介プロセスを仕組み化し、全社員が当たり前に取り組める状態にする
- リファラル専用ツール「Refcome」などを活用し、運用の手間を削減する
リファラル採用が文化として定着した企業は、市場環境に左右されない強固な採用力を手に入れることができます。
人手不足を解決するのは「技術」と「つながり」
人手不足は、日本の企業が直面する最も深刻なリスクです。
しかし、2030年問題や2026年改正は、古い組織のあり方を刷新するきっかけでもあります。
デジタル技術による「生産性向上」と、リファラル採用による「良質なつながりの形成」。
この二つを軸に据えることで、人手不足という難題は必ず突破できます。
多くの成功事例が示す通り、社員が誇りを持って自社を紹介できる組織こそが、次世代の勝者となります。
リファラル採用は、単なる手法ではなく、会社と社員の信頼関係を再構築するプロジェクトです。
明日から、あなたの会社にいる「最高の社員」に、一人声をかけるところから始めてください。
その一歩が、2030年の企業の未来を決定づけます。
リファラル採用ならRefcome(リフカム)
人手不足のお悩み、リファラル採用で解決しませんか?
Refcome(リフカム)は、累計850社以上の支援実績を持つリファラル採用の専門ツールです。
「どう始めたらいいか分からない」「制度はあるが形骸化している」という企業様のために、導入から定着まで専属担当者が伴走サポートします。

