リファラル採用を失敗してしまう理由

友人を紹介して採用をするリファラル採用は一見簡単そうにも見えますが、実際はそうではありません。
多くのリファラル採用に取り組む企業は、社員に対し紹介依頼をしていますが、期待した成果を得られていないケースがほとんどです。

ここではリファラル採用が失敗してしまう理由について触れていきます。

社内マーケティング視点の欠如

リファラル採用では、社員に行動を促すための社内マーケティング視点が必要です。
そのためにも、社員が紹介してくれる要素を分解して理解し、各要素へしっかりとテコ入れしなければなりません。

また、テコ入れの際には、リファラル採用に対する社員毎の関心度合いや理解度に合わせた、最適なコミュニケーションが求められます。
この社内マーケティング視点が欠如してしまうことで、どこから着手すれば良いのかが分からずに失敗している事例が非常に多く発生しています。

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リファラル採用に失敗する企業の特徴

リファラル採用を失敗している企業にはどのような特徴があるでしょうか。

リファラル採用の制度設計が甘い

リファラル採用の促進に特別な体制や制度が必要だと認識していない企業が多いです。
そのため、リファラル採用の仕組み化や設計が甘くなり、社内でリファラル採用に協力してくれる社員の裾野が広がっていない企業が失敗しやすくなっています。

また、リファラル採用を採用チャネルの追加だと考えており、社員に紹介依頼をすれば短期で成果が出るものだと、間違って認識していることも制度設計が甘くなる原因です。

◆リファラル採用の制度設計が甘い企業の悪循環

  1. 半年間の内定数など、短期的なKPIを追う形で取り組む
  2. 月に1回の社員へ紹介依頼するフローで運用
  3. リファラル採用制度があることだけを社内告知している
  4. 社員からの紹介が発生しないことに困る
  5. 短期で成果が出ないので、リファラル採用の優先度が下がる
  6. 改善されず、成果が出ないので自社に合わなかったと辞める

「4.社員からの紹介が発生しないことに困る」に直面した時の改善策が、キャンペーンを組んで報酬(インセンティブ)を上げるだけの企業が多いのも特徴となります。
報酬(インセンティブ)がボトルネックだった場合には効果的ですが、そうでなかった場合は、この悪循環を経てリファラル採用の促進を辞めてしまう企業が多いです。

社内告知がうまくいっていない

リファラル採用の成果が出ない企業の特徴として、リファラル採用について社員にしっかりと認知ができていないことが挙げられます。
認知ができてなければ、社員が行動に移してくれることはありません。

◆認知できていないケース

  • リファラル採用制度があることを社員に認知できていない
  • 募集しているポジションを社員が知らない
  • 採用したい人物像を社員が理解していない
  • 紹介する必要性やメリットを社員に認知できていない

リファラル採用の紹介依頼を月に1回、社内告知をしている企業でも、アンケート調査をすると社員のうち50%以上の方が、そもそもリファラル採用制度を認知していないというケースも散見されています。

社内告知についての詳細は以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご確認ください。 リファラル採用の社内告知|案内文・例文のテンプレートや失敗しない方法を解説

リファラル採用に取り組む社員の立場を理解していない

リファラル採用の制度設計と認知を行えている企業でも、成果が出ていない企業が存在しています。

その特徴としては、社員がリファラル採用に対して、どのように考えているのか、どう感じているのかを把握せずに、人事が一方的に発信していたり、社員の立場を理解せずに仕組み化を行っている特徴があります。

◆社員の立場を理解していないケース

  • 紹介することへの社員側の心理的ハードルを把握していない
  • 社員が自社の魅力をどのように伝えているのか把握していない
  • 紹介プロセスが煩雑で、社員にとって負担になっている

失敗しないための成功ポイント

では、失敗に陥らないために押さえておくべきリファラル採用の成功ポイントとはどのようなものがあるのでしょうか。
成功ポイントを7つ解説します。

制度設計を作り込む

制度設計が甘いと推進力がなくなり、期待する成果を得ることはできません。また、悪循環に陥り、最終的には自社に合わなかったとリファラル採用を辞めてしまいます。

制度設計では、どのようにすれば社員が紹介したいと感じ、行動に移してくれるかを意識すると設計を作り込むことができます。
特に、制度設計時に意識すべき重要事項は4つです。

  • リファラル採用でどのような職種や人物を採用するのか
  • リファラル採用を促進するためにどのような体制が必要か
  • 社内告知の方法はどのような手段で実施するか
  • 適切な報酬(インセンティブ)設計はいくらか

また、制度設計フレームークを活用して制度設計を行うと、制度や体制などの全体把握が楽に行えます。

▼リファラル採用の制度設計フレームワーク例 リファラル採用の制度設計フレームワーク資料

適切な報酬(インセンティブ)設計については以下の記事を御覧ください。 リファラル採用の報酬(インセンティブ)相場|決め方や報奨金以外の事例も紹介

中長期的に取り組む意義を明確化する

リファラル採用は、短期的に取り組むものではなく、中長期的に取り組むことでメリットを享受できる採用手法です。
リファラル採用のメリットは、マッチ度の高い人材の採用を実現することにより離職率を下げ中長期的に取り組むことで欠員補充の採用が不要となり、採用コストを低減できます。

自社の組織戦略上、どういう位置づけでリファラル採用に取り組むのかということを明確化して、会社として中長期的に取り組む意義をはっきりとさせましょう。

経営層を巻き込む

リファラル採用は、人事担当者から社員へ発信するだけではうまくいきません。成功するためには、経営層も巻き込むことが必須となります。
経営層を巻き込むためには、組織戦略上の中長期的な位置づけを伝えたり、他部署のキーマンを賛同者にしたり、リファラル採用の活動を可視化してデータに基づく施策設計を伝えたりすることが効果的です。

特に、データに基づくリファラル採用の施策設計は、経営層に関心を持ってもらうきっかけになっていることが増えています。

◆経営層を巻き込むために必要なこと

  • 組織戦略上の位置づけを明確に伝える
  • 現場部署のキーマンを口説いて賛同者にする
  • リファラル採用の活動を可視化し、データに基づいて説明する

認知の「量と質」を意識する

リファラル採用を認知させるためには、量と質の両方を意識する必要があります。

量としては、社内告知や紹介依頼をする頻度と、告知するチャネルの数を意識します。
チャネルについては、社内メールや社内SNSだけでなく、ポスターやチラシの配布など、様々なチャネルから社内告知を実施すべきです。もちろん、頻度も月に1回以上で実施した方が効果的です。

質としては、認知させるべき項目を意識する必要があります。制度があることはもちろん、募集しているポジションや採用したい人物像などを明確に認知することで、初めて社員が紹介できる環境になります。

◆社員への認知を最大化すべき項目

  • リファラル採用制度があること
  • 募集しているポジション
  • 採用したい人物像
  • 紹介する必要性やメリット

社員に寄り添った仕組みを作る

リファラル採用を促進するためには、社員がリファラル採用に対して、どのように感じているのか、どこにハードルを感じているのかを把握することも重要です。

その情報を把握したうえで、社員に寄り添った仕組みづくりをすることが、促進の土台となります。

例えば、心理的ハードルについて調査をすると、「友人の人生を左右するようなことは、怖くてできない」という意見が多く見られます。そういうケースでは、リファラル採用の受け皿が「選考」になっていることが多いです。
友人に自社の選考を勧めることに心理的ハードルを感じているのです。

改善施策の例としては、社員に紹介してもらう受け皿を、カジュアル面談や会社説明会、採用イベントへ変更することで心理的ハードルを下げられます。

◆社員について把握しておくべき事項

  • 社員がリファラルに対してどんな心理的ハードルを抱えているか
  • 紹介プロセスが煩雑かどうか
  • どうしたらもっと紹介したくなるか

自社の魅力についてオープンコミュニケーションを行う

自社の魅力をしっかりと友人に伝えてもらうことで、リファラル採用はマッチした人材の採用に貢献ができます。
しかし、社員には、「どのように魅力を伝えると友人に魅力づけできるのか」が分からないという悩みを抱え、紹介を躊躇している方もいます。

その解決策として、リファラル採用に協力的な方にヒアリングして、「どのように自社を紹介をしているのか」について社内共有したり、リファラル採用で入社した方と紹介した方との対談コンテンツを作成して、「どのように紹介したのか、どこに魅力を感じたのか」といった内容を発信します。

自社の魅力についてのオープンなコミュニケーションを行うことが効果的です。

施策の効果測定を行いPDCAサイクルを構築する

リファラル採用は効果測定を行い、データに基づく改善を進めれば、活性化が可能です。
社内マーケティング視点を持ち、社内告知してから社員から紹介が発生するまでのファネルにおいて、どこにボトルネックがあるかを可視化できれば、最適な施策設計ができるからです。

ただし、この効果測定は難しく、リファラル採用のPDCAサイクルを構築できている企業は多くありません。
例えば、興味を持ってくれた友人を人事に紹介してくれた数は可視化できたとしても、その前段階である、社員が友人へ声掛けしている数について、「誰が、どれくらい活動しているのか」を可視化することは容易ではありません。

現状を定量的に正しく把握できなければ、改善仮説も立てられず、最適な施策設計はできません。
人事に紹介してくれた数だけでは、施策の評価ができないのです。

リファラル採用活性化ツールは、この可視化とPDCAサイクルの構築に大きく貢献できます。

まとめ

社員に「紹介したい」と思ってもらい、行動に移してもらうためには、押さえておくべきポイントが意外と多かったのではないでしょうか。

リファラル採用を成功すれば、マッチした人材の採用ができ、採用コストを低減できるという大きなメリットを享受できます。