中途採用における内定辞退の現状

上昇を続ける内定辞退率

中途採用の内定辞退率は、過去数年間で上昇傾向にあります。マイナビの「中途採用状況調査2025年版」によると、2022年の7.9%から、2023年は9.0%、2024年には9.3%へと推移しました。

新卒採用の辞退率(約6割)と比較すると低く見えますが、即戦力を求める中途採用での辞退は1件あたりの影響が非常に大きいです。

調査年(実績)内定辞退率推移
2022年7.9%-
2023年9.0%+1.1ポイント
2024年9.3%+0.3ポイント

面接手法による辞退率の差異

選考プロセスの利便性が、辞退率に直接的な影響を与えています。

面接を「Webのみ」で完結させた場合の辞退率は7.9%です。一方で「対面のみ」で行った場合は12.6%と、約5ポイントの差が生じています。

候補者の現職の都合や移動負担を考慮したWeb面接の導入は、歩留まり改善の重要な鍵となります。

企業規模別の無断キャンセルリスク

従業員数が少ない企業ほど、選考段階での「無断キャンセル」に悩まされる傾向があります。 特に従業員数3名から50名の企業では、面接の無断キャンセル率が16.4%と高水準です。

初回接触のスピードや、SMSによるリマインドなどの細やかなフォローが求められます。

中途採用の候補者が内定を辞退する3つの理由

1. 労働条件と期待役割のミスマッチ

中途採用で最も多い辞退理由は、給与や勤務地などの労働条件が希望と合わないことです。特に年収提示が想定を下回った場合、候補者は「正当に評価されていない」と感じ、辞退を決断します。また、入社後に担当する業務範囲が面接時の説明と異なると判断されるケースも目立ちます。

2. 選考プロセスにおける「負の体験」

面接官の態度や連絡の遅さは、企業への信頼を一瞬で損なわせます。

面接官が高圧的であったり、質問に真摯に答えなかったりすると、候補者は入社後の人間関係に不安を抱きます。また、他社選考が進む中で連絡が数日遅れるだけで、候補者の志望度は急激に低下します。

3. 中途特有の「現職の慰留と家族の反対」

中途採用特有の現象として「カウンターオファー」と「家族の反対」があります。

現職から昇給や昇進を提示されて引き止められると、慣れ親しんだ環境への残留を選ぶ候補者が一定数存在します。また、配偶者や家族が年収の変動や働き方の変化に難色を示すことで、承諾直前に辞退となるケースも多いです。

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内定承諾率を100%に近づける実行プラン

オファー面談(条件提示面談)の徹底活用

内定通知をメールのみで終わらせず、必ず「オファー面談」を実施してください。

オファー面談では、労働条件通知書の内容を一つずつ丁寧に解説します。年収の算定根拠や評価制度、残業の実態など、候補者が聞きにくい部分を先回りして開示します。

確認項目説明すべきポイント
業務内容入社直後のミッションと1年後の期待値
年収・評価賞与の支給実績、昇給の基準と頻度
働き方平均残業時間、リモートワークの運用ルール
福利厚生住宅手当、資格取得支援などの実益

候補者体験(CX)を重視した選考フローの構築

選考スピードは、そのまま候補者への「熱意」として伝わります。

面接後の結果通知は原則として即日、遅くとも3日以内に行うルールを徹底してください。

また、面接を「審査」ではなく「相互理解と惹き付け」の場と定義し、面接官トレーニングを実施することが有効です。

家族の不安を払拭する

候補者が家族に説明しやすいよう、自社の魅力をまとめた資料や、入社後のキャリアビジョンを提示します。年収のシミュレーションを書面で提供することで、生活の安定性を家族に証明しやすくなります。必要に応じて、配偶者を交えた会食やオフィス見学を提案することも、強力な辞退防止策となります。

中途採用の課題を解決する「リファラル採用」

なぜリファラル採用は辞退が少ないのか

リファラル採用(社員紹介)は、他の手法と比較して内定承諾率と定着率が極めて高いのが特徴です。

実際に働いている社員から、仕事のやりがいだけでなく「厳しさ」や「社風」が事前に伝えられています。

この「リアルな情報」により、応募時点で候補者の覚悟が形成されており、条件面以外のミスマッチがほぼ発生しません。

また、リファラル経由の内定率は他のチャネルの10倍以上になるという実績もあります。

関連記事:リファラル採用とは? 基本的な仕組みからメリット・デメリット、事例までを解説

高い定着率を支える心理的安全性の確保

リファラル採用で入社した社員の定着率は、非常に高いです。弊社で行った調査では、1年後定着率90%以上の企業が約27%と、その他の手法に比べて倍以上の結果となっています。

入社直後から社内に知人(紹介者)がいるため、些細な悩みもすぐに相談でき、孤立を防げるからです。「自分が紹介した人材を活躍させたい」という紹介者の心理が、入社後のオンボーディングを自然に促進します。

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先進企業のリファラル採用・辞退防止成功事例

事例1:株式会社セールスフォース・ドットコム

同社では、中途採用の約半数をリファラル採用で充足させています。

採用部門から全社へ、不足しているポジションやスキルセットを具体的に告知。紹介者へのインセンティブ付与だけでなく、経営層が「リファラルは最優先事項」と周知することで、文化として定着させました。

その結果、離職率が低下し、社員の生産性が向上するという成果を得ています。

事例2:freee株式会社

「自分たちの仲間は自分たちで集める」という強い文化のもと、創業時からリファラルを推進しています。紹介プロセスの可視化と簡略化により、社員の紹介ハードルを下げることに成功。

社員が自社の強みと課題の両方を候補者に伝えているため、選考後の内定率は他手法を圧倒しています。

事例3:株式会社SmartHR

同社のリファラル経由の応募の内定率は、他のチャネルと比較して10倍以上の数値を記録しています。内定承諾数は前年比2倍以上に拡大。一過性の施策に終わらせず、継続的に紹介が発生する仕組みを構築したことで、経営層の採用にも成功しています。

関連記事:リファラル採用の成功事例15選|大手や中小企業の導入実績を紹介

リファラル採用で「選ばれる組織」へ

内定辞退率の改善は、単なるテクニックではなく、組織全体の「採用力」の向上を意味します。

リファラル採用を加速させるためには、社員が「自分の大切な知人に紹介したい」と思える会社であることが大前提です。まず、自社の魅力を社員が言語化できているかを確認してください。

そして、紹介してくれた社員に対し、選考の結果やフィードバックを欠かさないようにします。紹介という「行動」そのものを賞賛する文化を醸成することで、採用は人事の仕事から全社員の自分事へと変わります。

これが、激化する中途採用市場において、優秀な人材から選ばれ続けるための最強の戦略です。

「リファラル採用に興味がある」「制度はあるが形骸化している」という方は、こちらもご活用ください。最新の成功事例や運用のコツがまとまった資料です。

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監修者

清水 巧株式会社ウィルオブ・パートナー代表取締役社長

SansanでのCS組織立ち上げを経て、2014年に株式会社リフカム(現:株式会社ウィルオブ・パートナー)を設立。リファラル採用支援サービス「Refcome」を通じて数多くの企業の制度設計・風土改革を支援。現場を巻き込むノウハウに精通する。2018年Forbes「アジアを代表する30歳未満の30人」選出。2024年よりウィルオブグループにて企業の採用力強化をリードする。

SansanでのCS組織立ち上げを経て、2014年に株式会社リフカム(現:株式会社ウィルオブ・パートナー)を設立。リファラル採用支援サービス「Refcome」を通じて数多くの企業の制度設計・風土改革を支援。現場を巻き込むノウハウに精通する。2018年Forbes「アジアを代表する30歳未満の30人」選出。2024年よりウィルオブグループにて企業の採用力強化をリードする。