このインタビューは、リファラル採用を積極的に行う企業様を表彰対象とした『Referral Recruiting Award 2025』の受賞企業様へ、その取り組みについてお聞きするシリーズです。
今回エンタープライズ部門を受賞したレバレジーズ株式会社は、HR、Webメディア、M&Aコンサルティングなど、社会課題の解決を軸に多岐にわたる分野で60以上の事業を展開しています。リファラル採用制度については認知されているが、採用には繋がっていない――。そんな停滞期を打破したのは、元営業エースの人事による徹底的な「現場巻き込み」でした。
事業部ごとの推進担当設置や、現場社員との1on1など、全社を巻き込むための泥臭いプロセスと、現場の共感を呼び、組織を内側から変えるリファラル運用の全貌について語っていただきました。
インタビュイー

鈴江 礼佳氏
レバレジーズ株式会社 人事部中途採用チーム 採用担当
営業リーダーを経て人事へ。元営業職の強みを活かしながら、リファラル改革や採用企画を牽引している。
拡大し続ける組織の採用力をどう磨いていくか――営業出身人事の挑戦
―― Referral Recruiting Award受賞おめでとうございます!
ありがとうございます!まだまだやり切れていないこともいっぱいありますが、こういった賞をいただけて大変光栄です。
―― まずは鈴江さんのご経歴から伺いたいのですが、元々は営業職として活躍されていたそうですね。なぜ、そこから人事へ異動されたのでしょうか?
元々はレバウェルというヘルスケア領域の人材紹介事業部で、介護士さんと介護施設・病院様をつなぐ両面営業をしていました。メンバーとして1年半、その後リーダーとして6名のチームを半年ほど見て、現在の中途採用担当のポジションへ異動しました。
人事への異動は、会社からオファーをもらったのがきっかけです。営業としての数字的な成果を見ていただいたのもありますが、それ以上に「適性」の部分が大きかったのかなと。営業時代にも自部門の中途社員の採用や育成に関わる仕事、支店のチームビルディングの取り組みなど、人事領域に関わる施策を実施していたこともあり、私の会社や仕事への志向性を考慮してもらったのだと思います。
ただ、前職はブライダル業界で接客販売とマネジメントをしていたので、人事領域は完全に未経験でしたね。
―― 営業で成果を出しているエース級の人材が、バックオフィスである人事へ異動するというのは、社内ではよくあるキャリアパスなのですか?
若干あるかもしれません。優秀だからという理由だけで漏れなく人事に来るわけでは全然ないのですが、採用という仕事はやはり「営業力」が問われる場面が多いので。
―― 確かにどこか売りそうなオーラを感じます(笑)。現在、鈴江さんが所属されている採用チームはどのような体制なのでしょうか?
全社の採用部門としては約180名ほどの大所帯です。そこから新卒採用グループと中途採用グループに分かれるのですが、私がいる中途採用グループは約30名ですね。
内訳としては、採用担当者が15名、アシスタントが15名ほどです。日程調整などの事務的な作業はアシスタントチームが完璧に担ってくれているので、私たち採用担当は、企画業務や現場との連携といったコア業務に集中できています。面接自体も現場にかなり担っていただいているので、採用を成功させる仕組みをつくる「企画」がメインのミッションになります。
―― 企画に集中できるというのは素晴らしい体制ですね。鈴江さんが異動された当時、リファラル採用はどのような状況だったのでしょうか?
私が異動してきた時には、すでにリファラル採用自体は始まっていました。6〜7年くらい前に、中途採用の規模を拡大させるフェーズでスタートしたと谷口から聞いています。
当時は、年間採用目標が100名程度から、一気に300名へと爆増するようなタイミングでした。既存のエージェントさんや求人媒体といったチャネルだけでは、物理的に達成が難しくなったんです。「優秀な人に、優秀な知り合いを紹介してもらうのが一番早いよね」という、ある種必然的な流れで制度が作られ、社内周知が始まったのが起点です。

▲中途採用責任者の谷口氏(右)と。
現場の認知はある。けれど動かない。見えてきた課題の本質
―― 当時の採用全体の課題として「自社にマッチする母集団形成」があったとお聞きしていましたが、実際にリファラル経由の方のマッチ度についてはどう感じていますか?
やはり高いですね。むしろ、マッチ度の高い方こそリファラルでないと採れないケースが多いと感じています。
例えば、ITコンサルタント、M&Aコンサルタントや海外拠点の責任者候補といったハイレイヤーなポジションですね。こういった難易度の高い採用の半分くらいが、実はリファラルで決まっているポジションもあります。応募から承諾までの通過率を見ても、他の経路と比べて2〜3倍は高いです。
そもそも現職で活躍されている方は転職市場に出てこないことも多いので、潜在層にアプローチできる貴重な採用手法であると感じています。
―― 2〜3倍というのは圧倒的ですね。それだけの成果が出ている中で、鈴江さんが着任された当時は、リファラル採用についてどのような課題を感じていたのですか?
課題は明確で、「認知の向上」と「現場の自走」でした。 私が関わり始めた頃は、認知自体もまだまだ足りない状況でしたが、直近の最大のテーマは現場が自走できる環境のバックアップですね。
―― 「認知」の面については、具体的にどのような施策を打たれてきたのですか?
まずは、情報の接触頻度を上げることから始めました。毎週金曜日に全社のSlackチャンネルで「リファラルフライデー」というトピックを立ててイベントや要件の配信をしたり、過去のインタビュー記事も定期的にメール配信したりしています。
それから、各事業部に「リファラル推進担当」を置いてもらっているので、事業部ごとの全体チャンネルでも発信してもらっています。月次で事業部ごとのリファラル表彰も行っています。
―― 社内ポータルサイトの活用や、入社時のガイダンスなども徹底されていますよね。
はい、社内ポータルにバナーを設置して勤怠登録のたびに目に入るようにしたり、リファラルの概要や制度の説明サイトを作成しています。入社時ガイダンスでは、全員にRefcomeの使い方やインセンティブの説明をしています。
あと、最近特に意識しているのが事業部長の巻き込みです。事業部長から「採用がなぜ事業成長において重要なのか」を直接語ってもらう場を作り、その文脈の中で「だからリファラルが必要なんだ」まで落とし込んで伝えてもらっています。
―― 事業部側の巻き込みは、多くの人事担当者が苦戦するポイントです。御社の場合、事業部側もかなり前のめりな印象を受けますが、実際はいかがですか?
おっしゃる通り、多くの部署が前向きに取り組んでくれています。ただ、最初からそうだったわけではありません。私が現場の社員にインタビューをして回った時に気づいたんですが、比較的リファラル採用が進んでいない部署の社員の方と、自分の「採用」に対する認識が違っていたんです。
―― 採用に対する認識、ですか?
はい。そもそも複数の部署で「人手は足りているから採用は必要ない」「人は自然に入ってくるものだ」という認識がありました。むしろ、上司が忙しい中に面接へ出て行って、その分マネジメントの時間が削られているのを見て、「もっと現場を見てほしい」と感じている社員さえいました。
これにはハッとさせられましたね。「リファラルをやってください」とお願いする以前に、まず「なぜ経営に関わる人間が採用活動に力を入れているのか」「採用が部署の中長期的な利益にどう繋がるのか」という、大前提の合意形成が抜け落ちていたんです。
そこからですね、1年半くらい前に「採用の意義」から伝え直そうと舵を切ったのは。

泥臭い「1on1」の連打。40名のキーマンと向き合い、心の火を点ける
―― 1年半前のその気づきが、現在の変化に繋がっているのですね。具体的に、どのような変化を感じていますか?
数字としては昨対比160%くらいの着地が見込めそうな勢いです。でも、一番の変化は「自走」の部分ですね。以前は「知り合いから『レバレジーズを受けたい』と相談されたから紹介する」という、受動的なリファラルがメインでした。
それが最近は、「この人はレバレジーズに合うかも」と思って積極的に動いてくださる社員の方が確実に増えてきました。
―― その変化はどうやって起こしたのですか? 人に声をかけるというのは、心理的なハードルが高い行為だと思うのですが。
これはもう、私がやっていること以上に、現場のエンゲージメントが高いことが土台にあります。今の組織を「いいな」と思ってくれている社員が多い。
その上で、私個人としてやったのは、とにかく「個別のアプローチ」です。協力してくれそうな社員をピックアップして、個別にコツコツと1on1をさせていただきました。
―― 具体的にはどのくらいの規模で?
今の対象者だと、40人弱くらいですね。 最初は完全に定性で選びました。仕事に前向きな人、活躍している人、なんとなく友達が多そうな人…。あとは、入社後フォローの中で「あの人、顔が広いらしいよ」といった噂を聞きつけてリストアップしたり(笑)。
今も、仕事や組織にポジティブ且つご活躍されている方に少しずつお声掛けしています。一人30分のMTGやランチの時間をいただいて、情報交換を行うんです。
―― 40人と個別に30分。ものすごい工数ですね。そこでどんなお話をされるんですか?
リファラル採用の意義や現状の課題を伝えるのはもちろんですが、「こんな幸せなマッチングの成功ケースがあるよ」という事例を話したり、逆に彼らが抱えている「誘いづらさ」の正体を聞き出したりしています。情報の穴を埋めていく作業ですね。
このようなヒアリングから、カジュアルに会社を知ってもらうためのオンライン/オフラインイベントの取り組み等にもつながっています。
そうやって実績が出てくると、「紹介したら会社から感謝されてギフト券をもらっちゃった」といったような話題を地道に提供して、社内でちょっとしたヒーローを生んでいく。そうすると、「あ、結構みんなやってるんだ」という空気がじわじわ広がっていくこともあります。
―― その40名の方々は、例えば「アンバサダー」のような特別な役職をつけて任命していたりするのですか?
いえ、いわゆる実務的な役職とは完全に切り離しています。一方で、事業部ごとには部門長の理解を得て「リファラル推進担当」というポジションを任命しており、そちらは部署の中で影響力があって、自走して企画業務が出来るような方を抜擢しています。
―― 実行力が素晴らしいです。ただ、事業部側からすると「業務外の負担」と捉えられかねないリスクもあります。そこはどう乗り越えているのでしょうか?
大前提「関係者全員の幸福追求」という理念に共感いただける方を採用していることに加え、評価項目に「チームワーク」などといった組織への貢献が置かれているのは大きいかもしれません。サービスや組織のためにやったことが、最終的には自分に返ってくるという仕組みがあるからこそ、成り立っているのだと思います。
あと、リファラルは事業部横断施策なので、リファラルのイベントに参加することで他部署の知り合いが増えて視野が広がったり、リファラルのプロジェクトで得た経験を自分の営業活動に活かして成果につなげたりと、本業へのプラスになるケースもあります。
たとえ評価に直結しなくても、自分のキャリアや人生にとってメリットになる。そう感じてくれている人が活動を続けてくれているように感じます。
「リファラルで幸せになった」。その物語を全社員へ届けるために
―― 最後に、今後の展望をお聞かせください。今のリファラル採用を、どう進化させていきたいと考えていますか?
実は、全社総会で「リファラルのMVP」を全社表彰できる枠組みを作りたいと思っているんです。
弊社は全社総会で「ベストセールス」や「ベストマーケター」といった職種ごとの表彰があるんですが、そこに「ベストリクルーター」みたいな枠を作りたい。弊社には、互いに讃え合い、背中を押し合う強力な文化があるんです。だからまずは事業部ごとの表彰で影響度を高めていって、2年後くらいにはそこまで持っていけたらいいなと。
―― それは盛り上がりそうですね!
あとは、リファラルでの良いマッチング事例を、社内でバズらせたいですね。以前ある部署で、リファラル推進委員が拠点ごとにリファラルをテーマにしたおもしろ動画の作成コンテストを実施してくれました。
事業部長が真面目にコメントしたりして、すごく盛り上がって、「リファラル」というワード自体の認知は一気に広がりました。
こういう取り組みを「楽しかった」だけで終わらせたくない。これからは、「リファラルで入社してこんなに幸せになった」「紹介した側もこんなに誇らしい」という、感情に訴えかけるようなストーリーを、みんなが自発的に見たくなるようなコンテンツにして発信していきたい。まだまだやるべきことはたくさんあります。

取材後記
元営業職としての経験に裏打ちされた着実な施策を、迷いのない言葉で語る鈴江さんと谷口さんの姿を見て、社内を動かすにはこれほどの熱量が必要なのだと痛感しました。印象的だったのは、人事が旗を振るだけでなく、事業部側とも目線を合わせ、共に走れる体制を築いていること。それこそが、同社のリファラルが成功する真の秘訣なのだと確信した取材でした。
