「社員にとって紹介したい会社作り」を積極的に推進し、自社の企業成長のために努力されている企業様を表彰対象とした「Referral Recruiting Award 2020」の受賞企業様へのインタビューをご紹介します。

バルテス株式会社は、「品質向上のトータルサポート企業」として、ソフトウェアテストをメインとした品質支援サービスを提供しています。上流工程における品質コンサルティングやテストエンジニアの体系的な教育プログラムを強みとしており、年間1,800件以上のプロジェクトを手掛けている本業界のリード企業です。また、ソフトウェアテストに関する国際的な資格認定機関である「ISTQB」の最高位ランクである「Global Partner」に、日本企業としては初めて認定されています。

今回、バルテス株式会社は「採用の域を超えた施策運用をされている素晴らしい企業」として優秀賞を受賞しました。

  • 社員を巻き込む具体的な施策
  • 文化として根付かせるための工夫
  • これからリファラル採用を導入しようと思っている方へのメッセージ

などを中心に、リファラル採用責任者である人事戦略部 鈴木さんにお話をお伺いしました。

採用を自分ごと化してくれた社員に感謝

ーー優秀賞受賞おめでとうございます!まずは受賞の喜びの一言をお願いいたします!

有難うございます!
今回のReferral Recruiting Award 2020はリファラル採用の取り組みや採用担当者を称えようというものだと思うのですが、特に人事がめちゃくちゃ旗を降って引っ張ったっていう感覚はないんです。
採用チームがやっていることに対して、社員が意見やリアクションをくれたことが道標になっていたので、会社のメンバーに本当に感謝しています。結果的にこうして対外的にも評価をいただけるのはとても嬉しいですし、誇りに思っています。

ーー素敵なコメント有難うございます!これまでどのような想いでリファラル採用を推進してきたのか教えてください。

そもそも採用全体を通じて、「採用活動は自分たちのため」という考え方を社員に浸透させることが重要だと思っています。採用を「自分ごと化」してもらうためにはどうしたらいいのかを採用チームは常に考えていて、その手法の一つとしてリファラル採用は非常に効果的だと実感しています。
「紹介が発生しない」などは二の次というか(笑)自分たちで仲間集めをしていくことで、結局自分や仲間のためになっていると実感してもらうために力を入れているだけです。

極論ですが、全社員が面接官になることが理想だと思っています。「こういう人がほしいです」「じゃぁ一緒に面接しましょう」と募集を行い、「ぜひ入社してほしい」という熱量を面接官が直接伝えていく。こういった意思を醸成することにもリファラル採用は向いていると思っています。

ーーここからは社員を巻き込むための施策についてお伺いします。 まずは【社内横断的なリファラル推進チームの組成】について教えてください。

企業として大きく成長してくると、人事だけで全社員を巻き込んでいくのは難しいですよね。リファラル採用はどうしても他人事になりがちな施策なので、「リファラル」というワードが常に身近にある環境を作るために、各部署一人ずつ声をかけていきました。
担当者から各部内へ直接発信してもらうことにより、以前ではなかなかアクションしてくれてなかったメンバー層が動いてくれました。おかげでコロナ禍でありながらも、紹介数は昨年同時期の3倍以上に増加しました!

実は3年ほど前にリフカムのアドバイザーからこの施策の提案をいただいていたのですが、その頃はまだ踏み出せなかったというか…時間をかけて「バルテスのリファラル採用=いいとも採用」を浸透させ、やっと周囲を巻き込んで動き始めることができた感覚です。

ーーお声かけした社員の反応はいかがでしたか?

通常業務に加えて「リファラル推進リーダー」をお願いしたわけですが、皆さんには快く引き受けていただけたと思っています。
施策を進めていく中で「うちの部署ならこういう伝え方がいいと思う」と意見を出してくれたり、「やるからにはもっと効果が出る方法を考えよう!」と声をあげてくれる人が多く、採用チームとしても何をするべきかを色々教えてもらいました。

ーーアイディアまで出してくださるなんて素敵ですね! では次に【新卒オンライン説明会の通年化】施策について教えてください。

実は2-3年前から、リファラル限定で「オンライン説明会」は実施していました。学生さんにとっては「信頼できる人からの信頼できる情報」を得られる貴重な機会ですので、できるだけ学生目線も取り入れながら行っていました。リファラルということもあり、就活生がどんなことを求めているのか素直な想いをヒアリングすることで、質の高い時間になるよう心がけていました。
昨年はコロナの影響もあり選考のほとんどがオンライン化したのですが、そもそも今の就活市場は情報が溢れかえっているため、学生目線での説明会(情報提供の機会)はとても好評をいただいています。

ーーヒアリングした内容から取り入れたことを教えてください。

「何がわからないのかわからない」「就職活動に対して漠然とした不安がある」というような正直な声はよく聞いていたので、オンラインでも情報の伝わりやすさを重視していましたね。
口頭のみでの説明を減らしたり、通信トラブル時の対応を先に伝えたり、ヒアリングした意見は全て参考にさせてもらいました。
若干の手間はかかるかもしれないですが、参加者の経験や意見を聞くことが成功の一番の近道だと思っています。

文化として根付かせるためにリファラル採用に触れる機会を増やす

ーーここからは、文化として根付かせるための工夫【入社時教育】施策について教えてください。

入社初日に15分くらいの説明をしています。「バルテスのリファラル採用とは」「実はこういう人も求めています」という情報と、引き抜きにならないようにするための注意事項みたいなことも伝えています。会社として真剣に取り組んでいると伝えることが、一番大切だと思っています。
その後1-2ヶ月経ってからメモリーパレス(人脈の掘り起こし作業)を実施しています。入社時はインプット量が多いので、あえて社内の雰囲気を知ってもらえた入社1-2ヶ月後に行っています。

リファラルコンテンツの内容が濃いか薄いかよりも、リファラル採用に触れる回数がどれだけ多いかの方が大事だと思っています。入社時に人事から話を聞いた後に推進リーダーからも話を聞くことで「あ、これは本気で全社が取り組んでいることなんだ」と認識してもらうようにしています。その結果、新入社員は「その気持ちに応えたい!」とモチベーション高く協力してくれているんだと思います。

ーー次に【内定者教育】施策について教えてください。

中途内定者の場合は、リファラル採用に対して「引き抜き」「コネ採用」という先入観を持たれる方も多いためしっかり説明しています。例えばインセンティブ(紹介御礼金・入社お祝い金)は課税対象なのかとか、条件やタイミングについてもお話ししています。
誠実に取り組んでいることを伝えるよう心がけているので、内定者教育をした人の方が入社時の反応がはるかにいいです。改めて、リファラル採用に触れる機会ってすごく大切だなと思います。

ーー最後に【リファラル実績と情報の定期発信】施策についてもお願いいたします。

実績報告は昨対比をみせたり、どういう要因でそうなったのかレポートもみせています。PRだけではなくて、ロジックや出典元も書くことで説得力のある内容にしています。
あとは通常業務の報告の中にリファラルを織り込むようにしています。具体的には、在宅勤務手当どうこうの話をしている最中に「最近友だちと連絡とってます?」とかですね。リファラル採用の話だけだと飽きちゃうので「ここからこういう風にリファラル採用につなげることもできるよね」という発信の仕方を心がけています。

ーーお話を伺っていると、ひとつひとつ丁寧に向き合う姿勢が成果につながっていると思うのですが、コツコツ積み重ねることを継続できる理由はなんでしょうか?

僕が担当者になった時は、リファラル採用に関する知識はほとんどなく、社内にもノウハウはありませんでした。中長期的な施策や自社の風土に合わせた制度を設計できたのは、正しい知識を持つリフカムに支援してもらったからこそだと思います。
また、役員や採用チームがリファラル採用に対して正しく理解してくれていたこともとても重要でした。中長期的な成果=種まき施策に対して、前向きに受け止め否定しないでいてくれたというのはとても大きいですね。

ーーリファラル採用を推進するにあたって成功ばかりではなく、大変だったこともあると思うのですが印象に残っていることはありますか?

そういうのあんまり覚えていないんですよね(笑)
うーん、でもリファラル施策って社内にはないことに取り組んでいくので、新しいことを浸透させるのは大変でしたね。一番怖いのはリアクションがないことなので、リアクションを求めにいくこと、意見をもらいにいくことにも勇気がいりました(笑)

ーーこれからリファラル採用を導入しようと思っている方に対してメッセージをお願いいたします。

リファラル採用はこれが正解っていう施策はないと思うので、参考にしつつも真似することが正解ではないと思います。
あとは強制力をもった紹介は長く続かないので、リファラル採用と併せてどういう取り組みが必要なのか、もう一軸を並行して考えていくとだんだん良くなっていくと思います。例えば、業務外の活動に積極的に参加して顔を覚えてもらうことも併せて取り組むことで、リファラル採用に賛同してくれたり、アンケートに協力してくれたり、質問もしてもらいやすくなるんですよ。結果的に社員の満足度向上とか、会社の想いを育てる採用だと思うので、リファラル採用に取り組む事で社員の働きがいにもアプローチしたいという会社にお勧めします。
コスト削減したい!とか採用数増やしたい!だけだと、だいぶキツイと思います(笑)決裁者にとって採用数やコストは重要だと思うのですが、リファラル採用の取り組みでどれだけの人が動いたかが重要であり評価につながると思うので、そこに重きを置ける会社であればお勧めしますね。

ーー最後に今後の意気込みをお願いいたします。

リファラル採用は、種まきから花咲くまでを想像することが一番楽しいと思っています。芽が出れば嬉しいし、そのためにコツコツ水やりして、花咲くと感動するので、成功のビジョンを想像しながらコツコツ積み上げていきたいと思っています!

ーー受賞企業様がどんな取り組みをされているのか、とてもよくわかりました! 貴重なお話お聞かせいただき、本当に有難うございました!