第2回受賞企業インタビュー
株式会社SmartHR

常に進化し続けたい!SmartHR式リファラル活用

当インタビューは、「社員にとって紹介したい会社作り」「本質的な採用における取り組み」を積極的に行う企業様を表彰対象とした「Referral Recruiting AWARD 2018」の受賞企業様への取り組みをお聞きするシリーズです。

クラウド人事労務ソフト「SmartHR」で人事労務の効率化を提供し、急成長している株式会社SmartHR様。
設立6年、サービス提供開始から3年半にも関わらず、社員のモチベーション、ミッションの共有など組織は良い状態とのことです。今回は、リファラル採用の取り組みの結果と組織を良い状態を保ち続ける秘訣についてお話をお聞きしました。

社員全員が「会社に知人を紹介したい」と言ったところからスタート

___まずは、リファラル採用を始めるきっかけをお伺いできますか。

勝股様 リファラルの施策を考え始めた頃は、まだ社員が16名でした。まずは紹介したいと思えるような会社かどうかを計測したくて「色んな条件がマッチした場合に、会社に知人を紹介したいと思うかどうか」をアンケートで調査したら、全員が「紹介したい」と答えてくれたんです。

___すごいですね。社員全員が紹介したいと思えるのは。以前からエンゲージメントの高い方が集まっていたのですね。

勝股様 組織や魅力あるプロダクトをつくってきた初期メンバーの努力の賜物ですね。そんな土壌があったので、組織の課題解決から着手することなくリファラル制度の設計と導入に力を注ぐことができました。採用担当が1動いて1の効果を得る労働集約型のような手法ではなく、紹介で入社した社員がさらに別の人を紹介してくれる、会社に合う人が効果的に採用できる施策だと思っていたので、早めに導入したいと思っていました。今では社員100名を超えましたが、まだまだリファラルでの入社はあります。

___すばらしいですね。運用は最初からスムーズにいきましたか?

勝股様 いえ、課題もありました。アンケートの結果には「紹介した友人が選考で落とされたら気まずい」と言う声もありました。不採用となった場合でも、社員と候補者の関係性が崩れないようなサポートを会社がしなければ、リファラル採用は増えていかないなと感じました。

___どんなサポートをされたのですか?

勝股様 『ごめんねごはん制度』というものを作りました。この制度は社員に紹介いただいた方が選考で採用に至らなかった場合、会社負担でその方を会食にお連れ出来る制度です。紹介された側からしても、知人の会社の選考に進んで望む結果にならなかった時の精神的な負荷ってとても高いと思うんです。なので、なるべく紹介者のフォローをしたいという気持ちを尊重したいと思いますし、「仮にむずかしい結果になったとしても美味しいごはんご馳走するから一度受けてみない?」と社員側も誘いやすくなる側面もあるかなと思い、つくられた制度です。

企業文化のマッチングはリファラルが精度が高い

___リファラル採用で重視していることはありますか?

薮田様 リファラルは、企業文化に馴染みやすい人を採用できるというメリットがあります。SmartHRの採用では、月並みですが企業文化とのマッチ度を重視しています。このあたりは、雰囲気とかオープン、フラットという社風的なものも含みますが、ここに馴染めるかどうかは、長く働いてもらうためには重要です。文化にマッチする方を探すには、リファラルが一番早いですね。

勝股様 こちら側が判断するだけでなく、候補者の方からも、弊社をよく見ていただきたいですね。

選考は誠実に-リファラルは友人優遇採用ではない-

___企業文化とのマッチング以外で、重視されていることはありますか?

薮田様 一番大切なことは、しっかりと選考することだと考えています。友人の紹介だと優遇されると思われがちですが、そうではありません。リファラルだからこそ、友人というフィルターをとってやっていく。弊社で活躍できるのかをしっかりと見極める。選考基準を緩めてはいけないと思っています。

___御社は社員が急増しているので、リファラルだけでも選考が大変でしょうね。

薮田様 社員が増えると紹介も増えますからね。当社だとリファラルでの応募の場合、他のチャネルからの応募に比べ10倍以上の内定率になっているので、選考の効率が上がることもメリットの一つですね。

安定している今だからこそ、違う価値観の社員が必要

___今、何割ぐらいの方がリファラルでご入社されていますか?

薮田様 従業員の30%ぐらいがリファラルでの採用ですね。

___何割ぐらいまでリファラル採用にするのか目標などはありますか?

勝股様 目標数値は設定していないですね。

薮田様 全社員が知人というのは、組織としていいのかどうか。会社のスタート時期は同じ価値観、同じカルチャーの社員が集まった方が、物事が進みやすいと思います。ただ今の弊社のように会社が次の成長フェーズにくると、違う価値観の人もいないと会社が進化しないのではないかと思っています。同じ目標を目指す、多角的な視点・考え方が必要ですからリファラルだけではなく、採用広報を強化したりヘッドハンティングを強化するなど、会社の成長フェーズに合わせて、採用方法や、そのバランスは変えていくつもりです。

良い会社であり続けることに変わりはない

勝股様 どのフェーズになっても社員が胸を張って「SmartHRはいい会社だ」と言えるようであり続けたいなと思っています。

薮田様 そこは変わらないですね。今、会社はすごく良い状態だと思っています。でもそれは崩れていく可能性もあるわけで。今の良い状態を維持していくには、より意識して選考しないといけないと思っています。

___高い目標を持ってリファラルに取り組まれているんですね。どうやってここまでリファラルを浸透されたのでしょうか?

勝股様 身近にある良いものって人に紹介したくなるものだと思っています。それと同じで、いい会社であれば、社員は勝手に紹介してくれるし、勝手に「いい会社だよ」と発信してくれるのかなって思っています。
リファラルの強化施策とか、採用広報の強化などは順番的にはあとのほうだと思っていて、、まずは社員が人に紹介したくなるような会社をつくることが大事なのかな、と。。その結果、リファラルがうまく進んだのだと思います。

藪田様 社員全員が、採用が大事だと理解してくれていることも大きいですね。最近ではリファラル以外に、採用担当と採用部署のメンバーがタッグを組んで採用活動を始めたんです。

___それはどこからアイデアが出たのでしょうか?

薮田様 以前、エンジニアが採用を手伝ってくれたことがありまして。それをきっかけに、採用担当と現場社員で採用活動をするという取り組みを一部で始めてみました。

___現場の方との採用活動は、やりやすいですか?

薮田様 やりやすいですね。採用広告でも、その職種にグっとくるようなフレーズや訴求ポイントを考えるのは、やっぱりその職種の方がうまいんですよ。人事は支援したり、アイデアをもらって推進したりするのが役目なので、そういう役割分担ができるようになりました。お互いがお互いの状況を把握して理解もできますから、協力的にできています。

___リファラルの本質のところに、御社一丸となって取り組まれているんですね。

良いものを良いと言える嬉しさと誇り

___人事・採用をする上で、モチベーションとなっていることはどんなことですか?

勝股様 入ってからずっと「この会社はいいですよ」って嘘偽りなく言えているんですが、これって採用担当にとってはとても誇らしいことなんです。それを言い続けられることが自分にとってのモチベーションになっているので、その会社をつくり、支えてるメンバーを勝たせたいという気持ちが強いです。

藪田様 就職や転職は人生をかけているわけですから、ミスマッチで入社してしまうとキャリアを傷つけるリスクもあるし、人生に致命的な何かを与えてしまうかもしれない。だからこそ、本気で良い会社だから「入社しませんか」と言えるのは、人事として誇らしいです。もちろん弊社はスタートアップですし、至らない部分やハードに働くこともありますが、良い会社だと胸を張って言えるうちは、他の大変なことは苦にならないです。採用をやっていて楽しいですね。

___そこが誇りでもあり幸せでもあり、だからこそ行動することが苦ではないんですね。採用の仕事は、入社後のフォローもありますが、リファラルで入社された方には特別なフォローなどされていますか?

薮田様 リファラルで入社した社員を特別にフォローするということはありません。他の新入社員と同様、入社後1~2週間はオリエンテーションや1on1をはじめ、かなりフォローに時間をかけますね。やっぱりうまく立ち上がってもらいたいですし、スタートをどう立ち上がれるかは大切ですからね。

___採用人数が増えてくると、その部分が手薄になってしまいませんか?

勝股様 そうですね。大変ですが、スタートの時期はすごく大切だと思っています。だから入社直後のフォローは、会社として力をかけて行っています。

___それでは最後に、同じようにリファラルを導入されている採用担当者へ一言メッセージをお願いします。

薮田様 一人で抱え込まないことですね。採用担当が一人で抱え込むのではなくて、リファラルって社員の力を借りることなので、そこは遠慮なく助けを求めたら助けてくれるはずです。会社全体で取り組むという考え方が必要だと思います。

勝股様 今の組織を見ていて、リファラル採用は着手の順番がとても大切だと思ったので、組織の状態を良くする→リファラル採用の施策を検討する、の順番で推進していけるといいのかなと思いました。

___それを体現されているので説得力があります。今の一番良い状態に甘んじることなく、さらに工夫をし続けたいとお聞きし、SmartHR様の急成長の理由が分かりました。 本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。

ご一読いただきありがとうございました。
下記、参考記事ではリファラル採用に成功している企業の事例を解説しています。
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参考記事:
リファラル採用を成功している企業10社の事例を解説