『ヒト・ファースト』を掲げ、一番大切なヒトを紹介したくなる会社
当インタビューは、「社員にとって紹介したい会社作り」「本質的な採用における取り組み」を積極的に行う企業様を表彰対象とした「Referral Recruiting AWARD 2018」の受賞企業様への取り組みをお聞きするシリーズです。
「自社メディア」型のデジタルマーケティングを展開する株式会社キュービック。インターン生の初期教育プログラムにリファラル採用に関するカリキュラムを組み込んだり、部署を横断したチームでのリファラル促進施策を実施されたりしている、株式会社キュービック ピープルエクスペリエンスオフィスチームの荒木様にお話を伺いました。
リファラル採用スタートの背景
___荒木さんがキュービックに入社されたきっかけを教えてください。
もともとインターンでキュービックに入ったのですが、就職は別の会社にするつもりでほぼ決めていました。でも当時の上司が本気で私にとって何がいいのかを考え、一緒に働きたいと言ってくれてすごく感動し、キュービックへの入社を決めました。
その上司からこんな会社を作っていきたいという話を聞いて、自分のやりたいことにもすごく近いということに気づけました。おそらくどこに就職していてもなんだかんだ楽しくやっていたと思いますが、今はここで働くことが絶対ベストだったと思います。
___御社でリファラル採用が本格化したのはなぜですか?
入社当時は人事部がなく、全員採用体制という言葉を掲げてみんなで採用をしていました。それから2016年に人事部ができてからも、全員採用体制が続いていて、リファラル採用でけっこう人が集まっていたんです。
でも人事ってやっぱりいろいろな手法で採用を進めるんですね。例えばエージェントさんを活用したり、媒体を活用したり、中途もインターンも両方人事がグイグイ進めてしまったんです。結果、社員に「あ、採用は人事がしてくれるんだ」という印象を与えてしまい、社員の協力率が下がったことがありました。人事部が立ち上がったことによって、全員採用体制が薄れてしまったんです。
でも私たちの会社はやっぱり全員採用体制のもと、みんなで会社を作っていく方針があり、それは忘れてはいけないということで改めて、リファラル採用をきちんとした方がいいのではという声が上がり本格化していきました。
___どのようにリファラル採用を進めていかれたのでしょうか?
リファラル採用はインターンでも中途でもなんとなくはしていたのですが、まずは制度として確立し、打ち出すようにしました。
社員を集めて説明会を開き、リファラル採用に興味をもってもらえるよう働きかけました。説明会では紹介するときに質問されたらどう答えるかといったことを、対話形式で隣の人といろいろ話してもらいました。例えば初めて聞く人にもわかるように会社のビジネスモデルを説明するなどです。そして説明会の最後に紹介に伴うインセンティブのことを少し話して「ちょっとやってみようかな」と思ってもらえるようにしました。
キュービックの魅力はヒト
___エンゲージメントを高めるために取り組まれている施策について教えてください。
ファミリーの略で『FAM』という、社内のコミュニケーション施策があります。部署を横断して10人ぐらいの社員のFAMが20個ほど、インターンのFAMは14個ぐらいあります。3FAMごとに1ヶ月間の強化月間を設定して、1FAMで7人以上紹介してくれたらインセンティブを出しています。これでインターンの方は1ヶ月平均でだいたい15人ぐらい常に紹介が上がってくる状態になりました。
その他には『やるじゃんレター』という小さなカードで頑張ったメンバーやお世話になったメンバーにメッセージを届けられる仕組みがあります。これは特に利用を促したりしなくても自然に週に40通くらい流通しています。
あとはドローンサイトのようなものを使って日報を毎日出しています。そこに全社員が今日どんなことをして、何を感じているのかを投稿しています。その日報は皆が見られるので、今どんなことを考えていて、何に悩んでいたりだとか、どんなミッションをしているのかがわかります。またそれにコメントもできるので、昨日は私の日報に代表からコメントが入っていました。
エンゲージメントは、高めるというよりは気づいたら高まっているという感じかもしれません。
___エンゲージメントの高め方で重要なことは何でしょうか?
ただエンゲージメントを高めるために、他の会社を真似すればいいということではないと思うんです。何の魅力で引っ張るのかは会社によって全然違いますし。私たちの場合はピープルの魅力で引っ張ると明確に宣言しています。
ピープルで引っ張るのであれば、それに沿った施策や制度にしなければ、共感してくれる人が集まらないと思います。例えば私たちはコミュニケーションに大きな投資をしますが、エンジニアの会社であれば超ハイスペックイヤホンをあげたほうがいいかもしれない。でもそれはそれでエンゲージメントが高まるのであればすごくいいと思います。エンゲージメントの高め方は会社によって全然違うので、会社の強みだったり、価値感を活かした施策を打つということが大事なのかなと思います。
___たくさんのインターン生を採用されていますが、インターン生に対してもリファラル採用を勧めていますか?
今弊社ではインターンの学生が160人いて、インターン採用に関わっているインターン生はうちのチームに5人います。若くて優秀な学生さんたちがいろんな施策を考えてくれるので、いろいろな取り組みができています。
実際今取り組んでいることで言うと、インターン生にはCCPC(CUEBiC Career Pre-College)という初期教育プログラムがありまして、その中に1時間リファラルの講座があります。そこでリファラル採用とは?といったところから、インターンの採用市場についてなどの講義を行なっています。あとは会社の魅力を書き出したり、何をしている会社かを説明するトレーニングもします。そして最後に、「これでもう会社の紹介はできるよね」というところまで持っていきます。
___いろいろな取り組みの中で難しかったことはありますか?
初めは紹介してくれたら一人いくらというインセンティブを設定したのですが、それだけだと月に2、3人ぐらいしか上がってこない状況でした。どうやればいいのかいろいろ調べたりしたのですが、どれだけ調べてもテクニック面の情報は出てきませんでした。みんなは今どう感じているのか、どういうことがあれば一歩動いてくれるのかということをひたすら考えていました。
そしてメンバーとの対話だったり、リファラルをやる意義・価値を伝える、チームで競わせてゲーム性を持たせたりなど、いろいろと工夫しました。
例えば、最初1つのFAMで1ヶ月間で10人紹介という目標を設定したのですが、とても難しくてあまり目標を目指してもらえませんでした。ちょっと目標を高くしすぎたなと思い、7人に調整しました。ギリギリいけそうでいけないぐらいの目標がいいですね。こういった調整や人数のバランスだったり、本当にちょっとしたことで一度仕組みが回り始めれば、それが当たり前になってくることが分かりました。
一番大切な人に紹介したくなる会社
___印象に残ったリファラル採用はありますか?
リファラル採用ではお友達や前職の仲間を紹介するというのが多いと思いますが、この一年で2組、旦那様、奥様を紹介していただいて、採用が決まりました。ご自身がキュービックに転職して人生がすごく良くなったので、妻も同じ環境に来てほしいと思い紹介してくださったというのを聞いてすごく嬉しくなりました。
社員みんなが「大切な人に紹介したい」と思えるような会社を作っていき続けることが大事だと感じました。
___採用の立場でいろいろなご経験をされて、苦労もあったかと思います。 もがいていた頃のご自身へ今声をかけるとしたらどんなことですか?
木を見て森を見ずじゃないですけど、採用がゴールではないよと昔の自分に言いたいです。リファラル採用に囚われていたわけではないですが、「採用」というふうに区切りすぎてしまっていた気がします。でも結局採用チームだけではできない、ブランディング、広報、人事企画、他全部が連携してみんなで会社を作っていかなければ、みんなから愛される企業というのは作れないと今は思っています。自分だけで突っ走るなよと言いたいですね。
___採用目標を前にして焦ることはありませんか?
もちろんあります。でもそれとリファラル採用は決して紐づけてはいけないものだと思っています。
リファラル採用は採用目標◯人だから、これをやってというものではないんです。何がどう繋がるか分からない中で、ちょっとした仕組みのひとつひとつが結果的に将来の会社を作って形になっていくものだと思います。
他の会社さんもいろんな取り組みをされていると思いますし、私たちが特別すごいことをしているとは思いません。自分たちの会社が何を大事にしていて、どういうメッセージを社会に対して出していきたいのかが重要だと思います。そしてそれに共感する人が自然と集まって来るのだと思います。
ヒト・ファーストを実現した世界を見てみたい
___今後挑戦していきたいことや夢を教えてください。
11月にオフィスを移転して、大きなイベントスペースができ、今は週2回ぐらい勉強会やセミナーをしています。そして今後はもっとミートアップやイベントを開催して、多くの社外の方に来てもらいたいです。キュービックさんってこういった感じのオフィスなんだと興味を持ってもらい、そういったところからカジュアルな接点が増えればいいなと思っています。
あと私がもともとキュービックにインターンで入社し、インターン採用の立ち上げをしてそこから社員になっているので、インターンに対してすごく思い入れがあります。なので、このキュービックのインターンというものの価値を少しでも世の中に広めていきたいなと思っています。今このままでいいのかなと思っている学生や、何かに熱中したいと思っている学生がキュービックに出会って、そこで何か一緒にできればなと考えています。キュービックに出会って人生がすごく変わったと言ってくれる学生さんがたくさんいるので、一人でも多くの学生に知ってもらいたいですね。
___荒木さん個人のキュービックに対する思いを教えてください。
上司や代表と話していく中で、代表の価値観や、作っていきたいと思っている世界観にすごく共感しました。
キュービックの経営理念は『ヒト・ファースト』。本当にこの会社はそれを大事にして、成長していこうと覚悟を決めています。『ヒト・ファースト』って一見穏やかで優しい印象を与える言葉ですが、実はとても厳しい選択です。それでもチャレンジする姿勢に強く共感しています。そしてそれを実現させた世界を一緒に見てみたい、自分自身もそれを作れる人間になれたらどれだけ素敵だろうと思っています。
入社後いろいろ悩んだ時もありましたが、その度に入社時のこの思いに立ち返ってきました。こういった自分の中にブレない軸があって、それは簡単には壊れないものと思っています。ただ自分が信じた方向にまっすぐ進めばいいだけなので、ありがたいですね。
___自分たちの大事にしているものをきちんと発信し、大変でも信念を貫かれている姿は非常に参考となりました。本日はお忙しい中貴重なお話をありがとうございました。