リファラル採用の定義と2026年最新の市場動向

リファラル採用は、英語の「Referral(紹介・推薦)」を語源とする採用手法であり、自社の従業員が知人や友人を候補者として推薦する仕組みを指します。

弊社が行った調査では、中途採用において約80%の企業がリファラル採用を活用しているというデータがあります。背景には、求人広告や人材紹介会社を通じた「待ちの採用」だけでは、優秀な人材の確保が極めて困難になっている現状があります。

縁故採用・コネ採用との違い

リファラル採用を導入する際、従来の「縁故採用(コネ採用)」との混同を避ける必要があります。 両者の最大の違いは、選考プロセスにおける公平性と透明性にあります。

比較項目リファラル採用縁故採用
紹介者の対象一般社員を含む全従業員経営層や役員の親族・知人
選考プロセスの有無通常の選考基準を厳格に適用選考が簡略化される場合が多い
採用基準の重点スキルや社風への適合性紹介者との人間関係
透明性と公平性制度として明文化され公平非公式で不透明な場合が多い

リファラル採用は、紹介者が誰であっても、候補者は公平な選考プロセスを経る点が特徴です。企業の求める能力や適性を満たしているかが採用の判断基準となり、紹介者との関係性は合否に影響しません。この公平性を維持することが、社内の納得感を高め、制度を健全に運用するための鍵となります。

採用市場におけるリファラル採用の重要性

採用市場では、採用コストの高騰とマッチング精度の低下が大きな課題となっています。

調査データによると、約50%の企業が今後「リファラル採用の割合を増やしたい」と回答しています。 リファラル採用が重視される理由は、以下の市場の変化に基づいています。

  1. 転職市場に現れない「転職潜在層」へのアプローチが不可欠になった
  2. 採用競合が増加し、媒体掲載だけでは応募が集まらなくなった
  3. ミスマッチによる早期離職を防ぎ、採用の費用対効果を高める必要性が増した

リファラル採用は、これらの課題を解決する有力な手段として位置づけられています。 特にエンジニアや専門職など、獲得競争が激しい職種において高い成果を上げています。

リファラル採用が注目される3つの背景

リファラル採用が注目を集めている理由は主に3点に集約されます。

第1に、離職した人員を補充する採用ニーズが増加しているためです。

第2に、優秀な人材の獲得が極めて困難になっているため。

そして第3に、採用コスト削減に対するメリットが非常に大きいためです。

これらの要因が重なり、多くの企業でリファラル採用の導入が進んでいます。特に、自社の文化を深く理解している社員が紹介を行うことで、マッチングの精度が向上する点が評価されています。

関連記事:リファラル採用とは? 基本的な仕組みからメリット・デメリット、事例までを解説

企業がリファラル採用を導入する4つの大きなメリット

リファラル採用の導入は、企業にとって多角的なメリットをもたらします。 特に、コスト、質、定着率の3点において、従来の手法を凌駕する成果が期待できます。

1. 採用コストを削減し投資対効果を向上

リファラル採用の最も分かりやすいメリットは、外部コストの大幅な削減です。

人材紹介会社を利用した場合、一般的に候補者の理論年収の30%〜35%程度の手数料が発生します。

これに対し、リファラル採用では外部への紹介料が不要です。

採用手法発生する主な費用費用感(年収500万円の場合)
人材紹介会社紹介手数料(30〜35%)150万円 〜 175万円
求人広告媒体掲載料・運用費20万円 〜 100万円以上
リファラル採用社内報酬(インセンティブ)5万円 〜 30万円程度

社員への紹介報酬(インセンティブ)を設けたとしても、外部サービスを利用するよりコストを大幅に抑えることが可能です。また、離職しにくい人材を採用できるため、再採用のコストも抑制できるという副次的効果もあります。

関連記事:リファラル採用の報酬(インセンティブ)相場|決め方や報奨金以外の事例も紹介

2. 自社にマッチした優秀な人材の確保とミスマッチ防止

リファラル採用では、自社の文化や事業内容を熟知した社員が候補者を選定します。 このため、スキル面だけでなく、社風や価値観の適合性が極めて高い人材に出会える可能性が高まります。

  1. 社員が「この人なら自社で活躍できる」と判断して紹介する。
  2. 候補者は入社前に社員から「リアルな働き方」を聞いているため、入社後のギャップが少ない。
  3. 現場が必要とする要件を社員が理解しているため、スキルのミスマッチが起きにくい。

結果として、他の採用手法では得られない「質の高いマッチング」を実現できます。

3. 入社後の定着率向上とエンゲージメントの強化

2025年の統計データによれば、リファラル採用で入社した社員の1年後定着率は90%以上を維持している企業が約27%に上ります。 これは各採用手法の中で最も高い定着率を示す結果となっています。

  • 社内に知人がいることで、心理的な安心感を持って業務を開始できる。
  • 紹介者によるオンボーディング(社内適応支援)が自然発生的に行われる。
  • 自社の魅力を語るプロセスを通じ、紹介した既存社員の愛着心も深まる。

このように、新しい人材だけでなく、既存社員のエンゲージメント向上にも寄与する点が大きな特徴です。

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4. 転職市場に現れない「転職潜在層」へのリーチ

リファラル採用は、転職サイトに登録していない、あるいは積極的に活動していない「潜在層」へのアプローチを可能にします。こうした優秀な層は、一般の求人市場には出てこないため、社員の個人的なつながりだけが唯一の接点となります。

  • 検討段階にある優秀な人材に対して、信頼関係をベースに声をかけられる
  • 激しい獲得競争に巻き込まれる前に、自社の魅力をじっくりと伝えられる
  • 信頼できる友人からの誘いであるため、候補者の検討度合いを高めやすい

市場に出回っていない希少な才能を直接獲得できる点は、企業の競争力を高める上で極めて重要です。

導入前に把握すべきリファラル採用のデメリットと法的リスク

多くのメリットがある一方で、リファラル採用には特有のデメリットやリスクも存在します。 これらを適切に管理できないと、組織の健全性を損なう恐れがあります。

1. 人材の同質化(多様性の欠如)

「類は友を呼ぶ」現象により、既存の社員と似た価値観やバックグラウンドを持つ人材が集まりやすくなります。これが進むと、組織の多様性が失われるリスクがあります。

  • 特定の職種、業界、学歴などの属性に偏りが発生する
  • 同一の視点ばかりが増え、新しいアイデアやイノベーションが生まれにくくなる
  • 社内に特定の派閥やグループが形成され、組織運営にマイナスの影響を及ぼす

【対策】 リファラル採用は有効な手段ですが、それだけに依存せず、他の採用手法とバランス良く併用することが重要です。

2. 人間関係への配慮と不採用時のトラブル

紹介者、候補者、企業の三者が関わるため、通常の採用にはない人間関係のトラブルが起こり得ます。

  • 候補者が不採用となった場合、紹介した社員との関係が悪化する恐れがある
  • 不採用の通知方法を誤ると、紹介者の会社に対する信頼が低下し、協力が得られなくなる
  • 入社後のパフォーマンスが低い場合、紹介者との友人関係を考慮して適切な評価や指導がしにくくなる

【対策】 不採用時のフィードバック設計を丁寧に行い、公正な基準で判断していることを事前に周知徹底する必要があります。

3. 2026年最新の法規制:報酬支払の違法性リスク

リファラル採用の報酬(インセンティブ)を支払う際、最も注意すべきなのが職業安定法および労働基準法への抵触です。不適切な設計は、無許可の人材紹介事業とみなされるリスクがあります。

確認すべき法律遵守すべき主なポイント2025年時点の解釈
職業安定法第40条募集報酬の原則禁止と例外の適用報酬を「賃金」として支払う必要がある
労働基準法第24条通貨払いの原則の遵守ギフト等ではなく現金での支払いが必須
職業安定法第32条無許可の職業紹介の回避継続的・反復的かつ高額な報酬設定を避ける
労働基準法第6条中間搾取の排除雇用関係のない第三者への報酬支払を禁止

報酬を「賃金、給料その他これらに準ずるもの」として、就業規則や賃金規程に明記した上で支払うことが不可欠です。具体的な金額設計のコツについては、後述します。

4. 採用リードタイムの長期化と計画性の欠如

リファラル採用は、社員の自発的な行動に依存するため、急ぎの採用や大量採用には向いていません。

  • 母集団形成に時間がかかり、採用決定までのスケジュールが予測しにくい
  • 候補者がすぐに転職を考えていない場合、選考参加までのプロセスが長期化する
  • 社員が多忙であったり関心が低かったりすると、紹介数が伸び悩み、採用計画が遅延する

【対策】 緊急性の高い採用は他手法をメインとし、リファラル採用は中長期的なタレントプール構築の手段として位置づけるのが賢明です。

関連記事:リファラル採用の新手法「タレントプール」の活用ポイント

失敗しないリファラル採用:成功のための7つの重要ポイント

リファラル採用を一時的な施策で終わらせず、持続可能な制度にするための具体的なポイントを解説します。

1. 導入目的(Why)の明確化と経営陣のコミットメント

「採用コストを下げたい」という人事側の都合だけでは、社員は動きません。

  • 社長や役員が自ら制度の意義(「自分たちで最高の仲間を集めよう」等)を発信する
  • リファラル採用を「文化」として根付かせるための想いを、全社総会等で共有する
  • 経営陣が率先して知人を紹介する背中を見せ、全社的な優先度を高める

2. 具体的なペルソナ(Who)の提示

「誰かいい人いない?」という曖昧な依頼は禁句です。

  • 職種名だけでなく、必要なスキル、経験、さらには「週末に何をしている人か」といった具体的な像を伝える
  • 社員が「あ、あの人のことだ」と思い浮かべられるレベルまで具体化する
  • 既存の優秀な社員をモデルケースとして、「〇〇さんのような人」と具体名を挙げて周知する

3. 紹介フロー(How)の極限までの簡素化

紹介の手順が複雑だと、社員のモチベーションは著しく低下します。

  • Excelシートへの入力項目を減らし、URLを送るだけ、数タップで完了する仕組みを作る
  • 履歴書がなくても、まずはカジュアル面談から設定できるようにする
  • 紹介後の選考状況を人事が適宜フィードバックし、紹介者の不安を解消する

リファラル採用が失敗する根本的な原因については、以下の記事に詳しくまとめています。

関連記事:リファラル採用が失敗する根本的な原因とは?

4. 適切なインセンティブ設計と表彰

報酬は金銭だけでなく、社員の「称賛されたい」という欲求を満たす設計にします。

  • 採用に至った時だけでなく、友人に声をかけたという「行動自体」を称賛する
  • 社内報や全体会議で、協力者を「組織に貢献したヒーロー」として紹介する
  • 食事代の補助やサンクスカードの送付など、心理的な距離を縮める小さな仕掛けを組み合わせる

ただし、「インセンティブが高ければ紹介が多く集まる」というのはよくある勘違いです。適切なインセンティブ設計をした上で、紹介しやすい環境を創ることが重要です。

5. 継続的なコミュニケーションと風化防止

導入時の盛り上がりを維持するための施策が必要です。

  • ニュースレターや社内SNSを活用し、定期的に成功事例や募集中の職種を発信する
  • 現場のリーダーから部下に対して、定期的な声かけ(リマインド)を行う
  • 「リファラルBOOK」などの物理的なツールを配布し、常に意識に残る状態を作る

6. 称賛文化の醸成と当事者意識の向上

採用は人事の仕事という認識を打破し、全員参加の意識を作ります。

  • 「自分たちの会社をより良くするために、自分たちで仲間を選ぶ」というマインドを育てる
  • 協力してくれた社員に対し、社長や役員から直接感謝のメッセージを届ける
  • リファラル採用を通じた組織改善の成功体験を共有し、協力の意義を実感させる

7. データの可視化とPDCAサイクルの構築

勘や経験に頼らず、数値に基づいた運用改善を行います。

  • 紹介数、応募率、通過率、決定率などのKPIをリアルタイムで追跡する
  • どの部署が協力的か、どの施策が紹介増につながったかを分析する
  • ツールを活用して管理工数を削減し、分析に集中できる環境を作る

「報酬(インセンティブ)」の金額設計

法的な安全性を確保しつつ、社員のモチベーションを高めるための報酬設計のコツを解説します。

紹介報酬を支払う際の4つの鉄則

法的リスク(中間搾取や無許可紹介)を回避するために、以下のルールを厳守してください。

  1. 就業規則・賃金規程への明記: 「従業員紹介手当」として、支給条件と金額をあらかじめ定めておきます。これにより、支払われる金銭が法的にも「賃金」として認められます。
  2. 現金での支払い: 労働基準法の「通貨払いの原則」に基づき、現金(給与合算等)で支払います。ギフト券や物品での支給は、労基法違反となる恐れがあるため注意してください。
  3. 支払タイミングの分割: 早期離職リスクを考慮し、「入社時に50%、3ヶ月継続勤務後に残りの50%」のように分割して支払う企業が多いです。
  4. 採用の成否に基づく支払い: 「採用が決定した際」に支払うことが基本です。紹介行為そのものに多額の報酬を支払うと、制度の趣旨が歪む可能性があります。

職種別・役職別の最新報酬相場

自社の採用難易度に応じて、報酬額に傾斜をつけることが一般的です。

対象となる人材報酬額の目安特徴・留意点
一般社員・スタッフ職5万円 〜 15万円比較的導入しやすい標準的な金額設定
専門職(エンジニア等)10万円 〜 50万円市場価値が高く獲得困難な職種へのインセンティブ
管理職・幹部候補30万円 〜 100万円以上責任重大なポジションへの紹介に対する評価

IT・テクノロジー業界のように、エンジニア獲得が極めて困難な分野では、50万円以上の高額報酬を設定するケースも珍しくありません。ただし、あまりに高額すぎると「報酬目的の不適切な紹介」を招く恐れがあるため、バランスが重要です。

リファラル採用を加速させる専用ツールの選び方と活用法

Excelやメールでの手作業管理は、人事の工数を圧迫し、施策の形骸化を招きます。ツールを活用することで、人事・紹介者・被紹介者の全員が効率化できる体制を目指しましょう。

カテゴリー別の主要リファラル採用ツール

自社の課題(紹介数不足、管理工数増、文化の未定着等)に合わせて選択します。

ツール名カテゴリー特徴・強み
Refcome(リフカム)特化型直感的なUIで社員の負担を最小化。分析機能が充実。
リファ楽LINE活用型LINE上で完結。特に現場やアルバイト採用に強い。
MyRefer特化型独自の「ファンスコア」で社員の協力度を可視化。
YOUTRUSTSNS型社員の「友人の友人」まで可視化。潜在層スカウトに強み。
HERP HireATS搭載型採用管理システムと一体化。選考プロセスとの連携が容易。

ツールの導入メリットと選定のポイント

ツールを導入することで、以下の成果が期待できます。

  • 人事の工数削減:紹介情報の取り込みやインセンティブ管理を自動化できる
  • 社員の紹介ハードル低下:アプリ不要、数タップでの紹介、既読・未読の把握などが可能
  • データの可視化:紹介数や通過率をリアルタイムで追跡し、施策のPDCAを回せる

【選定時の注意点】 単なるシステムの提供だけでなく、制度設計や社内浸透の「伴走支援(カスタマーサクセス)」があるかどうかが、成功の分かれ道となります。

関連記事:【2026年版】リファラル採用おすすめツール9選!選び方と成功事例を紹介

リファラル採用はこれからの採用で「最強の武器」に

リファラル採用は単なる「採用手法」ではなく、組織の健康状態を映し出す「鏡」です。

リファラル採用が「組織改善」につながる

社員が「友人を誘いたい」と思うためには、その会社が魅力的であることが大前提です。制度を導入しても紹介が出ない場合、それは「会社に満足していない」「他人に勧められる理由が見つからない」という社員からのシグナルかもしれません。

  1. 自社の強みの再定義:紹介のために自社の魅力を言語化するプロセスが、ブランディングを強める
  2. 課題の早期発見:紹介が出ない部署を特定することで、現場の不満やマネジメントの課題を可視化できる
  3. 社員の当事者意識向上:採用に参加することで、「自分たちで会社を良くする」というマインドが育つ

アルムナイ・リファラルの活用は2026年のトレンドに

退職者(アルムナイ)を通じたリファラル採用も、近年非常に注目されています。一度外に出たからこそ分かる自社の魅力を、アルムナイが周囲に語ることで、非常に説得力のある紹介が発生します。既存社員だけでなく、良好な関係を維持している退職者も「紹介源」としてタレントプールに含めることが、今後の標準的な戦略となるでしょう。

リファラル採用は、中長期的な最強の資産になる

リファラル採用は、導入直後に劇的な成果が出る性質のものではありません。

しかし、粘り強く文化として定着させることで、コスト、質、定着率のすべてにおいて他を圧倒する最強の採用チャネルとなります。

「リファラル採用を導入したいが何から始めたらいいか分からない」「制度の形骸化を何とかしたい」とお悩みの方は、こちらもご活用ください。最新の成功事例や運用のコツがまとまった資料です。

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監修者

清水 巧株式会社ウィルオブ・パートナー代表取締役社長

SansanでのCS組織立ち上げを経て、2014年に株式会社リフカム(現:株式会社ウィルオブ・パートナー)を設立。リファラル採用支援サービス「Refcome」を通じて数多くの企業の制度設計・風土改革を支援。現場を巻き込むノウハウに精通する。2018年Forbes「アジアを代表する30歳未満の30人」選出。2024年よりウィルオブグループにて企業の採用力強化をリードする。

SansanでのCS組織立ち上げを経て、2014年に株式会社リフカム(現:株式会社ウィルオブ・パートナー)を設立。リファラル採用支援サービス「Refcome」を通じて数多くの企業の制度設計・風土改革を支援。現場を巻き込むノウハウに精通する。2018年Forbes「アジアを代表する30歳未満の30人」選出。2024年よりウィルオブグループにて企業の採用力強化をリードする。