新卒のリファラル採用に取り組む企業が増えた背景

新卒採用を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、求人情報への掲載や合同説明会だけでは、十分な母集団を形成しにくくなっています。

少子化による学生数の減少に加え、就職活動の早期化や情報収集手段の多様化が進み、企業側からの一方的な情報発信では学生の関心を引きにくい状況です。

こうした中、社員の紹介を通じて学生と接点を持てる新卒向けのリファラル採用は、現場の実情に即したリアルな情報を伝えられる手法として注目されています。

新卒採用におけるリファラル採用とは

新卒採用におけるリファラル採用とは、社員や内定者が自社に適していると考える学生を紹介し、採用につなげる手法です。

不特定多数に向けて情報を発信する従来型の採用とは異なり、個人間の信頼関係を起点に接点を築ける点が特徴です。

学生は実際に働く社員から直接話を聞けるため、企業理解を深めたうえで選考に進みやすくなります。

加えて、企業側も学生の志向性を把握した状態で採用活動を進められる点がメリットと言えるでしょう。

リファラル採用の基本的な仕組み

リファラル採用では、企業が制度やルールを整備したうえで、社員に対して学生の紹介を依頼します。

社員は知人や後輩などの学生に声をかけ、関心を示した場合に企業へ推薦する流れです。

その後は通常の新卒採用と同様に選考を行い、基準に基づいて合否を判断します。

紹介はあくまで接点をつくるための手段であり、採用基準が緩和されるものではありません。公平性を保ちながら、信頼性の高い母集団を形成できる点が、この仕組みの強みといえます。

中途採用との違い

中途採用におけるリファラル採用は、即戦力や専門スキルを重視するケースが多い一方、新卒採用ではポテンシャルや価値観の一致が重視されます。

そのため新卒のリファラル採用では、業務経験よりも「社風に合いそうか」「成長意欲があるか」といった観点からの紹介が中心となります。

また、学生は社会人経験がないため、選考前の情報提供やフォローの重要性が高まる点も、中途採用との大きな違いです。

新卒採用でリファラル採用を行うメリット

新卒採用にリファラル採用を取り入れることで、企業と学生の相互理解を深めやすくなります。

その結果、採用後のギャップを抑えやすく、長期的な人材定着につながる点が大きなメリットです。

主なメリットは、以下の通りです。

  1. ミスマッチが起きにくい
  2. 定着率・活躍率が高まりやすい
  3. 採用コストを抑えやすい

それぞれ詳しく解説します。

ミスマッチが起きにくい

リファラル採用では、社員が自社の実情を理解したうえで学生を紹介するため、価値観や働き方のミスマッチが起きにくくなります。

学生側も、説明会や募集要項だけでは把握しづらい現場のリアルな情報を事前に得られるため、納得感を持って応募しやすくなるでしょう。

その結果、「想像していた会社と違った」といった理由による早期離職を防ぎやすい点が、新卒採用における大きな利点です。

定着率・活躍率が高まりやすい

入社前から社員との接点を持っている学生は、入社後の人間関係や業務イメージを描きやすく、環境への適応もスムーズです。

紹介者が社内にいることで相談先が明確になり、不安を抱え込まずに働けるケースも増えます。上記の点から定着率が向上しやすく、企業理解が深い分、早期に力を発揮する人材が育ちやすくなります。

採用コストを抑えやすい

リファラル採用は、ナビ媒体への大規模な広告出稿やエージェントの利用と比べて、採用コストを抑えやすい傾向があります。

紹介に対してインセンティブを設ける場合でも、費用は採用決定時にのみ発生するため、費用対効果を管理しやすい点が特徴です。

新卒の採用人数が限られる企業にとって、無駄なコストを抑えつつ採用活動を進められる手法といえるでしょう。

新卒採用にリファラル採用を導入するデメリット

新卒採用におけるリファラル採用には多くのメリットがある一方で、導入時に注意すべき点も存在します。

デメリットを理解したうえで対策を講じることが、継続的な運用には欠かせません。

特記すべきデメリットは、以下の通りです。

  1. 社員・内定者の心理的負担
  2. 不採用時の人間関係リスク
  3. 候補者の偏り・多様性の課題

それぞれ詳しく見ていきましょう。

社員・内定者の心理的負担

リファラル採用では、社員や内定者が紹介者となるため、「断られたらどうしよう」「不採用になったら気まずい」といった心理的な負担が生じる場合があります。

とくに新卒採用では友人関係が密接なケースも多く、無理な紹介依頼は逆効果になりかねません。

紹介はあくまで任意であることを明確にし、社員や内定者が負担を感じずに関われる運用が大切です。

不採用時の人間関係リスク

紹介した学生が不採用となった場合、紹介者と候補者の関係性に影響が及ぶ可能性があります。

企業側の対応が不十分だと、紹介者が必要以上に責任を感じたり、不満を抱いたりする要因になりかねません。

そのため、不採用理由の伝え方やフォロー体制をあらかじめ整え、紹介者が板挟みにならないよう配慮するよう心がけましょう。

候補者の偏り・多様性の課題

リファラル採用は社員の人脈に依存するため、候補者の属性や価値観が偏りやすい傾向があります。

特定の大学やコミュニティに紹介が集中すると、多様性を確保しにくくなる点は課題といえるでしょう。

そのため、リファラル採用のみに依存するのではなく、他の新卒採用手法と併用しながら、全体のバランスを取ることが求められます。

新卒領域のリファラル採用を実施するために必要なこと

実施する際に必要になるポイントとして、大きく3つのポイントあります。各ポイントを詳しく説明します。

全員に確実に周知する

そもそもリファラル採用制度が認知されていないとうまくいくはずがありません。

中途採用領域であれば、推進リーダーと呼ばれている管理者クラスの方に人事が周知をして、現場メンバーに落とすという方法が主流です。

しかし、若手社員や内定者のみを対象にする新卒リファラルにおいては、必ずしも上記のような影響力のある社員を推進リーダーにできるとは限りません。

ですので、全ての対象者に対して人事から直接周知をすることで、制度を認知してもらう必要があります。

全体や個別で集まったり、連絡する時などあらゆるタイミングで周知をすることが大切です。

依頼対象者が若手社員だからこそ、社内行事等で集まる機会が多く、周知もしやすくなります。

例えば、以下のタイミングで一斉に周知を行うことが効果的です。

  • 新卒研修
  • 入社1年後研修
  • 内定者研修
  • 内定式
  • 入社式

また、どなたからお話をするかというのも非常に重要です。

人事部長や経営陣の方から”リファラル採用の意義”、”実施の背景”をしっかりと伝えることで、「会社に貢献したい!」という想いを若手社員に抱かせることができます。

上記のような口頭周知に加え、リファラル採用制度を認知してもらうためのチラシを用意している企業様ではより成果が出ています。

チラシなどがあると、説明された後もその制度に触れる機会があるからです。

▼チラシ例(Refcome制作)
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紹介しやすい受け皿を用意する

制度が認知された後に出てくる課題は、はじめから後輩を選考に呼ぶのはハードルが高いという声が出てくることです。

これは指摘通りで、後輩の人生を大きく左右する就職活動において、いきなり自分の会社の面接に招待するのはちょっと気が引けてしまうでしょう。

そこで大切なのが、就活生や学生にとってメリットのあるイベントを企画し、そこを最初の接点にすることです。

当社ではこれをライトな受け皿を用意する、と呼んでいます。

ライトな受け皿があれば、協力者の方々は簡単に学生に声かけをすることができますし、それが本人のためになるイベントであれば、尚更参加するように促してくれるはずです。

  • ○○業界勉強会
  • 社長がキャリアについて語る会
  • 先輩社員や内定者との座談会
  • 就活に関する勉強会
  • 社内イベント

これらのような選考ではない接点を設けることで多くの参加者を獲得でき、母集団形成ができるのです。

またイベントの満足度が高ければ、学生同士の口コミ効果も狙えるので、より多くの母集団を形成できるようになります。

まとめると、最初の接点をライトな受け皿に設定し、そこに後輩を誘ってください、と周知することが大切です。

学生に対して特別感を出す

どんなイベントに誘ってもらいたいのかを伝えたら、あとは誘い方をレクチャーするだけです。

これを実施していないと、誘う側は「あれ?どうやって誘ったら良いんだっけ?」と思ってしまい、なかなか行動に移してくれません。

シンプルでわかりやすい誘い方にするのがベストです。

誘い方の悪い例ですが、「後輩にこのイベントの情報を拡散してね」と伝えるだけではあまり効果が見込めません。

理由としては、下記に挙げるものが考えられます。

  • そのイベントのメリットを、誘う側がうまく説明できない
  • 学生側が応募するときのフローが不明確なのでアクションできない
  • 学生側に特別感がなく、他の就活イベントと同様の扱いをされてしまう

ちなみに学生が候補者である新卒リファラルにおいて特に重要なのは、3つ目に記載した「特別感」です。

例えば、特別感を演出した特設の招待ページを学生さんごとに作成するなどが挙げられます。

こういった他の企業様とは違う演出をすることで学生の興味を引き、招待された人はイベントへの参加意思を固めます。

それに加え、招待ページにはイベントの概要や参加メリットなども記載されているので、誘う側から詳細に説明する必要はありません。

また、当社が作成した招待専用カードを作成して、対象者に配布頂いている企業様もあります。

これを渡された後輩は、特別な招待カードをもらえて嬉しいですし、紹介する側もカードを渡すだけなので、とても簡単に紹介できるというメリットがあります。

上記のチラシ同様、制度があることを忘れない仕組みとしてカードは有効です。

先輩の紹介でのイベント参加ということもあり、当日キャンセルする学生が圧倒的に減ることもリファラルならではの効果です。

▼招待カード例(Refcome制作)

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リファラル採用における新卒採用事例

Refcomeでは多くの採用にお悩みの企業様をリファラル採用を中心に支援してきました。
新卒採用の支援事例も数多くあり、その中の一部を以下記事で紹介しています。

株式会社荏原製作所

荏原製作所は、若手社員へのアンケートで協力的な層を特定し専用ツールで紹介の負担を減らすことで、知名度に頼らない母校や部活の繋がりを活かした新卒採用を実現しています。

100年企業、荏原製作所が実践する新卒リファラル採用とは

三井不動産リアルティ株式会社

三井不動産リアルティは、内定者の行動を可視化できる専用アプリを導入し、趣味別のオンライン懇親会などで紹介のハードルを下げることで、コロナ禍でも前年を上回る新卒エントリー数を獲得しました。

人との繋がりを大切にしている三井不動産リアルティの新卒リファラル成功の秘訣とは

バルテス株式会社

バルテスは、手厚い選考フィードバックで自社のファンになった内定者に「後輩助け」としての協力を仰ぎ、専用アプリで入社前エンゲージメントを可視化・維持することで、内定者の約3割が後輩を紹介する仕組みを構築しています。

「社員が働きがいを感じ、自信を持ってオススメできる組織作り」に取り組むバルテスの新卒リファラルとは

プログレス・テクノロジーズ株式会社

プログレス・テクノロジーズは、ナビサイト経由の母集団減少を受け、金銭報酬に頼らず専用アプリで拠別のプッシュ通知や内定者限定コンテンツを配信することで、潜在層へのアプローチと効率的な新卒紹介の活性化を実現しました。

Refcomeアプリの活用で、採用拠点ごとのアプローチが可能に。潜在層に向けたリファラル採用とは

おわりに:リファラル採用を使って新卒採用を円滑に進めよう

いかがでしたでしょうか。

新卒採用領域でのリファラル採用制度の導入は、対象者の選定から、周知方法、スカウト時に活用するツールの用意、などしっかりと準備をすることで確実に効果を見込めます。

このブログの内容がこれから新卒採用にリファラル制度を導入しようと考えている企業様のヒントになっていれば幸いです。

もっと詳しいお話や他社様の事例が聞きたい、という方がいらっしゃればぜひお気軽にお問い合わせください。

監修者

清水 巧株式会社ウィルオブ・パートナー代表取締役社長

SansanでのCS組織立ち上げを経て、2014年に株式会社リフカム(現:株式会社ウィルオブ・パートナー)を設立。リファラル採用支援サービス「Refcome」を通じて数多くの企業の制度設計・風土改革を支援。現場を巻き込むノウハウに精通する。2018年Forbes「アジアを代表する30歳未満の30人」選出。2024年よりウィルオブグループにて企業の採用力強化をリードする。

SansanでのCS組織立ち上げを経て、2014年に株式会社リフカム(現:株式会社ウィルオブ・パートナー)を設立。リファラル採用支援サービス「Refcome」を通じて数多くの企業の制度設計・風土改革を支援。現場を巻き込むノウハウに精通する。2018年Forbes「アジアを代表する30歳未満の30人」選出。2024年よりウィルオブグループにて企業の採用力強化をリードする。