リファラル採用とは?

リファラル採用の意味と注目を集めている理由を解説します。

リファラル採用とは何か

リファラル採用とは、英語で「紹介」を意味するReferralと、「求人、採用」を意味するRecruitingを合わせたリファラルリクルーティング(Referral Recruiting)と言われる採用手法を指します。

企業が自社の社員に対し、募集をかけている求人にマッチする知人や友人を紹介してもらい採用する手法です。
人事が社員に対して、「紹介したい」と思ってもらえるかどうかが重要になってくる採用手法となります。必然的により良い会社づくりが求められるので、会社にとっても、社員にとっても良い取り組みにつながります。

リファラル採用が注目を集めている理由

リファラル採用が注目を集めている理由は下記の3点が挙げられます。

  • 離職した人員を補充する採用が増えているため
  • 優秀な人材の獲得が困難になっているため
  • 採用コストへのメリットが大きいため

多くの企業では社員の採用と定着が別々の部署にミッションとして設定されているため、採用活動時に「離職しない人材を採用する」観点が抜けがちです。離職した人員の補充分が次の採用目標に追加されるので、採用担当は採用目標の達成が困難になります。

リファラル採用は、離職しない人材を採用することでこのような課題を解決します。他にも、リファラル採用には優秀な人材の獲得ができるなど、大きなメリットがあるため注目を集めています。

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リファラル採用と縁故採用の違い

日本にも古くから縁故採用という似た採用手法がありますが、リファラル採用と縁故採用とでは「採用することを前提とした特別な選考かどうか」という観点で特徴が大きく異なります。

◆リファラル採用の特徴

血縁関係にある方や親族だけでなく、知人や友人を自身の企業へ紹介して採用する手法を指します。
採用することが前提ではないので特別な選考ステップは設けず、他の採用手法と同じ選考ステップで採用合否を判断します。

◆縁故採用の特徴

血縁や親族を自身の企業へ紹介して採用する手法を指します。
立場を利用した紹介が多く、採用されることが前提となっている特別な選考ステップを設けている採用手法です。

リファラル採用と従来の採用手法の違い、使い分け

リファラル採用は「ダイレクト採用、採用媒体、人材紹介」の次の第4の手法と言えます。手法ごとに違いを整理してみます。 image (140)リファラル採用は手間はかかりますがコスト抑えながらも質の良い人材の採用が可能なことがわかります。
手間や人数、コントロールの側面に関しては採用支援サービスを展開しているプロの手を借りることで解消することができます。

リファラル採用のメリット

リファラル採用のメリットについて解説します。

離職率が低い人材を採用可能

リファラル採用は、職場と候補者を理解している社員の紹介から採用するため、候補者と職場のカルチャーとのマッチ度が高くなります。候補者は入社後も社内に馴染みやすく、オンボーディングがスムーズに進むため、すぐに活躍してくれます。
結果として離職しない人材を採用できます。

採用コストの削減

採用コストとしては、ナビサイトを利用した場合、採用に一名あたり50万円〜100万円がかかります。また、人材紹介エージェントを利用した場合は、100万円以上の紹介料がかかります。
リファラル採用は社員からの紹介のため、採用コストを0円とすることも可能です。リファラル採用の報酬(インセンティブ)を社員に支払う場合でも、ナビサイトや人材紹介エージェントと比較して、採用コストは大幅に削減できます。さらに、リファラル採用は離職しない人材を採用できるので、離職した人員を補充する採用が不要となり、金銭面と面接工数面で採用コストが削減できます。

転職市場外の人材も採用可能

リファラル採用は社員が一緒に働きたい友人や知人を紹介するため、転職意向がない人材も候補者に挙がります。
つまり、転職サイトや人材紹介エージェントではアプローチできない、優秀な転職潜在層にもアプローチできます。

すぐに転職する意欲がない候補者には定期的に接触し、自社の魅力を伝え続けることで、将来的に候補者が転職を考えたタイミングで自社の選考を受けてもらえます。タレントプールという手法を活用したアプローチが重要になります。

リファラル採用のデメリット

メリットが大きいリファラル採用ですが、正しく促進しなければ思わぬトラブルに繋がることもあります。ここからはリファラル採用のデメリットについて解説します。

採用に至るまでに時間がかかる

「今すぐ転職をしたい」と考えていない転職潜在層にアプローチできるのもリファラル採用のメリットですが、一方で転職潜在層と接点を作り自社に入社してもらうためには時間がかかります。
候補者とは継続的に接点を持ち、しっかりと自社の魅力を伝えていく仕組みを作りましょう。

報酬(インセンティブ)目的の紹介

リファラル採用の報酬(インセンティブ)を設計している場合、高すぎないか考える必要があります。報酬(インセンティブ)が高すぎる場合は、報酬を目的とした紹介が発生し、自社にマッチしない人材の応募が増加します。
適切な報酬(インセンティブ)の設計をしましょう。

人材の同質化

リファラル採用では、仲の良い友人や価値観の合う知人を紹介するケースが多いため、似たような社員が集まる傾向もあります。
制度設計時の「どのような人物を採用するか」というペルソナ設計と社内告知で回避できます。

不採用時にケアが必要

多くの方が特に気にするのが、この点ではないでしょうか。
リファラル採用は通常の選考ステップを踏むため、選考中に不採用になることもあります。人事から社員に「紹介してください」とお願いして、紹介してもらった候補者を不採用にすることで、社員と候補者の人間関係に亀裂を入れてしまう可能性があります。
ケアする方法も記載するので、参考にしてください。

リファラル採用に失敗しないための注意点

リファラル採用は手順を整理しておかないと、人事および社員の手間が増える採用手法となりがちです。社員の紹介がメールだったら、社内SNSだったら、チャットだったら、口頭だったらどうでしょう。相手からもらうべき情報はどうしますか?紹介相手をどのように人事に繋いでくれるのがいいでしょうか?直接連絡しても問題ないのでしょうか?

例えば以下のような点を整理しておく必要があります。

複雑な紹介プロセスの設計とコントロール

リファラル採用も選考の1つなので、選考プロセスを配慮したフローを作成しましょう。
どのような形で紹介してもらい、その紹介に対して紹介者にはどのようなお礼とメッセージを伝えておくか。
紹介してもらった相手には、どのようなアプローチで最初の接点を持つか。
先方が転職顕在層だった場合とそうでない場合とで対応方法に違いはあるのか。

これには正解はないのですが、フレームワークを用いてケースごとに整理しておくことを推奨します。

人事の業務整理

採用に関わる情報の整理は、人事業務の中でも重要なタスクとなっているはずです。誰に、いつ、何を、どのように提供し、現在のステータスはどのようになっていて、次のアクションはこのようになっている。これをきちんと可視化しておく必要があります。

紹介してくれる社員のフォロー

友人を自社に紹介する、ということは高いハードルがあるという話をしましたが、これを乗り越えて、紹介してくれたことに対して、会社として、そして人事担当個人として、承認と賞賛のメッセージを伝えることは、非常に重要なことです。

採用プロセスの途中結果を紹介した社員に共有すべきかは議論の余地がありますが、結果、紹介された友人の採用、不採用に関わらず、きちんと結果は伝えること。またその判断ポイントを共有しておくことで、次回以降の紹介基準を整理してもらえます。

社員側にコミットさせる指標にしない

リファラル採用は「頭数を揃えるための採用手法」ではないので、人事の思うような計画通りに採用人数が揃わないこともあります。それを「みんなが紹介してくれないからだ」というような社員側の責任のように押し付けてはいけません。

それよりは、社員全員が採用に携わっている意識、会社の重要な資産である人的資源への意識を高め、日頃からの社内外の取り組みや人脈作りのアンテナを高めてもらうことに注力すべきです。

リファラル採用の促進方法

次はリファラル採用を成功させるための方法を解説します。

  1. 社員から紹介が発生する状態か把握
  2. リファラル採用の制度設計
  3. 報酬(インセンティブ)の設計
  4. 効果的な社内告知
  5. 状況に適した施策を設計
  6. 施策の成果を可視化してPDCAサイクルを構築

1.社員が自社を紹介する状態になっているか把握

社員から紹介が発生する状態にするためには、eNPS(Employee Net Promoter Score:エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア:従業員の自社に対する愛着や満足度、働き甲斐などを数値化した指標)の他に8つの要素が必要となります。
eNPS以外の8つの要素とは、制度認知、ポジション認知、ペルソナ認知、人脈、魅力伝達、紹介手順の煩雑さ、必要性の理解、心理的ハードルです。

我々はリファラル採用の支援を通して、この要素を導き出しました。
これらの要素を定期的に可視化し、データに基づいた適切な改善が可能になります。

もしも、さらに詳しく知りたい場合は下記リンクよりお問い合わせください。

リファラル採用についてのご相談はこちら

2.リファラル採用の制度設計

リファラル採用を促進するうえでは、制度設計は欠かせません。
下記項目などを設計する必要があります。

  • リファラル採用でどのような職種や人物を採用するのか
  • リファラル採用を促進するためにどのような体制が必要か
  • 社内告知の方法はどのような手段で実施するか

社員から紹介が発生する状態か把握した際に取得したデータを活用して、最適な制度設計ができると促進も早く、大きな成果に繋がります。

3.報酬(インセンティブ)の設計

リファラル採用では、報酬(インセンティブ)を設計した方が促進をしやすくなります。
ただし、報酬(インセンティブ)を高く設計し過ぎると、報酬(インセンティブ)をもらうためだけの目的で紹介が発生し、マッチした人材に会えないことで、採用をできないだけでなく面接をする工数が増えます。

4.効果的な社内告知

効果的な社内告知は、下記方法で実施します。

  • 社員から紹介が発生する要素を網羅して発信
  • 複数のチャネルから社内告知
  • 経営層(トップ)からのメッセージを発信
  • 継続的な社内告知

効果的な社内告知を進めながら、定期的に「社員から紹介が発生する要素」を計測してPDCAを回せる環境を構築することをオススメします。

5.状況に適した施策を設計

リファラル採用の促進には、社員から紹介が発生する状態にするための要素がどのような状態にあるかを把握したうえで、最適な施策を設計することも重要です。
心理的ハードルの数値が高く、その要因が「友人の人生を左右するような紹介は避けたい」というものであれば、選考への集客ではなく会社説明会や採用イベントへの集客をリファラル採用の受け皿とするなど、状況に応じた施策設計で成果が大幅に変わります。

6.施策の成果を可視化してPDCAサイクルを構築

最適な施策を実行したあとは必ずその成果を計測することが次の改善に繋がります。

受け皿の変更を行った場合、どれだけの紹介数が増えているのか、ポスターやアプリを活用した紹介依頼を実施したら、どのようにリファラル採用の成果が変化しているのかを把握し、仮説と検証をしながら、より良い改善施策を設計していきます。このようなPDCAサイクルをリファラル採用も構築すべきです。

採用領域別の事例から考えるリファラル採用の成功ポイント

採用領域別に見た場合のリファラル採用の成功ポイントは変わるのでしょうか?
実際にリファラル採用を実施している企業の事例を元に解説します。

中途採用のリファラル採用

中途採用領域では、社員に「紹介したい」と思ってもらい、行動をしてもらうことが重要になります。社内マーケティング視点が重要です。

◆freee株式会社の事例 freee社では、その紹介プロセスを可視化してシステム導入により簡易化して成果を最大化しています。さらに「楽しさ」を重視した施策設計によりリファラル採用の文化づくりを可能にしています。

参考事例: リファラル採用の紹介プロセスを可視化し、簡易化することによって中途採用での成果を最大化

◆株式会社セールスフォース・ドットコムの事例セールスフォース・ドットコム社は社内に対して、募集中のポジション告知を採用部門から社内コミュニケーションツールで配信しています。さらに、経営層からも社内に周知する形を取っており、紹介した社員の中に対しては旅行券をプレゼントするなど、社員が進んで紹介したくなるキャンペーンを実施しています。
社員のエンゲージメントを強化することで、自発的に仲間を募るカルチャーを創出しています。

参考事例: 社員のエンゲージメントを強化し、自発的に仲間を募るカルチャーを創出

新卒採用のリファラル採用

新卒採用領域では、内定者の「やる気」を刺激していくことが効果的です。

◆株式会社クレディセゾンの事例 クレディセゾン社では、リファラル採用の取り組みで内定者の意識が変化したことが大きく、想定以上の応募につながっています。社内報で“内定者が取り組むリファラル”についてインタビュー記事をとりあげたことで、「後輩の役に立てて嬉しい」や、「後輩に紹介することでクレディセゾンの新しい魅力に気づいた」、「自分が就活していた時もこんな仕組みがあったら良かった」など、喜びの声が多くあがりました。

アルバイト採用のリファラル採用

アルバイト採用領域では、店長やマネジャーにリファラル採用の中心として活動してもらい、アルバイトに気軽に参加してくれる環境作りをすることが重要です。

◆株式会社すかいらーくホールディングスの事例すかいらーくホールディングス社では、紹介した人、紹介された人のメッセージを収集、環境整備の啓蒙・事例紹介・イラストでの紹介などの工夫をすることで、定期的に社内報で発信しています。
また、マネジャーの評価項目に「友人紹介率」を追加したり、合同マネジャー会議で「友人紹介」優秀マネジャーを表彰したりもしています。リファラル採用の取り組みが会社として重要施策であることを明確にしています。

スタートアップやベンチャーは特にリファラル採用に注力すべき

急成長するスタートアップやベンチャー企業において、「仲間集め」は最も重要なミッションです。
しかし、スタートアップやベンチャーは知名度がなく、採用コストもかけられない環境で戦略的な採用活動が求められています。

このような環境において、リファラル採用は戦略的な採用活動に貢献できます。

  • 大手企業と採用競争をせずに採用活動ができる
  • 優秀な転職潜在層の人材を採用することができる
  • ミスマッチが減り、定着率が上がる

下記、参考記事ではスタートアップとベンチャーが取り組むべきリファラル採用について詳しく解説しています。
また、紹介したくなる良い会社づくりにもつながる取り組みなので、中長期的にしっかりと工数をかけて実行することで大きな成果を手にすることができます。
それを体現している株式会社SmartHRの事例もご紹介します。

参考事例: 常に進化し続けたい!SmartHR式リファラル活用

まとめ:リファラル採用を促進しましょう

リファラル採用の意味やメリット・デメリットについて解説しました。
リファラル採用に取り組むことで人手不足を解消しながら高い定着性で安定した事業運営が可能になります。
リフカムでは企業の中に深く入り込んで支援し、採用課題を解決します。
人手不足や定着率など、採用に関わるお悩みをお持ちの方はお気軽にご相談ください

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