当インタビューは、「社員にとって紹介したい会社作り」「本質的な採用における取り組み」を積極的に行う企業様を表彰対象とした「Referral Recruiting AWARD 2023」の受賞企業様への取り組みをお聞きするシリーズです。

SB C&S株式会社は、ソフトバンクグループの原点であるIT流通ビジネスを受け継ぎ、ビジネスの変革と成長を求めるお客さまに、最先端のプロダクトとサービス、革新的なソリューションを提案し続けています。

今回、SB C&S株式会社は「全社を巻き込んだ多角的な施策を通じて大幅な紹介数増を達成した会社」としてエンタープライズ賞を受賞しました。

  • リファラル採用を始めたきっかけ
  • 印象的な施策
  • 今後の展望

などを中心に、具体的な仕組み作りについて村尾様、李様、佐藤様にお話をお伺いしました。

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プロフィール

村尾 栄人 様・・・人事部人事企画課所属。2015年にSB C&S株式会社に入社し、2022年度まで採用育成課の課長として、リファラル採用の旗振り役を行い、ツール導入・全社展開の舵取りを行う。現在は人事企画課で労務・制度・評価などを管掌する課長として従事。

李 君怡 様・・・人事部採用育成課所属。2017年にSB C&S株式会社に入社し、新卒採用と研修を担当。現在は採用全般を管掌する採用育成課の課長として、採用・育成業務に従事。

佐藤 達矢 様・・・人事部採用育成課所属。2019年にSB C&S株式会社に入社し、一貫して採用業務に従事。リファラル採用を推進する施策のオーナーシップを持ち、施策推進をメインで担当。

定着率の高い社員紹介を活性化したかった

― リファラル採用をはじめたきっかけを教えてください。

佐藤様: 実は、以前から「社員紹介キャンペーン」としてリファラル採用を実施していました。当社では特定の採用チャネルへの依存度が高かったのですが、この依存度を徐々に下げ、有効な採用チャネルを増やしていくため、「社員紹介キャンペーン」を重要視してきました。

この取り組みをさらに活性化させるために、一昨年、村尾さんがリフカムさんとの接点を作ってくださったのです。

村尾様: 「社員紹介キャンペーン」は、私が入社してから約5~6年にわたって実施してきましたが、その存在が全社員に周知されているわけではなく、成果も頭打ちに達していました。我々の会社だけの問題ではないですが、中途採用の需要が年々増加しており、特にエンジニアやIT業界の経験者の獲得が難しくなっています。さらに、労働人口の減少も進んでおり、特定の採用チャネルのみに依存した採用では、中途採用を十分に行うことが難しい状況です。

そんな中、社員紹介を通じて入社した人々の定着率が約90%と非常に高かったことから、中長期的な視点で採用戦略を見直す際、社員紹介のさらなる推進と活性化が我々にとってはるかに効率的であり、大きなメリットをもたらすと考えました。

この背景を踏まえ、社員紹介の積極的な推進とその取り組みにさらなる勢いをつける方針を確立しました。社員紹介の比率を10%から15%、将来的には20%まで引き上げることを目標としています。それを実現するために、リフカムさんと連携することを選択しました。

― 施策の具体的な内容について教えていただけますか?

佐藤様: まず、注力すべき重要チャネルである社員紹介キャンペーンをさらに充実させるため、Refcomeアプリの導入を行いました。既存社員への周知はもちろん、中途入社者が入社初日と翌日に必ず参加するオリエンテーションでも「社員紹介キャンペーン」の周知とアプリのダウンロードを案内しています。さらに、紹介カードの配布も行っています。

また、報奨金の支払いフローを見直し、リフカムさんと協議しながら会食制度を新たに導入し、社内ポータルでのブログ配信やペアインタビューの実施。さらには広報室と連携して社内報で発信するなどの取り組みを実施しました。

これらの施策の結果、応募数が飛躍的に増加しました。

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努力を重ねて「社員紹介」を会社の文化にしていく

― 印象的な施策や、特に良かったものはありますか?

佐藤様: 特に印象的だったのは、説明会の実施ですね。開催前は参加人数がどの程度になるのか全く予測がつかない状態で不安もありましたが、結果的には社員の約10分の1が参加してくれました。また、リフカムさんのアドバイスを受けて、説明会を録画し、その動画を社内ポータルに配信したことも良い施策だったと感じています。社員が都度動画を確認できる状況を作ることができ、非常に有効だったと思います。

李様: 人事部門だけに留まらず、広報部門や経営陣を巻き込んだ全社的な取り組みで、そのメリットを社員にしっかりと訴求したこと自体が、メンバーの奮起につながり、今の成果を生み出していると思います。特に印象的だった施策は、社員がQRコード一つで簡単に紹介できるシステムを構築できたことです。毎日、メールで「○○さんからの紹介がありました」という通知を受け取るたびに、とても嬉しい気持ちになります。

また、リフカムさんの協力のもと、入社者のインタビューを定期的に発信している点も重要です。一見地道な取り組みに見えますが、誰がどのような思いで当社を紹介し、それがどのように実を結んでいるのかを社員に示すことは非常に価値があると感じています。このような努力を積み重ね、今後も、さらに多くの社員を巻き込み、社内文化として根付かせていけたらと思っています。

― 施策を進めるにあたり、工夫していることや特に大切にしている点を教えてください。

佐藤様: 紹介カードを会議室に設置する際、ビルの管理会社への申請が必要かどうかから始めたことがあります。人事部門だけでは対応できない部分は総務部門に協力を依頼しました。他部門が間接的に社員紹介キャンペーンに関与する機会が持てたのは、非常に良いことであり、ありがたいことでもありました。

また、紹介する側の個々の思いをペアインタビューを通じて直接聞けることが、非常に価値のある経験だったと感じています。紹介者が被紹介者のために何度もヒアリングを重ね、最適なポジションを見つけ出し、それが実際に入社につながっている事例がありました。人事部門だけでは決して成し遂げられなかったことです。

他部門と連携して進めること、そして紹介者の思いをしっかりと聞き、それを活かしていくこと、それらは特に大切だと実感しています。

李様: 施策を進める上で工夫している点は主に3つです。1つ目は、施策を単に社員に案内するだけで終わらせず、チーム定例などを設けつつ効果測定を行うことで、施策自体の質の向上を図り、社員全員を巻き込んで共に取り組むことです。形骸化しがちな部分にも注意を払い、ブラッシュアップしています。

2つ目は、社員の疑問や不安に対してオープンな姿勢で耳を傾け、ヒアリングを行うことです。去年から社内の相談ラウンジを活用し、社員からの相談に対して積極的に応じるスタンスを取っています。問い合わせの数はまだ少ないものの、人事がコミュニケーションの窓口を広げること自体に意味があると考えています。

3つ目は、新たに入社した社員への周知を徹底することです。これから一緒に施策を推進していくメンバーとして、その意識を持ってもらうことが重要です。このような積み重ねが、社員の認知度向上の決め手だと思っています。

村尾様: 導入のタイミングにおいては、リフカムさんの意義と目的を上層部に明確に伝え、情報をインプットすることをかなり意識しました。

リフカムさんを導入する前にも成果が一定出ていましたが、現在の採用状況や将来を考えた時、リファラル採用ツールを活用しなければ、外部から優秀な人材を獲得することは難しいと感じていましたから。

紆余曲折がありながらも、こうして無事に導入できてしっかり成果も残せているのは、そこをしっかり意識していたからこそだと思っています。

導入後においては、アプリの利用やインタビュー記事の発信、報奨金制度など、社員にとって有益で身近に感じられる施策が重要だと考えています。社員紹介をもっと身近なものとして感じてもらい、積極的に参加してもらえるようにすることが、施策の成功には欠かせません。この点は、導入初期から佐藤さんと共に意識してきましたし、今後も継続して取り組む必要があると思います。

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人事だけでなく現場をどれだけ巻き込んでいくか

― 成果の状況や、その成果に対してどのようにお感じですか?

佐藤様: 応募数が飛躍的に増加したことは、人事部門だけの努力では達成できなかった成果だと思っています。この数字が明確な採用成果につながるのは間違いないですね。今後、この増加した応募をどのように有意義な結果に結びつけていくかが、私たちの施策の運用方法によって大きく左右されると考えています。

― 最後に、今後の展望をお聞かせください。

佐藤様: 現在、社員紹介が企業文化の一部となりつつあると感じていますが、それをより確固たるものにするためには、既存の施策をどうブラッシュアップし、何を続けて何を止めるかの選択が非常に重要だと考えています。今期の残り2ヶ月と来期の施策運用に関しては特に重要な期間だと認識しており、リフカムさんのアイデアを参考にしっかり対応して、結果に結びつける必要があります。失敗を恐れずに新たな挑戦を続ける姿勢が、現状を打破する鍵だと思っています。また、チームの士気を高め、持続可能な活動を目指すことが大切です。

さらに、これまでの社員紹介キャンペーンを通じて入社した人々や紹介者からのフィードバックを基に、紹介潜在層の社員に対する認知拡大に取り組むことも重要です。

李様: これまでに良い基盤を築き、ある程度の進歩を遂げることができたと思いますが、今後の大きなテーマは、人事だけでなく現場をどれだけ巻き込んでいくかにあると考えています。先に話されたように、リファラルに関心の高い社員を現場から集め、専門の部隊や集団を形成し、彼らの意見を取り入れながら進めていくことが理想的だと思います。社員紹介は、人事が主導するのではなく、どちらかと言えば社員全体が主体となって推進していく形が望ましいですね。

そうすることで、現場目線の人物像を採用しやすくなると同時に、社員の参加意欲を高められます。そのような制度を構築すること、そして社員の声を集めて施策に反映させるスタンスを確立していくことを私たちが担っていけたらと思っています。

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