リファラル採用の認知率9割以上、でも動くのは1割—— 派遣業界の壁を越えた、ウィルオブ・ワークFO事業部の1年間

リファラル採用の制度を作り、全社に周知した。認知率は93%まで上がった。それでも実際に紹介行動を起こす社員は10%程度にとどまる—— 。派遣という業態特有の「帰属意識の壁」「現場ごとに異なる環境」に正面から向き合いながら、ゼロからリファラル採用制度を立ち上げたウィルオブ・ワーク ファクトリーアウトソーシング事業部(以下、FO事業部)。エリア対抗戦、コーディネーターの1対1の声掛け、Refcomeとの伴走。「知っている」を「動く」に変えるまでの1年間を、推進の旗振り役を務める大谷氏に伺いました。
| 業種 | 人材サービス |
|---|---|
| 所在地 | 東京都新宿区 |
| 従業員数 | 300~1,000名 |
| 採用職種 | 専門職社員、派遣スタッフ |
お話を伺った方

大谷 梓 氏
株式会社ウィルオブ・ワーク
ファクトリーアウトソーシング事業部 マネージャー
2008年に新卒入社以来、一貫してFO事業部に所属。現在はリファラル採用の推進・企画運営を担いながら、全国の支店事務統括やキャリアアドバイザーチームの統括も兼務する。
エージェント依存からの脱却—— リファラル採用に踏み出した背景
—— FO事業部の採用において、Refcome導入前はどのような課題がありましたか。
大谷氏:もともと専門職社員の採用は媒体を使っていたのですが、費用が読めないという課題があり、以前はエージェント一本に頼っている状態でした。ただ、エージェントも需給バランスの影響で単価が少しずつ上がってきていて、今後さらに上がっていくだろうと。そうした中で、もう一つの採用軸を作りたいというところから、リファラル採用に目を向けるようになりました。
—— なぜ数ある採用手法の中から、リファラル採用を選ばれたのでしょうか。
大谷氏:採用コストの高騰に加えて、「定着していただける人材をどう採用するか」という課題もありました。まだ事例は少ないので定着率の差異は十分に検証できていないのですが、一般的に友人紹介で入社された方のほうが定着しやすいと言われていますので、そうした期待も込めてスタートしました。
—— リファラルを仕組みとして定着させるにあたって、なぜRefcomeのようなツールが必要だったのでしょうか。
大谷氏:それまでも友人紹介はありましたが、誰かが取りまとめているわけではなかったので、どういう背景から成功事例が出ているのか、そもそもどこの拠点で何人が友人紹介で入社したのかといったことが見えていませんでした。従業員マスターを使えば数字自体は取れるのですが、可視化できていなかったんです。Refcomeを入れることで、全社で同じ画面を見ながら状況を把握できるようになる—— そこが導入の決め手でした。
派遣先で週5日勤務する社員にどう届けるか—— 構造的な難しさ
—— FO事業部の専門職社員は、雇用元がウィルオブ・ワークで就業先が別の企業になります。帰属意識が芽生えにくい構造の中で、リファラルの難しさは当初から感じていましたか。
大谷氏:はい、そこは感じていました。帰属意識を高めるためにウェルカムランチなどで支店に来ていただく機会は作っていたのですが、平日5日間フルタイムで現場勤務になってしまうので、わざわざ休んで研修を受けるのは難しいこともあって、十分な接点を作れていなかったのが正直なところです。
—— 導入前に、社員からの紹介が偶発的に起きることはあったのでしょうか。
大谷氏:有期の派遣スタッフの方では偶発的に発生するケースはそれなりにありましたが、専門職社員の紹介となるとほぼゼロの状態でしたので、ここを新たに作っていく必要がありました。
「やる意味あるの?」—— 逆風からのスタート
—— 大谷様がリファラル推進に関わり始めたときの状況を教えてください。
大谷氏:私が参画したのは、Refcomeの導入が決まった直後、「ここから推進していこう」という瀬戸際のタイミングでした。FO事業部の全社員への周知は済んでいたものの、人によって理解度にバラつきがあったり、「本当にやる意味あるの?」というネガティブな声が上がっていたりする中でのスタートでした。最初の3ヶ月くらいはリファラル推進リーダーもまだ置いておらず、Refcomeさんと二人であれこれ模索しながら動いている状態でしたね。
—— そこからどのように浸透させていったのですか。
大谷氏:まず各エリアにリファラル推進リーダーを配置することを決めました。その方たちを中心にエリアごとに進めていく体制を作ることで、少しずつエリア内で成功事例が共有されるようになっていきました。月1回、エリアごとにミーティングも行っていて、全国の実績と比較した自エリアの状況をしっかり共有しています。本当に少しずつではありますが、前に進んでいる実感があります。
—— 浸透のために特に苦労されたことは何でしたか。
大谷氏:リファラル採用以外にもタスクがたくさんある中で、人によって優先順位が違いますし、エリアのトップからのメッセージの強さもエリアによって異なります。全国で見るとバラつきがある状態を、いかに自分ごととして動いてもらうか、巻き込んでいくか。そこはすごく苦労しました。
—— 現在、社員への発信はどのような形で行っていますか。
大谷氏:社内のMicrosoft Teams上にリファラル専用チャネルを一つ作りまして、そこで毎月の月報、各エリアの成功事例共有、制度変更のお知らせ、Refcomeの新機能の案内などを、月に4〜5回、週1回くらいのペースで発信しています。総合職の社員以上には見ていただける状態にしているので、継続的にリファラルへの意識を保つ仕組みとして運用しています。
紹介の入り口を「仕組み」にする—— 中途入社研修とウェルカムランチの工夫
—— 紹介を発生させるために、具体的にどのような仕掛けを作られましたか。
大谷氏:中途入社の研修では、基本的に支店に来ていただくことが多いので、その場でRefcomeのアプリをダウンロードできたかどうかを隣で確認しています。アプリ上にある社内広報記事の見方や求人情報の閲覧方法も、その場で一緒に操作しながら説明しています。まずは「ログインできる状態」を入社時に確実に作っておくことが、その後の紹介行動につなげる第一歩だと考えています。
—— ウェルカムランチでも工夫をされているそうですね。
大谷氏:研修の合間にウェルカムランチを実施していて、前の職場がどんな感じだったのか、周りに悩んでいる方がいないかといった話を、フランクな雰囲気の中で聞いています。話せる雰囲気であれば、そのまま「ぜひ紹介してください」というところまで自然につなげています。支店長やマネージャーが参加するケースも多いので、コーディネーター任せにならず、上位者がしっかり握ってくれている安心感もあります。

リファラルバトルが転機に—— エリア対抗戦で火がついた
—— 運用を進める中で、特に手応えを感じたタイミングはありましたか。
大谷氏:私からの一方的な周知だけではなかなか組織は動かない、とRefcomeさんと話していた中で、転機になったのが今年1月から3月にかけて実施した「リファラルバトル」でした。エリア対抗戦の形にしたことで、「あと1名、もう1名」「あのエリアには勝つぞ」という対抗心が芽生えたんです。このタイミングに合わせてリファラル推進リーダーもエリアごとに配置できたので、ここからやっと組織として回り始めた実感がありました。
—— 社員の方からはどんな反応がありましたか。
大谷氏:先日、リファラルバトルでエリア1位だったチームの達成会に参加させていただいたのですが、「またやらないんですか?」という声がありました。バトル期間中はエリアとしての集客にも苦しんでいた時期だったそうで、リファラルバトルがあったからこそ集客を進められたというお話も聞けました。
認知93%、でも行動は10%—— ギャップを埋めたのは「1対1の声掛け」だった
—— 現在の制度認知率は93%と非常に高い水準ですが、一方で課題も見えていると伺いました。
大谷氏:アンケートを実施してみたところ、認知はされているものの、詳しく理解している方は35%程度という結果でした。また、Refcomeのログイン率指標で見ても、アプリを継続的に使っている方は10%ほどにとどまっています。ある程度は想定していたものの、こうして数字で見えるようになると、やはり課題が明確になります。最初に聞いたことも時間が経てば忘れてしまうので、Refcome上で定期的に記事を配信して、コンスタントに啓蒙し続けることの大切さを改めて実感しています。
—— もう一つ、工場特有の構造的な壁もあるそうですね。
大谷氏:はい。Aの現場で紹介してもらった方がBの現場に合うとは限らないんです。店舗販売のような業種では、紹介先の現場が広く選べることもあると思いますが、工場の場合は現場ごとに仕事内容も環境もまったく異なります。さらに、紹介したい候補者がいても、その現場にオーダーがなければ受け入れられない。そこはやってみて改めて感じた壁でした。現場単位ではなく、FO事業部としていろいろな働き場所の選択肢があるということを、社員にどう伝えていくかが今の課題です。
—— そうした壁がある中で、実際に紹介行動を起こしてくれる社員は、何がきっかけで動いてくれていますか。
大谷氏:やはりコーディネーターからの声掛けがすごく有効だなと感じています。実績が出ているコーディネーターを見ると、業務的な形式ばった周知ではなくて、1対1のコミュニケーションの中で「周りに誰かいませんか?」とフランクに声をかけているんですね。一斉配信だけではなく、一人ひとりに個別で話しかけるというのが、紹介行動につながるポイントだと感じています。
—— リファラルの推進を通じて、採用以外に何か変化はありましたか。
大谷氏:リファラルをきっかけに「理想的なコーディネーターのコミュニケーション像」が浮かび上がってきたなと感じています。なんとなくわかってはいたものの、人によってやりとりの仕方に違いがあるので、どういう声掛けをするとどういう結果が出てくるのか—— そこが少しずつ見えてきました。

カスタマーサクセスとの伴走—— 「常に横にいてもらえた」1年間
—— Refcomeカスタマーサクセス(CS)からは具体的にどのような支援がありましたか。
大谷氏:まず、毎月CSの方からダッシュボードで数字を出していただいていたのが大きいです。全国9エリアを束ねているので、全体で見ると良い部分・悪い部分が相殺されてしまうのですが、エリアごとに見ると特色がまったく違って見えることがあります。毎月いただくデータも活用しながら、各エリアの状況にフィットしたフィードバックを私自身ができるようになりました。
それに加えて、「他社ではこんな取り組みをされていますよ」といった事例を都度共有していただけるので、次に何をしようかという選択肢を広げてもらえています。Refcomeの使い勝手に関しても、「もっとこうなったらいいのに」というフィードバックを伝えると割とクイックに修正していただけるので、スムーズに前に進めている実感があります。
—— CSの支援で、運用の精度が上がったと感じた具体的な場面はありますか。
大谷氏:たとえば、上司から「4月入社者のログイン状況を細かく見たい」という要望が上がったとき、CSの方と一緒に集計のルールを詰めていきました。私だけでは持っていなかった視点からの切り込みで、定期的なログイン率を追うという新しい指標ができました。そこから「定期的に記事を配信して、Refcomeに触れる機会を増やそう」という施策にもつながっています。
—— 振り返って、CSの存在はどのような意味を持っていましたか。
大谷氏:これといった一つの施策というよりは、この1年間の過程すべてが、横で伴走していただいたからこそ成り立ったと思っています。常に横にいていただけているからこそ、壁にぶつかっても立ち止まらずに進んでいるという感覚です。
1年目の実績と、これから
—— ゼロから立ち上げて1年、実績をどう評価されていますか。
大谷氏:協力社員数45名、応募97件、入社47名という結果が出ています。ただ、専門職社員の採用は2名にとどまっており、全体の9割以上が有期派遣スタッフでした。一定の認知を作れたことは評価できる点ですが、やるべきことはまだまだたくさんあります。今期は改めて専門職社員の採用に舵を切って進めているので、本当にここからだなという思いです。
—— 数は少ないとはいえ、専門職社員の紹介も生まれています。印象に残っているエピソードはありますか。
大谷氏:専門職社員を紹介してくれた方の動機がすごく印象的でした。「この現場をもっとよくしたい、人が足りなくて大変な状況だから、自分が何か力になれたら」という思いで紹介してくださったそうなんです。コーディネーターからそのお話を聞いて、本当に素敵だなと思いましたし、そういう社員の方がもっと増えたらうれしいなと率直に感じました。
—— 今後、Refcomeをどのように活用していきたいですか。
大谷氏:今後はRefcomeを、リファラルに限らず社内の情報をリアルタイムで届けるプラットフォームとして育てていきたいと考えています。Refcome上でも定期的に記事を配信していますが、コーディネーターがわざわざ後追いしなくても、社員が自発的にログインして情報をキャッチアップしてくれる状態を作りたい。そうなれば自然と求人情報にも目が向いて、友人へのシェアにもつながっていくと思っています。

