エージェント依存率7割超の採用構造を変える——ダイキンエアテクノがリファラル採用で見つけた「社員が自社を語り始める」効果

空調設備エンジニアリング企業のダイキンエアテクノ株式会社は、建設業界特有の高い有効求人倍率と、エージェント依存による採用コストの高止まりが課題でした。Refcomeの導入をきっかけに、リファラル採用の制度を刷新。現在も試行錯誤を重ねている最中ですが、その過程で見えてきたのは、採用コスト削減だけではない「社員が自社の良さに気づく」という更なる深層インパクトでした。
| 業種 | 建築設備業 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都墨田区 |
| 従業員数 | 1,001~5,000名 |
| 採用職種 | 営業職、管理・事務職、技術職 |
お話を伺った方

杉井 伸吉 氏
ダイキンエアテクノ株式会社
人事総務部
前職から通算で約7年の人事経験を持つ。応募者対応や面接官を担当するリクルーターからキャリアをスタートし、その後は採用の上流工程となる集客戦略の立案、採用フローの設計・見直し、数値分析などを担当。ダイキンエアテクノには約2年半前に入社し、東京本社でキャリア採用全般の戦略設計・企画を担う。エージェント連携強化やリファラル施策の刷新に加え、AI面接の導入検討なども並行して推進している。
技術職の採用が年々厳しくなるなか、エージェント依存から脱却したかった
—— まず、Refcome導入前の採用課題について教えてください。
杉井氏:当社のキャリア採用における一番の課題は、技術職を中心とした人材確保の難しさです。建設業界全体で有効求人倍率が高止まりしていて、人材紹介エージェントからの採用が全体の7〜8割を占めている状態でした。
加えて、エージェント側の成功報酬の相場も上がってきています。当社の場合、安くても35%、ポジションによっては45%という水準になっていて、採用コストの面でも課題を感じていました。
—— リファラル採用の制度自体は、以前からあったのでしょうか。
杉井氏:制度としては存在していましたが、本社側から積極的にPRをしていたわけではないので、社員の認知度はかなり低かったと思います。運用も紹介者に任せきりで、紹介者側が工数の負担を感じたり、「変な人を紹介できない」という心理的なプレッシャーを感じたりしていました。結果として、偶発的な紹介が稀に発生していただけという状態でした。
明文化されたガイドラインもなく、イントラにリファラル制度についての簡易資料が共有されている程度。「この人はリファラルなのか」「インセンティブの対象になるのか」といった判断が、案件ごとに内容を確認して処理されていた面もあったと思います。
「アプリ不要」と「同業界の理解」が導入の決め手に
—— リファラル採用を本格的にやろうと思われたきっかけは何ですか。
杉井氏:特別に何か大きなきっかけがあったというより、上層部でも採用単価の抑制が話題になるなかで、「会社として活用できるものは何だろう」と考えたんです。そうしたときに、やはり従業員同士のつながりは会社にとって何よりの財産だなと改めて感じて。ここをうまく活かせば、採用単価ももっと下げられるはずだと思い、本格的にやりきろうと決めたのがきっかけです。
—— Refcomeを選んだ理由を教えてください。
杉井氏:実は以前、別のリファラル支援ツールのお話を聞いたことがあったんです。ただ、そのサービスは基本的にアプリのインストールが必要で、当社はグループのセキュリティポリシー上、そうしたことが気軽にできない環境だったので、一旦見送りになっていました。
その後、同業界でRefcomeを導入して成果を出されている企業の担当者の方から紹介を受けて、改めてリファラル支援サービスを検討する流れになりました。Refcomeはアプリなしでブラウザでも運用できるという点が、まず大きかったですね。
それと、ウィルオブ・パートナーさんは東証プライム上場のウィルグループの一社であり、グループ企業には人材系や建設系の会社もあるということで、業界への理解度や事業の安定性という点で安心感がありました。

社内稟議は「成果報酬モデル」でスムーズに
—— 導入にあたって、社内の調整や稟議で苦労された点はありますか。
杉井氏:正直、特に苦労しなかったですね。上層部もキャリア採用には力を入れるべきという方向で目線が合っていましたし、「できることはどんどんやっていきなさい」というスタンスがあったので。
加えて、Refcomeが成果報酬型の料金体系だったことが大きいです。当社の文化として、成果が未確定のものに対して先に予算を確保するのはなかなか難しい。その点、「入社した人に対してお金がかかる」というモデルはエージェントと同じ予算の動き方になるので、稟議は非常に通しやすかったです。
社員のエンゲージメントも上がるし、コストも抑えられる。当社にとってデメリットが見当たらなかった、というのが率直なところです。
ガイドラインの刷新から始めた——「いかに現場に負担をかけないか」
—— 今年頭のリリースに向けて、どのような準備をされましたか。
杉井氏:一番意識したのは、運用フローを組む中で「いかに現場の社員に工数をかけないか」というところです。日々忙しく業務にあたっている社員に協力をお願いすることになるので、とにかく気軽に、手軽にリファラルができる仕組みにしたかった。
制度設計の面では、まずRefcomeさんにインセンティブの金額・支給条件やリファラル採用全般の規定のたたき台を作ってもらいました。それをベースに私の方で社内の関係者と調整を重ねて『リファラル採用に関するガイドライン』としてまとめ上げ、これまで存在しなかった正式なルールを策定しました。リファラルの定義、インセンティブの条件、紹介から選考までのフローを明文化して、案件ごとの個別判断をなくすところから始めた形です。
—— デジタルとアナログの両方で紹介導線を作られていますね。
杉井氏:はい。ポータルサイト(ブラウザ)で求人を見て紹介できるデジタルの導線に加えて、QRコード付きのリファラルカードも作りました。どちらもCSの方に制作していただき、デザインや記載内容をすり合わせながら確定させていきました。
当社は業界柄、現場で協力会社さんや社外の方と関わることが多いので、カードをパッと渡すというライトなやり方は非常にマッチしていると感じています。
社内広報の「打ち方」を知れたことが一番の収穫
—— CS(カスタマーサクセス)の伴走支援について、率直な感想を聞かせてください。
杉井氏:すごくよくフォローしていただいていると思います。個人的に一番助かっているのは、社内PRの方法を教えてもらえることですね。
私は採用企画は経験がありますが、社内広報の経験はないんです。全社員に対してどう情報を発信したらいいか、どんなコンテンツが効くのかは全くの素人で。その点、年間の広報カレンダーを一緒に設計してもらえたり、「こういう広報施策をやってみたらどうですか」などと提案してもらえるのは、非常にありがたいです。
リファラルは、業務連絡のように情報を流すだけでは動かない。社員一人ひとりの心を動かさなければいけないものだと思っていて、そういった自分にはないノウハウの部分を補ってもらえるのは大きいです。
—— 具体的には、CSとはどのようなペースでやり取りをされていますか。
杉井氏:だいたい隔週でWebの定例ミーティングがあって、その合間はメールでタスクの共有や報告・相談をしています。定例の中身もフェーズに応じて変わってきていて、序盤は制度の設計やリリース時のPRの進め方が中心でしたが、直近は「社内でより浸透させるためにこういう施策をやりましょう」という、具体的なアクションの提案をいただくことが増えています。
—— 3月に配信された社員インタビュー記事では、ポータルサイトのアクセス数が前月比9倍に伸びたと聞いています。何か工夫されましたか。
杉井氏:あのインタビュー記事自体はCSの方に制作を伴走していただいたもので、私がやったのはいつも通りの社内アナウンスだけなんです。正直、特別なことはしていなくて、流したら伸びた、という感覚でした。
ただ思い当たるのは、当社ではあまり個人が自分の考えを全社向けに発信する機会がないんですよね。社長の年始の挨拶くらいで、部門長クラスでも自分の取り組みや考えを全社に向けて発信することはあまり多くない。そういう意味では、社員にとってはかなり新鮮なコンテンツだったのだと思います。自分一人ではあのような記事は作れなかったので、CSの方に広報コンテンツを作ってもらえるのは大きいですね。

「社員は採用に興味がない」という思い込みが覆った
—— 現時点での手応えについて教えてください。
杉井氏:実は、つい先日ちょうど2人目の内定承諾者が出ました。
採用数についてはまだまだこれからかなと考えていますが、その他の手応えという意味でいうと、カジュアル面談に紹介者の社員にもできるだけ同席してもらうようにしているんですが、その中で社員の皆さんがすごく楽しそうに話してくれるんですよ。
普段働いていると気づかないような「この人、会社のこういうところを好きでいてくれたんだ」とか「こういう思いがあって紹介してくれたんだ」という話が聞ける。採用の新しい手法としてだけではなく、社員が自社の良いところに改めて気づく機会になっていて、エンゲージメントの向上にもつながっている実感があります。
—— それは想定されていた効果でしたか。
杉井氏:全く想定していなかったですね。むしろ、導入前は「一般の社員は採用に興味がないしあまり会社のことが好きではないのだろう」と勝手に思っていました。だからこそ協力してもらいにくいし、前向きに取り組んでくれないのではないかと。
でもいざ始めてみると、今はまだ少数ではありますが自分から手を挙げて協力してくれる社員が動き出している。それは再実感できたことの一つですね。
同じ課題を抱える人事担当者へ——「社員を信じて、一歩踏み出してみてほしい」
—— 最後に、同じような課題を抱えている他社の人事担当者にメッセージをお願いします。
杉井氏:採用市場は厳しくなっていく一方で、人事担当者に求められるものは、今後ますます増えていくと思いますが、勇気を持って一歩踏み出していただけたらと思います。
私の場合は「社員は採用に興味がないだろう」と勝手に思い込んでいたんですが、実際にやってみると自分から協力してくれる人が現れる。それは自分にとっても新鮮で嬉しい発見でした。
あとは、制度設計や運用フローの構築はRefcomeさんにお任せできる部分も大きいので、全部を自分で抱え込まなくてもいい。そこは安心材料として伝えたいですね。

